Image courtesy of Passion Republic Games

GigaBash : ゴジラとウルトラマンにインスパイアされた壮大な怪獣格闘ゲーム

Mike Williams
Passion Republic Games はマレーシアを拠点とする熱意あるクリエイターのチームで、外注サービスを通じて、世界中の大手デベロッパーやパブリッシャーに AAA 品質のアセットを 10 年間にわたって提供してきたなかで絆を深めてきました。私たちがゲームを愛しているのはもちろんのこと、多様性に富んださまざまな人たちがゲームセッションに集まって楽しく遊べるところに魅力を感じています。私たちは、ゲーム開発における経験とそこで得た知識を共有するなかで、これからもインスピレーションを生み出し続け、コミュニティの発展に貢献したいと思っています。
都市部に現れる巨大な怪獣、破壊される建物、引き起こされる混乱、カラフルな光線や必殺技など、こうした要素が「怪獣」映画の醍醐味です。こうした怪獣たちは、ライブ アクションの特殊効果をふんだんに使った、いわゆる「特撮」のたまものといえるでしょう。数十年の長きにわたり、ゴジラウルトラマン、そして ガメラ といった怪獣/ヒーロー映画の名作は多くのファンに愛されてきました。 

マレーシアのゲーム デベロッパー Passion Republic Games は、怪獣に対する愛をそのデビュー作品の題材とすることを選びました。そして誕生したのが、怪獣同士が周辺の街並みを破壊しながら戦う対戦ゲーム GigaBash です。2022 年の GigaBash のリリースは、あらゆる怪獣ファン層が待ち続けていた作品として多大な注目を集めました。リリース前にもかかわらず、GigaBash は、東京ゲームショウ 2019 でのファミ通インディーアワードへのノミネートや電撃インディー大賞の受賞、さらに 2022 Game Developers Conference での「ベストインプレイ」賞の受賞など、すでにいくつかの賞を獲得していました。

また、Passion Republic Games は、ゴジラシリーズの制作/配給元である東宝株式会社と提携する機会を得ました。Passion Republic Games では 2022 年の終わりに Godzilla 4 Kaiju Pack DLC のリリースを通じて、GigaBash にゴジラ、ガイガン、メカゴジラ、デストロイアの 4 体をプレイ可能なキャラクターとして追加しました。私たちは Passion Republic Games のチームにインタビューし、GigaBash の開発、ゴジラを扱う機会を得たこと、そして Epic MegaGrants がゲーム開発においてどのような役割を果たしたかについてお話を伺いました。
国際的に名の知れたマレーシアのゲーム開発スタジオはそう多くはありませんが、マレーシアにおけるゲーム開発は現時点でどういった状況なのでしょうか?

Mel Law 氏 (ゲーム共同ディレクター):
マレーシアのゲーム開発業界はまだ成熟した段階にはありませんが、成功を収めたモバイル ゲームのリリースもいくつかあります。コンソールおよび PC ゲームについては、安定した成長段階にあるといえるでしょう。現在、マレーシアと東南アジアの周辺諸国では多くのエキサイティングなゲームを開発中なので、ぜひ期待してお待ちください。

マレーシアのゲーム開発を代表する立場をどのように感じていますか?

Mel 氏:
正直に言うと、マレーシアを代表するためにゲーム開発をしていたわけではなく、ゲームのアセットやアートの制作以外、ゲーム開発に関して私たちはまだ経験を積んでいる段階なのです。私たちは自らのゲーム開発をチームの実験的な学習プロセスと捉えており、最終的な作品に対する人々の反応についてはそこまで期待していませんでした。コアとなるゲームループを開発してようやくこのゲームのポテンシャルに気付き、その時点からさらに注力しました。プレイヤーの皆さんが私たちのゲームを楽しんでくれていることを非常にうれしく思っています。また、多くの人々が GigaBash をマレーシア ゲーム業界の代表作のひとつと捉えてくれていることに、心から感謝しています。

Passion Republic Games の多くのメンバーは、AAA 作品向けに外注サービスを提供してきた経験をお持ちとのことですが、自分たちのスタジオを立ち上げて独自のゲーム開発を行うにあたって、こうした経験はどのように役立ちましたか?

Mel 氏:
長年の間、さまざまな AAA スタジオと協力してコンセプトアートやゲームアセット、アニメーションを開発できたことはとても幸運でした。プロジェクトの運用や管理はスタジオごとに違うので、こうした経験を通じて、自分たちのチームとスコープに最適な多くの手法やツールを見つける機会を得ることができました。自分たちのワークフロー改善や、アートプロダクションの管理/企画といった面で非常に助けになりました。

チームの初作品となった GigaBash の開発をインスパイアしたものは何でしたか?

Aiken Tow 氏 (ゲーム共同ディレクター):
私たちは皆、子どもの頃は「巨大怪獣になって市街地で暴れ回る」という空想に魅了されていました。ゴジラ をはじめとする特撮映画や、怪獣大激戦 (War of Monsters)パワーストーン (Power Stone) といったクラシックなゲームからインスピレーションを受けました。私たちは、ひたすら相手と戦ったり大混乱を引き起こしたりする「混沌とした喜び」が大好きなのです。こうした感情を私たちはゲームの中で再現しようとしています。
全般的に、アート的な観点とゲームプレイの視点の両方から、キャラクター デザインについてはどういったアプローチを採用しましたか?

Aiken 氏:
アート的な観点やゲームプレイ的な側面にかかわらず、私たちは可能な限り多様性に富んだキャラクターを作成したいと考えていました。幼少期から成長するなかで、私たちは ウルトラマンゴジラパシフィック・リムキングコング といった大作のさまざまな巨大怪獣やヒーローに影響を受けてきました。こういったさまざまな巨大怪獣やヒーローを原型として、この世界の中でそれらを戦わせたら非常に楽しいのではないかと考えました。

キャラクターを開発する際には、まず体の造形や特殊能力、戦いのスタイルといった主要な特徴を考えます。主な特徴が決まったら、アートチームがプロダクションに取り掛かります。ゲームプレイについては、それぞれのキャラクターに固有の動きやプレイスタイルを加えて独自性を持たせます。たとえば、グラップラータイプのキャラクター「ウーリー」の特殊能力は、転がりながら敵の領域を侵攻するもので、一方ゾーニングタイプの「ピピジュラス」は中長距離砲を使って敵を一掃します。また、私たちの幼少期に多大な影響を及ぼした怪獣やヒーローたちに敬意を表したいと考えました。例として挙げれば、「ゴロゴン」はキングコング、「ピピジュラス」はバルタン星人、「ギガマン」はウルトラマンから着想を得ています。
ゲーム内でのキャラクターのバランスに関するアプローチはどのようなものでしたか?

Aiken 氏:
まず、攻撃スピードやダメージ、行動範囲、対象範囲といったさまざまなパラメータを調整しつつ、キャラクターの一連の動きを標準化するためのルールを設けます。たとえば、迅速な攻撃であれば、その攻撃によるダメージを通常は大きくせず、攻撃範囲が小さければそのダメージをより大きくする、といった感じです。ただし、ときにはこうしたルールを意図的に破ることで、各キャラクターの独自性を維持して際立たせることもあります。 

これらは、キャラクターのバランスを取るうえで基礎的なことです。バランスの調整は長いプロセスであり、通常、最終的な設定に至るまでに数か月ほどかかります。新キャラクターがプレイ可能になったら、すぐにさまざまなプレイヤーにプレイテストしてもらいます。私たちはプレイヤーが新キャラクターとやり取りする様子を観察し、その能力が強すぎたり弱すぎたりしないかを確認します。その後、時間をかけて必要な点を調整し、ゲームの面白さを最も引き出すバランスに仕上げるのです。
GigaBash は、ウルトラマンゴジラ など、市街地に巨大怪獣が出現する日本の怪獣/ヒーローシリーズにインスパイアされた作品ですね。最近リリースされた Godzilla 4 Kaiju Pack DLC では、ゴジラ、ガイガン、メカゴジラ、デストロイアといったクラシックな ゴジラ を扱っていますが、そのような機会を得たことをどのようにお考えですか?

Aiken 氏:
私たちはインディーゲームのスタートアップですので、正直に言うと、ゴジラ といった大作とコラボレーションできるとはまったく想像していませんでした。ご覧のとおり、私たちのキャラクターのほとんどはこうした特撮キャラクターのオマージュですので、各キャラクターの動きのデザインやメカニクスの開発において、十分な創造的自由を与えられたことはとても名誉なことです。また、ゴジラ DLC ティーザー動画をリリースした際に、ファンの皆さんが好意的な反応を示してくれたこと、そしてたくさんの励ましをいただいたことに非常に感謝しています。さらに、東宝のチームに対しては、このすばらしい機会を与えてくれたことと、開発全体を通じて辛抱強く見守っていただいたことに感謝しています。私たちにとってはまさに「夢が叶った」出来事なのです。
それぞれの ゴジラ は、さまざまな時代の怪獣シリーズ作品からインスパイアされているようですが、DLC に向けてこれらの特定のキャラクターを選んだ理由は何ですか?

Aiken 氏:
私たちは、プレイヤーが楽しめるよう、多様性に富んだキャラクターを作成することを目標としており、キャラクターの造形だけでなく、その能力についても多様性を追求しました。そのために、さまざまな時代の東宝作品からキャラクターを選んだのです (昭和:ガイガン、平成:ゴジラとデストロイア、ミレニアム:メカゴジラ)。

ゴジラに関しては、GigaBash には平成ゴジラが理想的な選択肢であると判断しました。平成ゴジラの「バーニング ゴジラ」の形態が「S クラス」の形態にピッタリだと感じたためです。

デストロイアは、平成の ゴジラ vs デストロイア でバーニング ゴジラの最大のライバルとして描かれていることから採用しました。その威圧感のある風貌は、ゲームプレイの視点からも非常に際立っています。さらに、最も重要なこととして、私たちのチーム全員がこの怪獣を気に入っているという点があります。 

ガイガンとメカゴジラに関しては、GigaBash に新しいキャラクター アーキタイプを提供できる可能性を考慮して選びました。ガイガンは、高い敏しょう性を持つ「スライスアンドダイス」のキャラクター アーキタイプとして使われており、鋭い爪と腹部の回転カッターで敵を切り刻みます。メカゴジラには、アブソリュート ゼロ (絶対零度砲) やホーミー ショット、レールガンなどのさまざまな射撃武器が備わっており、こうしたキャラクターは、GigaBash では他に存在しません。
これらの象徴的なキャラクターを GigaBashアートスタイルに適合させたプロセスについて教えてください。

Aiken 氏:
キャラクター デザインについては、それぞれの映画にできるだけ忠実に残したいと考えました。体の比率から皮膚のマテリアルやテクスチャまで、できるだけオリジナル デザインを残すように努力しました。ただし、GigaBash で使われている全体的な色調はより鮮明で明るいものです。ゲーム内でキャラクターのスキンカラーをよりポップ調にしたり、夜間マップに対応できるようにしたりするために調整が必要でした。

相手のプレイヤーも同じキャラクターを使っている場合、デフォルトのスキンカラーだけではキャラクターを見分けるのが難しいことに、キャラクターのプロトタイプを作成しているときに気が付きました。

また、映画の中ではゴジラはジャンプしませんが、GigaBash では、歩き回ったり攻撃を避けたりする際に、ジャンプが欠かせない動作であることも学びました。

東宝との協議を重ねた結果、東宝からゴジラをジャンプさせて、現在ゲームで採用されているように空中攻撃を行わせることに同意していただいただけでなく、それぞれのキャラクターに 4 つの追加スキンを加えてもよいという承諾もいただきました。

他に GigaBash でコラボレートしたいと考えているものはありますか?

Aiken 氏:
ウルトラマンキングコングパシフィック・リム などの作品から、より多くの怪獣やヒーローを GigaBash に取り入れたいと思っています。しかし、私たちの直近の目標は Nintendo Switch と Xbox へのポーティングですので、新しいキャラクター DLC を開発する十分なキャパシティは現時点ではありませんが、Nintendo Switch と Xbox への GigaBash のポーティングが完了した際には、キャラクター ベースを広げるための機会を模索していく予定です。
ゴジラ DLC には、新しい無限の命運モード、アーケード モード、クラスプラットフォームでのマッチメイクを含む Patch 1.1 のリリースも提供されていますが、このパッチの中で特に注目している機能はありますか?

Aiken 氏:
新しい「命運モード」をぜひお勧めします。これは、単独のプレイヤー、もしくは他のプレイヤー 1 人とタッグを組んで、無限に押し寄せる敵のウェーブと戦います。勝ち進むごとに強化能力を得られるほか、特定のウェーブ数をクリアした場合のみにアンロックされる特別なスキンを獲得できます。

Epic MegaGrants を獲得したことについてどのように考えますか?また、御社が現在手掛けている作業にどのような影響がありましたか?

Sern Ng 氏 (創立者):
特に GigaBash は私たちの最初の作品ですので、このようなすばらしい評価をいただいたことを大変ありがたく思っています。不安を乗り越え、よりすばらしい未来を築くためのモチベーションを与えてくれました。
GigaBash の開発に Unreal Engine を選択した理由は何ですか?

Mel 氏:
特に Unreal Engine では 物理ベースのレンダリング ワークフローをサポートしていることから、私たちは以前にいくつかの外注プロジェクトで Unreal Engine を使用したことがあり、操作にも慣れていたのです。また、Unreal Engine の強みのひとつである高忠実度のグラフィックをゲームで求めていたこともその理由です。

Unreal Engine のツールまたは機能の中で、ゲームの開発に特に役立ったものはありましたか?

Mel 氏:
ゲームプレイループのプロトタイピングの際には、ブループリント システムが時間の節約にとても役立ちました。ゲームを迅速にイテレートでき、新しいビルドをコンパイルせずとも、ゲームの面白さを引き出すための作業に集中することができました。また、GigaBash では、オンライン マッチメイク機能に Epic Online Services (EOS) サブシステムを利用しています。クロスプラットフォーム プレイを実装するうえでとても役立つ機能です。

本日は貴重なお話をありがとうございました。GigaBash についての詳細や最新情報はどこで入手できますか?

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