Frogwares では、これまで 20 年以上にわたってアドベンチャー ゲーム、 Sherlock Holmes を制作してきました。従来の Sherlock Holmes の 8 作品では、プレイヤーが探偵物語の主人公となり、旅の相棒であるワトソン博士とともに活躍するだけでなく、仮説的推論の展開も忠実に再現し、グラフィックスの向上や新機能によってアドベンチャー ゲーム シリーズの限界を押し上げてきました。
そしてシリーズ次回作である Sherlock Holmes Chapter One では、プレイヤーは若き日のシャーロック・ホームズになることができます。ゲームはシャーロック・ホームズの母親の死の直後から始まり、プレイヤーは 21 歳のホームズを操作して幼少期の故郷である地中海のコルドナ島を冒険しますが、助手を務めるのはワトソン以前の相棒、ジョンです。
Sherlock Holmes を原作とするストーリーを作成することにした理由を教えていただけますか?また、アーサー・コナン・ドイルがシャーロック・ホームズの過去について残したヒントに合う場所ではなく、地中海に故郷を設定したのはなぜでしょうか?
Kobylinskyi 氏:実は、 The Sinking City の次回作に向けてプロトタイプ作成に取り組み始めた際、いくつか検討していたアイデアがありました。シャーロック・ホームズ作品に戻ることは決まっていたのですが、どのようなコンテキストにするかが決まっていなかったのです。それで、スタジオ全体を巻き込んでいくつかの提案についてブレインストーミングを行いました。プレゼンテーションがひととおり終わると、いくつか優れたアイデアが出揃いました。1900 年代のオーストラリアを舞台とする案などがありましたが、その中で全員の心に強く響くアイデアが 1 つありました。それが、世界で最も有名な探偵になる前の、若き日のシャーロック・ホームズを扱うというものでした。全員がこのストーリーについて盛んに意見を出し合っていたので、それこそが進むべき方向を示す兆候だと判断したのです。
シャーロック・ホームズの若き日々は、原作では詳しく描かれていません。その点で、キャンバスはまっさらです。非社交的な天才として知られていますが、どうしてそのような人物になったのでしょうか。いつもあのような人物だったのか、幼少期はどんなだったのか、どうしてあのような運命をたどることになったのか、といったことがSherlock Holmes Chapter One のテーマであり、シャーロック・ホームズがシャーロック・ホームズになるまでに起こりえたストーリーを描いています。舞台をロンドンにしなかった理由としては、慣れ親しんだ環境の外に身を置くことで、初めてわかることもあるからです。ありきたりの話になってしまうかもしれませんが、馴染みのない場所に迷い込むことで、自分自身や自分の能力について大きな発見をすることができる場合もあるでしょう。