原始人の 2 つの種族が、光と暖かさを得るために火を求めて激しい攻防を繰り広げています。雷が偶然近くの木に落ちて、両陣営は炎を奪い取って火をおこそうと洞窟から一斉に飛び出します。たいまつは棒と槍の役割を果たし、こうした原始人たちが火をおこすことができなければ敵の火を消そうとします。
『B.C.E.』 は銃撃戦という言葉を再定義するマルチプレイヤー ゲームです。
「原始人たちがこん棒を手にたたき合う姿は、奇想天外で憎めない楽しいゲームになると考えたので、このアイデアが気に入りました」とボストンの Blue Drop Games の Arjun Rao 氏は語ります。
必ずしもそうでないときもありますが。このゲームは、もともと 『Kill Your Friends』 として始まりました。これはインタラクティブなホラー映画で、4 名の生存者が殺人鬼から逃げるストーリーです。しかし、開発中に、2 つのゲームが Steam に登場しました。1 つ目は、4 対 1 のホラー『Dead by Daylight』 と2 つ目は、『13 日の金曜日』 を公式にゲーム化したものです。非対称マルチプレイヤー ハンティング ゲームのサブジャンルには、これまで 『Evolve』 というゲームがありましたが、殺人の選択肢が沢山あります。
『Kill Your Friends』 を他と一線を画すものにしたければ、方向性を変える必要がありました。Blue Drop チームは途方に暮れました。しかし、デザイン セッションが行き詰ったとき、デベロッパーの Conor Golden 氏が Rusted Root というバンドの 『Send Me On My Way』 という曲を口ずさみ始めました。セッションに出席していたデベロッパーたちは、この曲がハリウッド映画の 『マチルダ』 と 『アイス エイジ』 で使われていたことを思い出しました。そこから原始時代という発想が生まれたのです。
『Kill Your Friends』 の名残りもあります。目立った痕跡は最近原始人たちが最近踏みつけた場所を示しています。『B.C.E.』 は魅力的でアイソメトリックな Capture the Flag (旗取り) のバリエーションとして独自性を持ったものになっています。
3 秒毎に各チームは火のサイズに応じてポイントを獲得します。プレイヤーが運ぶ木製の武器を炎に加えることができます。つまり、誰もがポイントを獲得できる可能性を持ちながら走り回っているのです。
「たった一人が旗を持つのではなく、すべてのプレイヤーが得点獲得の直接の責任を負います」と Rao は説明します。「One-flag CTF (フラグがひとつの旗取り) では防御を推奨しません。そのため、ゲームプレイは非常にリニアになります。これに比べて 『B.C.E.』 は綱引きのようなものです。一回の対戦で両チームとも攻撃側になったり防衛側になったりその時々で入れ替わります。
さらに面白みを加えているのは、投げ込まれたり落ちた木々を敵チームが集めることができることです。戦いに負けるたびに敵の備蓄を増やすことになります。特に、自分がデスしたときに炎のこん棒や矢を持っていたときは相手に貢献してしまいます。
このゲームのテスト中に戦略が生まれ始めました。あるチームは大量の木々の束を自分たちの火のあるところに運びました。他のチームは、攻撃者を支援し木々を集める部隊を指定し、武器を再補給します。特に大胆な戦略として、マップの範囲を見て攻撃されるリスクがないことを把握したうえで、チーム全体が洞窟を無防備な状態で離れるというやり方もあります。似たような効果的な戦略として、ひとりが敵の背後にまわり火を消すというやり方もあります。
近接遭遇は緊張感があり、気後れするものです。それぞれが、相手の出方を探ろうとし、助けが到着するまで、または矢を完璧に投げられるように整列するまで先に進まないからです。失敗すれば、強打されたり突かれる恐れがあります。
「『B.C.E.』の戦いに習熟しても 1 対 1 の遭遇は予測が難しいものです」と Rao は語ります。「楽しいですけどね。マルチプレイヤー ゲームはある意味デザインが簡単です。プレイヤーが使用するゲーム メカニクスのシステムを構築したら、楽しみの多くは自然に生まれるからです。
もちろん、『B.C.E.』 のあらゆる要素が自然にまとまったわけではありません。チルト カメラを使用することは素晴らしいアイデアのように思われましたが、画面の下方向にいるプレイヤーが槍を投げてきても全く見えないことに気付きました。この問題は数か月後にレベル デザインによって最終的に解決しました。
Rao によると、アンリアル エンジン 4 (UE4) のシンプルなスクリプティング システムであるブループリントを使うことで、使わなかった場合に比べて 『B.C.E.』 は迅速に良い方向に進みました。「大量のコードをビジュアル スクリプティングの単純なノードにするよりも速い方法はなかなかないと思います。」
『B.C.E.』 は Steam 登場後わずか 9 日後に Greenlit になり、Blue Drop はかつてホラー シミュレーターであったゲームの方向性を変えたことが正しかったことを実感しています。
「自分がデザインしたゲームを制作することは非常にストレスがたまります」と Rao は認めています。「ゲーム制作そのものがストレスがたまるという意味ではなく、欠点が目につくからです。大きなミステリーがあるゲームをデザインし、実装するために数百時間を費やすのです。楽しいと思いますか?
プレイヤーがこのゲームを手にしてプレイし、楽しんでくれるとき、自分がどんなにいい気分になるかは言葉では言い表せません。当たり前のことに思えますが、ゲーム デザイナーとしてこれ以上の報いはないと思います。」
『B.C.E』 は Steam Greenlight でご覧いただけます。
編集注記: PCGamesN は、長く続いている Making It in Unreal シリーズのためにアンリアル エンジンで制作された素晴らしいゲームを選んでそのデベロッパーにインタビューしています。エピック ゲームズは編集プロセスに関与していません。