仮想現実 (VR) はゲームをどのように変えているでしょうか?VR は非常に重要でなものであり、その存在を認識していますが、クリエイターとして、またプレイヤーとして VR の体験は進歩しているでしょうか?
こうした疑問は、最近多くの人々が感じることです。デベロッパーは VR という新たに開発されたフォーマットを利用して、新たなチャンスを生み出し、これまでは不可能だったオリジナルの体験を実現しようとしています。多くの人々にとって、アクション シューティング ゲームのジャンルが、明らかに VR の影響を受ける分野です。何といっても、ファーストパーソン シューティングゲーム (FPS) ジャンルは人気があり成功を収めていることから、VR 自体を進化させながらコンテンツを提供する大きな市場があることを意味するからです。
最近、Raw Data を手がけた Survios のクリエーターらと情報交換する機会がありました。Raw Data は、エネルギッシュな co-op VR ゲームプレイ体験で想像力をかきたてられながら体を動かすゲームです。2016 Game Developers Conference (GDC) での Raw Data の披露後の作品の進化と影響について語りながら、 CCO の James Iliff 氏、スタジオ代表の Chris Hewish 氏、ゲーム ディレクターの Mike McTyre 氏が私の質問に答えてくれました。
VR ライフサイクルの早期の段階とはいえ、現在、多くのアプリケーションがシングル プレイヤー体験だけに重点を置いています。何故、co-op を目指したのでしょうか? VR でマルチプレイヤー体験を開発するうえで何か問題はありましたか?
Survios では VR を素晴らしいソーシャル体験であり、友達とプレイしたり新しい友達とつながるユニークな方法として常に考えてきました。2012 年に Project Holodeck を開始しました (共有仮想空間におけるこの VR co-op 体験は、現在の Vive と Rift の機能の先駆けとなりました)。仮想現実はプレイヤーのボディ ランゲージ、顔の表情、手のインタラクションを実際に知覚する能力があるため非常にソーシャルで、孤立からは程遠いメディアであると言えます。
こうした理由から、co-op を直ちに開発することを決めて、ソーシャル プラットフォームとして VR を採用する最初のスタジオになりたいと思いました。こうした体験を分かち合うことが Holodeck の夢であり、他の方法は考えられませんでした。現在、最大の課題はオンライン マルチプレイヤー ゲームをすべてのユーザーにとって完全にシームレスなものにすることです。常にそれに取組み改善を続けています。Raw Data と VR ゲーム全般だけでなく、将来のすべての VR ソーシャル アプリケーションにとって非常に重要なことだからです。
複数プラットフォームで利用できますが、Raw Data ではルーム スケールのVR を利用することで、プレイヤーは全く新しいタイプの体験ができます。この拡張されたスケールは、プレイヤー (この場合は複数プレイヤー) の没入感にどのような影響を与えますか?
ルーム スケール VR を十分に生かしたアクティブな VR ゲームプレイに特に重点を置いています。プレイヤーが視覚的にゲームに没入するだけでなく、身体的にその世界の一部になるような VR を実現することを目指しています。Raw Data では、プレイヤーはルーム スケールの VR を使います。360 度のゲーム空間で、あらゆるアングルから敵が襲いかかってくるので素早く照準を合わせ、パワフルな銃をリロードし、近接武器を振り回し、投射物を投げつけます。ゲームプレイは実際に身の回りの武器をつかみ、身をかがめ、敵の砲火を避けるために回転したり、身をかわす段階で非常にエキサイティングなものになります。15 分間のデモが終わると、ちょっとしたエクササイズをした気分になりますが、すぐにプレイに戻りたくなります。
Unreal Tournament から Halo、 Call of Duty など、多くの作品で、マルチプレイヤー シューティングゲームはインタラクティブ エンターテイメントの世界で大きな位置を占めてきました。Raw Data はこの人気ジャンルの将来を表すものだとお感じですか? もしそうならば、その前に技術的にどんなことを達成する必要があるでしょう?
そうですね。我々は VR をストリーミングと eSports の次の論理的進化と捉えています。それを念頭に、昨年 Raw Data の開発に着手しました。VR はプレイヤーにとってゲームを競うものというひとつの考え方だでけでなく、観客にとっても楽しめるものです。ゲームワールドで何が起こっているかと共に 、現実世界でプレイヤーが何をしているかを観るのも楽しみの一部だからです。動的なサードパーソン スペクテーター (観戦者) モードも構築しています。これにより、観ている人は飛び回り、インゲームのアクションを様々な視点からチェックすることができます。その結果、ストリーミングと eSports は、プレイヤーと観戦者の双方にとって非常に楽しめるものになります。
現在、プレイ可能な体験は洗練されてきていますが、ライフスパンを通して Raw Data はどのように進化してきましたか?
近接武器、銃、パワーアップを使ったアクション コンバット ステルス ゲームとして Raw Data の開発を始めました。最初に制作したレベルは、ジョイスティックの動きを使ったリニアなゲームプレイとして始まりました。これは、 YouTube の初期の動画 でご覧いただけます。カメラを避けて敵から逃れるステルス部分は楽しいものですが、快適さを求めるためにジョイスティックの動きからは離れることにしました。プレイヤーのボーナス パワーアップがある純粋なアクション コンバット ゲームに再び焦点を当てて取り組むことにしました。
以来、Raw Data は多くの機能や膨大な武器の装備を持つアクション体験に進化しました。砲塔/トラップ、ネクサス防衛メカニクスも追加で配備されます。しかし、何と言っても優先度が高いのは身体的動作です。どんなものであれ、皆さんがずっとなりたかったすごいヤツになった気分になってほしいんです。それこそ、このゲームが目指すものです。
Raw Data のデモについて開発チームへのポジティブなフィードバックにとても興奮しましたが、単にデモに過ぎないのです。プレイヤーはまだ何も見ていないも同然なんですから。最終リリースで Raw Data に加えられるエキサイティングなすべてのコンポーネントをお見せする準備はできていませんが、新機能、敵、武器、パワーなどが満載の充実したコンバット ゲームプレイ体験をお約束します。進捗をご覧になるには、我々のソーシャル メディアにご注目ください。
GDC 中の Raw Data の体験に対する一般的な反応はどうでしたか?
GDC のデモの後、Vive のヘッドセットを外したプレイヤーの感想で多かったのは、「最高!」、「すごい!」、「超面白かった!」というものでした。非常に楽しかったのは、とても内向的な性格の人が、あっという間に生まれつきの殺し屋や派手なアクション ヒーローに変わることです。ある人は、Vive コントローラーを逆さまに持って、刀を逆手持ちで持ったりしていました。こうした咄嗟のゲームプレイは全く予想もしなかったので、見ていてすごくワクワクします。
GDC で Raw Data でプレイヤーがゲームしている様子を沢山 Instagram に投稿しました。その表情がすべてを物語っています。プレイする時間が長くなるほど、ゲームに一段と没入していることがわかります。「すごい」という驚きから「やってやる!」という自信に表情やボディ ランゲージが変わっているからです。
Raw Data のビジョンを現実のものにするために、アンリアル エンジン 4 (UE4) を選んだ理由をお聞かせください。
我々は UE4 とその VR デベロッパー向け機能の大ファンです。アンリアル エンジンでは強力な基本機能一式を利用できるだけでなく、エンジンも頻繁に更新が加えられ、コミュニティのサポートも素晴らしいものです。そのうえ、ソース コードで直接作業することもできます。こうした柔軟性があることで、エンジニアは必要なツールを手にして、VR 空間にはまだ存在しないコントロールやビジュアルの技術を迅速に作り出すことができます。その結果、Raw Data は直観的な co-op 体験になり、他のシューティング ゲームとは一線を画すものになりました。
GDC 2016 では、アンリアル エンジンの VR エディタ機能が発表されました。VR 内で VR 体験を作成し、編集する機能は、開発プロセスにどのような影響を及ぼすと思いますか?
VR 体験を構築中にそれに可能な限り近づくことはかなりの助けになることでしょう。我々は人間として、現実世界の空間をよく認識しています。VR エディタでは、仮想世界を構築する際に、こうした感覚を利用することができます。はるかに短期間で一段と豊かで没入感のある体験を制作することが可能になります。
VR ベンチャーを目指す他のデベロッパーに UE4 を勧める理由をお話しいただけませんか?
エンジンのソース コードを使って作業できるのは素晴らしいことです。また、アンリアル エンジンには比類なき基本機能、頻度が高く信頼できる更新があります。デベロッパーはこうしたものを利用して、VR 体験を詳細に最適化しながらユニークなコントロールとシステムを作ることができます。
VR 体験としての Raw Data の現在および将来にどのようなプランがありますか?
Raw Data がどのように進化するかについては多くのプランがありますが、現時点では公にしていません。主要なプランに本格的に取り組む前に、我々のコミュニティと対話することが重要です。ゲームはプレイヤーと共に成長するからです。従って彼らの意見とフィードバックが何よりも大切であり、デモから Early Access、そして最終製品へと進む開発プロセスで欠かせない存在です。
本日は、お時間を割いていただきありがとうございます。Raw Data をいつ、どのように利用できるか、また最新情報の入手先を教えていただけますか?
もちろんです!アンリアル エンジンの素晴らしさと、それがいかに Raw Data の開発に大きな影響を与えたかについてお話することができて嬉しく思います。Raw Dataの Steam コミュニティのフォーラム でのディスカッションや質問をお待ちしています。ここが、このゲームのメイン ハブになります。最新情報については、我々の Twitter、 Facebook、 Instagram をご覧ください。Reddit の subreddit の r/Vive および r/Oculus でも VR デベロッパーと愛好家との情報のやりとりを見ることができます。これから年末までいくつかのゲームや VR イベントに参加予定ですので、ソーシャル メディアを通して今後の動きにご注目ください。