模倣することは最大の賛辞だと言われています。これは Area 35 の場合もあてはまります。この小規模インディー デベロッパーは、熱狂的な支持を集める懐かしいリアルタイム ストラテジー (RTS)、『ファミコンウォーズ』 の精神を引き継ぐ作品、TINY METAL (タイニーメタル) を制作しました。今秋、Nintendo Switch、 PlayStation 4、 Windows、および Mac OS X 向けにTINY METAL のリリースが決まると 『ファミコンウォーズ』 シリーズのファンの注目をただちに集めました。もちろん、Area 35 では 『ファミコンウォーズ』 シリーズをプレイしたことがない新規プレイヤーや、そもそも RTS をプレイしたことがないプレイヤーも取り込みたいと考えています。
Area 35 のプロデューサーである由良浩明氏にお会いして、TINY METAL 制作のきっかけ、この作品がインスピレーションを受けた RTS 作品と異なる点、小規模チームで大きなミッションを遂行するうえで UE4 がどのように役立ったかについてお話いただきました。
Q:TINY METAL のコンセプトはどんなきっかけで生まれたのでしょう?
単純に、『ファミコンウォーズ』 が懐かしかったんです。自分たちのお気に入りの作品が長年カムバックしなかったので、精神を引き継ぐ作品を自分たちで作ろうと考えたのです。とはいえ、良く似たものを作るのはとても味気ないと思ったし、時代に合うような作品にする必要があります。ですから、独自の雰囲気を加えました。我々は小規模チームなので、自分たちがやりたかったことのすべてはできませんでした。しかし、ゲーマーや『ファミコンウォーズ』 のファンもある程度驚かせるようなオリジナリティあふれる作品になったと信じています。
Q:ターン制ストラテジーのファンに TINY METAL をお勧めする理由を教えていただけますか?
我々は、TINY METAL をシンプルだけどとても楽しめるゲームになるように細かく調整しました。『ファミコンウォーズ』 や 『ファイナルファンタジータクティクス』 といった自分たちのお気に入りのゲームから多くのインスピレーションを得ましたが、シンプルに楽しめるゲームにしました。このジャンルの日本のゲームは 2D が多いですが、TINY METAL は 3D にして、素晴らしいアニメーションと単純だが魅力的なストーリーをミッション間に組み込みました。
『ファミコンウォーズ』 の精神を真に引き継ぐことこそ我々が望んでいたことだったんです。
Q:TINY METAL がこのジャンルに持ち込んだ新しいメカニクスにはどんなものがありますか?
いくつかの面白いメカニクスがあります。そのほとんどは、互いに身動きできなくなったり、マップの動きが遅くなるのを防ぐように設計されたものです。
Facings (どちらの方向を向くか)
どちらの方向を向くかはゲームで非常に重要な部分です。側面や後部から攻撃されると、ユニットが受けるダメージは大きく、致命的な攻撃になる可能性が高まります。
Fog of War (戦場の霧)
RTS / ターン制ストラテジー (TBS) で一般的に用いられるメカニックで、ユニットが良好な視界を持つことが重要になります。歩兵ユニットを丘に登らせると、視界が広がり、移動前に視界を確保していないと、そのユニットは移動フェーズ後に見つけたどのユニットも攻撃できません。
Radar (レーダー)
レーダー トラックは、Fog of War で敵のユニットの存在をブリップ (輝点) 表示し、見えなくても敵を攻撃することができます。
Focus Fire (フォーカス ファイア)
複数ユニットでまとまって敵のひとつのユニットを攻撃することができます。敵のユニットがオンスロート モードを生き延びたら、フォーカスファイアを開始したユニットに反撃します。
Hero Units (ヒーロー ユニット)
これらは収集可能なユニークなユニットであり、キャンペーン ミッション中に見つけることができます。
こうしたユニットは、基本的な装備のユニットよりも強く、武器 / 部品を追加で装備しています。
Hero Unit は、Comm Towers から呼ばれて、マップ上で見えるどこにでも配備することができます。
これらのユニットは、戦闘の終わりにベテランシー ランク (レベル) を保持することができます。
Q:ゲームのストーリーについてお話いただけますか?
子供でもわかるようなシンプルなストーリーにしましたが、大人も楽しめる内容になっています。
アルテミシアという国の若き将校、ネイサン グリースが、戦争に巻き込まれて物語が展開します。しかし、開戦理由は妥当とは思えず、ネイサンはその理由を探ることになります。こうしたストーリーによって、プレイヤーは TINY METAL の世界に入り込み、ネイサンとその仲間に助けられ、戦争の首謀者を見つけて戦いを終結させていきます。
Q:TINY METAL のビジュアル スタイルはとても魅力的ですね。すぐにこうしたデザインを思いつきましたか? それとも色々試して現在のスタイルに至ったのでしょうか?
もちろん、ビジュアル スタイルについては非常に明確なビジョンを持っていました。納得できるものになるまで数種類を試しました。この作品が売れたら、さらにユニットや背景を加えたいと思います。
Q:見事なビジュアルでありながら、PC の動作環境も手が届きやすいもので、コンソールでも幅広い購買層が対象になりそうですね。全体的なプロジェクトの目標においてアクセシビリティをどの程度重視しましたか?
PC のスペックによってゲームの購入を制限されるのは良くないと思います。多様なコンソール、PC、Mac でプレイできたらと考えています。
Q:最近、シアトルの PAX West でこの作品を披露しましたよね。コミュニティからどのようなフィードバックがありましたか? また、それをどのようにプロジェクトに組み込みましたか?
フィードバックは驚くほどポジティブなものでした。ユーザビリティと UI について多くのフィードバックをいただきました。こうしたプレイの質に関わるような部分に改善を加えていくつもりです。
Q:TINY METAL の制作チームの業界経験についてお聞かせください。
開発者の多くは経験豊富で、国内外でメジャー タイトルの制作に携わった経験があります。ただし、ほとんどのメンバーは、日本を拠点としています。
多くがフリーランスで働き、同じような人生の目標を持っています。これまで欧米のインディーとその能力にはとても驚かされました。自分たちは、この業界の挑戦者に再びなりたいと考えています。
Q:このプロジェクトに UE4 を選んだ理由は?
エピック ゲームズが UE4 の確固たる基盤を築くことに一生懸命取り組んでいたからです。Linux のサポート発表後に UE4 採用を決めました。このサポートは、エンジンのソース コードが十分に維持管理、設計されているからこそ実現したのだと思います。これまで使ってみて、アンリアル エンジンは我々の期待を裏切りませんでした。アンリアル エンジンは頻繁なアップグレードを通して強固な基盤を築いています。その結果、我々は出来る範囲で最高のゲームにすることに力を注ぐことができました。
Q:開発全般を通してアンリアル エンジンで特に役立った部分はありましたか?
UE4 には、アーティストや非プログラマーにとって信じられないような素晴らしいツールやワークフローがあります。こうしたツールのお蔭で、プログラマーは、プラグインやアーティスト向けツールの開発に時間を使うことなく、プレイヤーに関わるゲームプレイや UI に集中することができました。
Q:TINY METAL の詳細を知るにはどうしたら良いですか?
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