この興味深いプロジェクトについてお話しを伺う機会をいただき、ありがとうございます! まず、to a T の内容について教えてください。
高橋慶太氏 (デザイナー兼スタジオ共同設立者):to a T は、T ポーズから抜け出せくなったティーンエイジャーと、愛らしい犬が中心となっている作品です。
to a T のデザインや開発のきっかけについてお聞かせください。
高橋氏:私たちが暮らす世界は、多くの人にとって幸せな場所とはいえません。だからこそ、何か前向きで楽しい作品を作りたいと考えました。
本作における T ポーズは何を表しているのでしょうか?何か大きなもののメタファーなのでしょうか?あるいは、社会の何らかの側面に対するメッセージが込められているのでしょうか?
高橋氏:特にはないのですが、何にでもなり得ますね。実は T ポーズについてすごく面白いジョークがあるんですが、物議を醸すかもしれないので、ここでお話しするのは控えます。
ゲームのストーリーは、コアとなるゲームプレイ メカニクスにどのように影響を及ぼしているのでしょうか?
高橋氏:プレイヤーに戦闘やアクションを促すゲームはたくさんあり、そういったゲームが面白いのは承知しています。ボタンを押して複雑なアクションを実行するのは、プレイする側も見る側も楽しく、満足感があります。ですが、私はお箸を使う、豆を摘む、服をたたむといった、より日常生活に近い動作をゲームで再現したいと考えていました。なぜそう思ったのかはわかりません。多分、私が変わっているからでしょう。人間の体や動きは複雑ですので、パンチやジャンプといった素早い動作をシミュレートするのは難しくありませんが、牛乳パックを持ってボウルに牛乳を注ぐといった動作は、より多くのステップが必要になるわりには、戦闘のように楽しくも満足感も得られません。ですが、T ポーズが私の望みを叶える完璧なアイデアだと気づいたのです。退屈な日常を異なる視点で体験することで、新鮮な体験とアイデアがもたらされたのです。
本作のストーリーは「ティーン」という名前のキャラクターを中心に、数日間にわたりエピソード形式で展開されますね。 このアプローチは、ストーリー全体においてなぜ重要だったのでしょうか?
高橋氏:これはアニメからヒントを得た形式で、ストーリーはオープニング ソングで始まり、エンディング ソングで終わります。この形式を真似したいと考えたのは、ティーンエイジャーの日常生活を語るのにぴったりなアイデアだと思ったからです。
to a T には、プレイヤーが主人公の視点で生活を体験できる各種ミニゲームが用意されていますね。Unreal Engine でこういったミニゲームのプロトタイプを作成して、最終的に作品に追加するミニゲームを選択したチームのプロセスについて、お聞かせください。
高橋氏:少人数のチームですので、各ゲームのプロトタイプ作成にあてることができる時間が十分にはありませんでした。そこで私がストーリーボードを作成し、紙と頭の中でストーリーとインタラクティブ部分のバランスについて考えました。ストーリーボードは、主にチームに方向性を示すための、基本的なラフ アイデアに過ぎません。実際、エディタでかなりの変更を加える必要がありました。