ファーストパーソン シューティングのホラージャンルの中でも、不気味で地獄のような印象を与える Inner Chain は、数あるホラータイトルの中でも珍しい存在です。
Inner Chains の超現実の世界は、人類が滅び、その後に残された自然と技術は、生物学的とも機械学的とも分けずに共生しながら、何百万年もかけてお互いに進化し適応した姿であり、私達が知っているものとは異なる不気味な世界です。
滅びた人類はやがて再び誕生し、生態系の一部となりました。見たこともない技術の使い方を習得したものが支配者となり、それ以外は服従するのみです。階級制度の教えを詰め込まれれた主人公は、腐敗し死にゆく惑星から逃げ出すために Last Hope (最後の希望) を探し始めます。
この物語の立役者は、アートワークを手掛けた Telepaths' Tree の創設者の Tomasz Strzalkowski 氏です。プロジェクトのひらめき、そしてどのようにアンリアル エンジンで実現したのか Strzalkowski 氏にお話を聞きました。
Telepaths' Tree 創設のきっかけ、および Inner Chains をデビュータイトルに選んだ理由を教えてください。
TA:Inner Chains の世界観は、私のアーティストとしてのキャリアと密接に関係しています。ゲーム業界でのキャリアをスタートした時から、自分のアート作品をゲームの世界で使えるようになることが私の夢でした。ゲーム向けの最初のマテリアルを 2014 年半ばに作成し、経験豊富なデベロッパー達にアピールしました。彼らのほとんどとは既に一緒に作業をしましたし、同時に良きビジネス パートナーでもありました。これによって Telepaths' Tree に正式な資金が確保でき、Inner Chains のフルタイムでの開発が可能になりました。
ホラーというのは、いろんなスタイル、メソッド、意図があると思うのですが、 Strzalkowski さんにとってホラーとは何でしょう?ホラーゲームを通じてプレイヤーに何を感じてもらいたいと思っていますか?
TA:主流から離れるようにしています。我々のホラーゲームは、モンスターが突然現れて怖くて叫ぶという類のものではありません。プレイヤーにはゲームの間中ずっとハラハラして不安でいてもらいたいですし、一番重要なのは奥の深い物語を見せることです。緊張感というのは、ゲーム全体のルック&フィールから醸し出されるものです。現実世界でこんな場所にいたくないとプレイヤーに改めて感じさせるような数々の怖い出来事も、ビジュアル化と音楽と同様に重要です。
Inner Chains の背景がかなりインパクトが強いですが、このワールドのビジュアル デザインはどのように思いついたのでしょうか?
TA:自分のプライベートのアート作品からです。背景で物語を語り、感情、人間の生活、暗い側面についての見たことを伝えようとしました。また、サルバドール・ダリ、H.R. ギーガー、ズジスワフ・ベクシンスキー、ヒエロニムス・ボスといったアーティストたちからも影響を受けました。なので、私の作品にはそれぞれユニークなキャラクターとスタイルがあります。それから、文学と音楽ももちろん私に多大な影響を与えました。Inner Chains のユニークなルック&フィールは私のビジョン、そしてもちろん Telepaths' Tree チームの共同作業の結果です。
そして、そのひらめきをワールドの住民にどのように展開しましたか?プレイヤーはどのようなクリーチャーに出くわすのでしょうか?
TA:Inner Chains では、自然はもはや人類にコントロールされておらず、優勢なものに適応し始めます。て永遠に努力しながら、母なる自然は人間が置き去りにした技術を模様し適用し始め、バイオメカニクス (生態機械) となってしまいました。
人間が作り出し置き去りにされた技術もまた、新しい状態に適応しようとしています。進化は止まりません。技術と自然はとても強く共生するようになります。Inner Chains のワールドでは、生きているものと機械との区別が難しいのです。
プレイヤーがいろんな経験を駆使できるようにしていますよね。レベルと遭遇のデザイン方法にはどのように影響しましたか?
TA:それぞれの場所のデザインとメカニクスの実装はかなり努力をしました。レベルは、様々なゲームプレイが可能なように作成しました。我々の目標は、問題に遭遇した時に、気づかれないようにこっそり動くか、直接対決して悪の世界を一掃するか、プレイヤーに選ばせることです。
Inner Chains のワールドの実現の手段として、なぜアンリアル エンジン 4 を選ばれましたか?
TA:チームのほとんどのメンバーはアンリアル エンジン 3 の経験者だったので、当然の流れでした。UE4 は無限の可能性を与えてくれるパワフルなエンジンです。素晴らしいサポートと頻繁なアップデートも、我々の期待どおりでした。
アンリアル エンジン 4 で、これはすごいと思ったツールや機能はありますか?それらによってワークフローはどのように改善しましたか?
TA:とにかくブループリントは何物にも代え難い価値があります。ゲーム開発が大幅にスピードアップします。そして、工数とデベロッパー数を減らしてもほとんど同じ時間で従来のプログラミグと同じ結果が出せます。ブループリントがなければ、Inner Chains の開発は完成までにもっと時間がかかったですし、リソースももっと必要だったと思います。
チームメンバーの背景、および Inner Chains への貢献についてお聞かせください。
TA:私のゲーム業界での経歴は 15 年になります。かなり前から、自分の制作会社を持ちたいと考えていました。チームは全員が、多くのゲーム開発プロジェクトに関わってきた経験者達です。メンバーの中には、BulletStorm、PainKiller、Gears of War、GodFire、Dying Light、Ancient Space、Hard West、The Witcher 3 の開発に携わったものもいます。
敷かれたレール上を進むのではなく、これまで作ってきたゲームに頼るのでもなく、新しいゲームを作っています。小さなチームでの開発は、良い意味でまったく違った経験になります。作業すべてにチーム全員が深く関わります。コミュニケーションが取りやすいことも良い点です。これにより決定がスムーズになります。社内で稟議書を回して決済を仰ぐ必要もありません。さらに、現場の雰囲気が非常に「家族的」になります。
ポーランドのゲーム開発が近年目覚まし飛躍を遂げていますが、それは何故だと思いますか?
TA:ポーランドには優秀な人材が多く、ゲーム開発が若い人口の間でますます人気になっているからです。さらに、ポーランド政府もポーランドの産業として、このセクターへの投資に力を注いでいます。若者がゲーム関連分野について学習を奨励するキャンペーンも最近始まりました。もう 1 つ重要な要因は、ポーランドは近隣諸国や西ヨーロッパと比べてゲーム開発にかかるコストが低いということです。
Inner Chains に関する情報はどこを見ればよいでしょう?
TA:Telepaths' Tree の Facebook と ウェブサイト を是非ご覧ください。