今こうして PlayStation Store のゲームを見て 「よくこんなことができたなあ」とつくづく思います。
私は Solent University でゲーム アーティストおよび講師をしていますが、コンソール開発は難しい、ハードルが高すぎる、実現は無理だとか、いろんな話を耳にしてきました。 NDA (機密保持契約) があるため、言葉選びは慎重になりますが、ブループリントのみでゲームを作成および出荷する方法について説明したいと思います。
ブループリントとの出会い
私はコーディング好きではありません。私は常にゲーム開発のアート分野に興味を持っていましたが、UE4 と出会ってブループリントに魅了されました。失読症を抱えたアーティストなのか分かりませんが、複雑に絡み合って存在する色とりどりの箱は意味をなし、それを表現するためのコードとは比較できない次元の読みやすさです。
ブループリントで、これはできるか、じゃあこれはどうだ、と実験を繰り返して、最終的にはオリジナルの OUYA 版に基づいてプロトタイプを作りました。
Bear's Can't Drift!? のプロトタイプの原型
エンジン を使ってみる
エピックは驚異的なゲーム開発環境を作りました。 デフォルトのプロジェクトは何も問題なく PS4 で動きました。Bears Can’t Drift!? はサードパーソン テンプレートに基づいています。当初は困難がありましたが (エピックに修正してもらいました)、ゲームの作成、および PS4 での作動は思っていたよりもはるかに簡単でした。
事実、ゲームのコンソール版の開発中に直面した課題の多くは、次のアップデートでは基本的に修正されていました。開発全体を通してエピックは、まるで手品か何かのように、私よりもいつも一歩先を進んでいました。Sony の QA へゲームの提出も、問題なくスムーズに行えました。ゲームに関する問題はほとんどありませんでしたが、ゲームとは関係のない設定で調整が必要でした。 ビルドしたPC 向けゲームを、エラーもしくは再コンフィギュレーションなしで PS4 にポートするという、デベロッパーにとっては夢のような機能は、アンリアル エンジン 4 の品質の証です。
UE4 で作成したシェーダーと背景のサンプル
オンラインを避けた理由
オンライン プレイにすると、ゲーム開発の作業量が大幅に増加しますし、オンライン ゲームでは品質管理プロセスの条件も非常に多いです。そのような理由でオンライン プレイの案は外しました。オンライン プレイはほとんどのゲーマーが必要不可欠と感じているのに、導入と規制が足かせとなってゲーム開発に著しく影響するのは残念なことです。
エピックのスタッフの尽力
アンリアル エンジンを使う場合、独りぼっちでゲーム作りに苦しむことはありません。Bears Can’t Drift!? を PS4 向けに開発を始めた頃、 私はまさに暗中模索の状態でした (dev kit ではなく PS4 テストキットを買ってしまったり)。4.6 を使ってゲームを動かそうと、何日も格闘した末、フォーラムでヘルプを求めました。エピックのスタッフはあっという間に解決してくれました。 コンソール開発にうろたえていた私とは大違いでとっても丁寧な対応でした。その後もゲームが動くまで数日間助けてくれました。 4.6 以降はかなりの変更があり、新たな UE4 のイタレーションにより私が初めて遭遇した問題は修正されました。これから同じ作業をする人達は、処理全体がずいぶんスムーズになると思います。
大企業への提出
Sony は、デベロッパーはすべてを理解し、ゲーム開発で豊富な経験がある人だと想定しています。でも、私はそうではありませんでした。このタイトルが一般市場向けゲームのデビュー作だった私は、逆に Sony 側から提出手順を教えてもらえると思っていたし、Sony は私がすべて知っているものだと思っていました。Sony は海外のデベロッパーや大手企業を相手に、20 年以上コンソール市場に参入している大手です。ゲーム開発の巨大なナレッジベースの中で、新参者の私はすっかりうろたえました。 ガイド 、しかもかなり丁寧に教えてもらう必要がありました。
辛い教訓ではありましたが、Sony の助けのお陰で、今こうして無事にタイトルを出せました。世界中でビジネスを展開しているあの Sony と連携して、私の「Bears Can’t Drift」が実現しました。
Bears Can’t Drift!? は思った以上にビルドに時間がかかりました。開発に 2 年、 ゲームプレイ、UI、AI、T シャツ、ウェブサイト、プレスパック、コミュニティ サポート、デジタル配信、コンソール設定に 1000 時間、キックスターターが失敗したり、倒産寸前に追い込まれたり、トレイラーやバナーの作成、その他ミスも沢山ありました。
一息ついたら、また同じことを始めます。
Bears Can't Drift!? の詳細は以下のリンクでご覧いただけます。