自分が「The Martian」の Matt Damon と「The Thing」の Kurt Russell として同時に生きているとしたら?まさにそれが Unfortunate Spacemen です。宇宙服に身を包んだプレイヤー達がチームとなって滅びつつあるステーションを救いに行きますが、牙剥き出しのモンスターが徐々に彼らに襲いかかります。
このゲームのトリックは、モンスターが同じ服を着ているので外見では分からないということです。1 人だけ変装した敵がいることを慎重に見定めながら、プレイヤーは着陸パッドを片付け、カーゴを確保、レスキュー チームとのアップリンクを確立します。信頼と疑いが錯綜するゲームです。
Steam レビューには「1 度このゲームをプレイしました。私の一声で別のプレイヤーを殺してしまいました」という投稿があります。
Unfortunate Spacemen の特徴は、シンプルなプレイグラウンド ゲームの中に潜む John Carpenter 映画的な複雑な心理状態です - そして技術は絶対にそれらを邪魔しないことが非常に重要です。では、Sandswept はどのように開発を手掛けたのでしょうか。
たった1人のエンジニア
Sandswept Studios は、CEO の Geoff Keene 氏のみがフルタイム スタッフで、後はオンサイトとオフサイトの共同制作者チームによって支えられています。Unfortunate Spacemen の既存の 10 マップのうち、9 は Keene 氏がデザインおよびビルドしました。
「あと 5 つマップを作りたいです」と彼は言います。「目標を作り、確実にスポーンを存在させ、ボット用 navmesh を用意するだけで、ゲーム内のすべてのシステムは非常に速く動いてくれました。」
レベル作成では Keene 氏にとって時間が制約となりますが、彼は今流行りのキュレート アセット ストアをうまく利用しました。Unreal Engine Marketplace のような出品サービスでは、作成されたコード プラグイン、オーディオ ファイル、そして Keene 氏の一番のこだわりであるアート アセットが販売されています。
「私には芸術的才能がないので、UE4 マーケットをベース メッシュによく活用しています。それをテーマに相応しくなるように、テクスチャを編集、あるいは色を変更したりします」と彼は説明します。
Keene 氏は Star Citizen 風の宇宙ステーションの壁の彩度を何度も下げて、Unfortunate Spacemen の優しい漫画的な色に調和させたそうです。
「人がもっと引き立つようにしたい。だから背景をとても目に馴染むようにした」そうです。
Unfortunate Spacemen のプレイヤーは個別の色で識別されます。それはマップも同様で、プレイヤーは自分達が「黄色ウィング」にいることを急いで伝えることができます。
Keene 氏はアート系の経験が少ないにも関わらず、マップはどんどん多様化しており、宇宙ステーションの忠実な描写から船内の生活様式にまで広がりました。UFO が頻繁にやってくる農家の場面は特に素晴らしいです。彼は現在、Bridge をトラップしてモンスターを消すような、ユニークなマップ機能を試しています。
ネットワーク構築のスキル
「ネットワーク構築はかつてないほど簡単になっています」と Keene 氏は言います。「今はサポートが万全です。」
それでも、Unfortunate Spacemen の開発中には、とても重要な技術的な課題がありました。アンリアルのネットワーク は通常のサーバー / クライアント モデル周辺に構築されるので、できるだけ最新のマップの近似値が見れるように、サーバーは継続的に接続クライアントを更新します。
ただし、都度両方の同期を取るのは大変です。例えば、サーバーからパケットで送ったデータを受け取る時間が一番長いプレイヤーなど、ping の高いプレイヤーをゲームが処理する場合は特にそうです。
Unfortunate Spacemen ではマッチの開始時に、各プレイヤーに対して個別の色が与えられます。これは誰がどの色か、ゲームのリマインダーにもなります。しかしながら、書き出し時には、ping の高いプレイヤーはブランク、色なしのままという、マイナーながらも永続的なバグが出ます。
「このバグについてはあまり為す術がありません」と Keene 氏は付け加えます。「『このプレイヤーはラグが多いから進めなかった。接続とロード時間が長く、サーバーも頑張っているのにつながらない』という感じです。」
「『もう色は付きましたか?』と何回も確認しなくてはなりません。」
ボットの脳をビルドする
有能なマルチプレイヤー ゲームのほとんどは、静かなマッチの間のギャップをボットで埋めています。Sandswept も同じく、プレイヤーの挙動を真似する AI をビルドしました。そして問題が発生しました。
「プレイヤーの挙動というのは、本当に複雑だということにすぐに気が付きます」と Keene 氏は打ち明けます。「我々がどう頑張ってみても、これはボットだと分かってしまうでしょう。我々は基本的に人とのコミュニケーションが可能な AI を作っています。もちろん、それは大手企業でもやっていないことですが。さらに複雑な作業が追加しました。」
それだけではなく、AI はどのプレイヤーがモンスターなのかというミステリーを台無しにします。結果、おかしな行動をしているボットの中で変な挙動を探すのは難しくなります。そこで Keene 氏は発想を変えて、ボットをガードマンとして再スキンする勝負に出てみました。
「助っ人をプレイヤーの周りで動かしていた方が面白くなると思いました」と Keene 氏は言います。
それでもやはりボットはボット。AI には膨大な作業と計画が必要です。Keene 氏によると、ガードマンが障害物を避ける方法として斜面や玄関を見つけられるように、まだアンリアル 4 の navmeshes を置く必要があるそうです。
さらに、変数の数によってガードマンが異なる選択ができる決定木も組み込んでいます。例えば、マップ目標に向けて動いていないプレイヤーは疑われます。ボットはその挙動に注目し、プレイヤーの宇宙服に穴をたくさん空けます。
「すごい面白いんですよ」と Keene 氏は笑います。「ボットが決定できる一番意地悪な決定はドアを閉めまくることです。これはもう少しだけ優しくすべきかなと思います。」
エアロック外で酸素がなくなりそうな状態のプレイヤーを捕えても、あまり良い結果はでません。ただ、ガードマンによる一層の厳しさは Unfortunate Spacemen の遠い宇宙での疑心暗鬼と狂気の雰囲気ととてもよく調和します。
「Spacemen はひねりをきかせると面白さが増します。何かがおかしい宇宙ステーションというのがこのゲームの全体的なテーマですから」と Keene 氏は説明します。「何もかもが少しずれているような感じです。」
Unfortunate Spacemen は Steam の Early Access で利用できます。アンリアル エンジン 4 は現在無料です。
編集注記:PCGamesN は、長く続いている Making It in Unreal シリーズのためにアンリアル エンジンで制作された素晴らしいゲームを選んでそのデベロッパーにインタビューしています。エピック ゲームズは編集プロセスに関与していません。