バンダイナムコが UE4 を使用して『鉄拳 7』で KO を目指す
2017年2月1日

バンダイナムコが UE4 を使用して『鉄拳 7』で KO を目指す

作成 John Gaudiosi

バンダイナムコエンターテインメントの『鉄拳』シリーズは 1994 年以降アーケードゲームとして、また 1995 年以降、家庭用コンソール (PlayStation) で大きな人気を集めてきました。この 3D 対戦格闘ゲームの輝かしい歴史とともに、各開発チームでは各ゲームのエンジンを自社開発していました。

バンダイナムコの  『鉄拳 7』 のゲーム デザイナーである Michael Murray 氏によれば、仕様書をプログラマーに渡して実際に動くようになるまでに、かなりの時間がかかっていたとのことです。2015 年に日本でアーケード ゲームとして稼働を開始した『鉄拳 7』 では、エピック ゲームズのアンリアル エンジン 4 (UE4) を採用しました。

「PC ベースの開発と UE4 にシフトすることで、ゲームプレイ要素のデザインとゲームのバランスをとることに多くの時間を注ぐことができました」と Murray 氏。「ゲームを複数プラットフォーム対応にするのも一段と簡単になりました。」

シリーズ前作の『鉄拳タッグトーナメント 2』のグラフィック エンジンは『鉄拳 6』をベースにしたものであり、開発チームはスクリーン上で一度に 4 体のキャラクターを対戦させるためグラフィックスを少々スケールダウンしなければなりませんでした。

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「『鉄拳 7』 では卓越したグラフィックスを目指しました」と Murray 氏。「我々のチームではこのとき初めて UE4 を使用したため、慣れるまである程度の時間がかかりましたが、アーケード ゲームとして初めて登場した『鉄拳 7』 とコンソール版のベースになる最近のバージョンアップ版の『鉄拳 7 Fated Retribution』 のグラフィック クオリティの違いは一目瞭然です。多くのステージでは、ラウンド間での天候や時間の変化も特徴としています。これまでのところ、ゲームのビジュアルは好評でした。

圧倒的な美しさや夢中になれる体験を生み出すことは、1080p / 60 fps で実行するプロジェクトにとって不可欠なことでした。非常に重要なゲームプレイに関して、アンリアル エンジンの強みを活かすことで、バランスを取ることに時間を費やし、制作にかかる時間を短縮することができました。

「UE4 の最大のメリットは比較的早い段階で画面上にゲームを表示できることです。これにより、新しいゲームプレイ メカニクスを実装しバランスをとるために多くの時間を費やすことができます」と Murray 氏は説明します。「UE4 の物理は、迫力を増すためのフロアや壁を壊す実装に役立ちました。全体的なグラフィック レベルも大幅に向上しましたが、これはプロジェクト立ち上げ時の大きな目標のひとつでした。」

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ビジュアル面での改善以外に、バンダイナムコでは『鉄拳 7』 を観戦者から見て楽しめるものにしたいと思っていました。『鉄拳』は 3D 格闘ゲームであるため、キャラクターが火の玉を投げたり、テレポートし、飛んだりする 2D 格闘ゲームのような派手なことはしてきませんでした。『鉄拳』はそのメカニクスを理解していれば観て楽しめるものですが、初めて目にする人にとっては必ずしもそうではありません。

これに対処するためにゲームプレイにさらに深みを与えるレイジアーツのようないくつかの新メカニクスを加えるだけでなく、対戦で何か重要なことが起こったときに簡単にわかるようにしました。その一例としてファイターのヘルスが低くなると起こるスーパー スロー モーション エフェクトも加えました。このエフェクトはリアルタイムで起こり、アクションがスローダウンします。そのため緊張感が増し、勝負の最後がドラマチックになり、最後の一撃で勝敗が決するかどうかという瞬間には、手に汗握るシーンをじっくりと楽しむことができます。Murray 氏によれば、これは今年のトーナメントで非常に人気を集めたとのことです。

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UE4 を使用するのは、PC、 Xbox One、PlayStation 4 向けの『鉄拳 7』 で、実際には 3 回目になります。2015 年にオリジナルのゲームを日本のアーケード版でリリースし、その後、2016 年に『鉄拳 7 Fated Retribution』 でアップグレードしました。

「アーケード版の『鉄拳 7』では、UE4 でかなりの数の新キャラクターを加えて、レイジアーツを実装し、ゲームの微調整も行いました。他の大きな課題は、格闘ゲームとしては初の店舗間オンライン対戦を実装することでした。」

『鉄拳 7 Fated Retribution』 では、『鉄拳 7』 開発時の UE4 の使用経験を活かして背景にさらに磨きをかけることができたとのことです。このゲームでは、ストリートファイターのキャラクターの豪鬼の実装をテストする機会もありました。

「豪鬼には波動拳、昇竜拳、竜巻旋風脚、スーパーメーター、EX の動き、セービングアタックなどがあるため、他の鉄拳キャラクターとはかなり違います。バランスをとるのが最も難しいキャラクターでした」と Murray 氏は説明します。「しかし、ストリートファイターのプレイヤーから我々のゲーム内で直観的な感覚を得られたというフィードバックを聞いて安心しました。『鉄拳 X ストリートファイター』発表時の多くのプレイヤーの最大の関心事は、『鉄拳』のなかで波動拳をどのように扱うのかということでした。しかし、誰もその話題を口にしなくなったため、豪鬼がいかに自然に加わったかがわかります。

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『鉄拳 7』 のコンソール版のゲームプレイはアーケード版をベースにしていますが、今回新たに登場したキャラクターも何体かあります。さらに、コンピュータが生成した動画からインゲームのシネマティックス、実際のゲームプレイにシームレスにゲームが移行するストーリー モードは、PC とコンソール版の新たな重要機能になるでしょう。

「『鉄拳タッグトーナメント 2』 は『鉄拳 7』 のような続編ではありません。そのため、ストーリーラインの進展はありません」と Murray 氏は言います。「ファンの多くは物語で次に何が起こるかを楽しみに待っています。これにより、それを『鉄拳 7』 の重要な部分にしたいと思いました。」

UE4 を採用した  『鉄拳 7』 のコンソール版のリリースは 2017 年 6 月 2 日を予定しています。上の動画でストーリー トレーラーをご覧いただくことができます。