August 28, 2018

Aspyr がアンリアル エンジン 4 を使用して、ダークな雰囲気の SF ミステリー Torn を VR タイトルとして制作

作成 Shawn Petraschuk

VR のヘッドセットを使ってみたことがある方であれば、奥深さの面でも品質の面でも、VR のエクスペリエンスは玉石混交であるということをご存じでしょう。VR タイトルの多くは、VR というメディアの基本的な特性を示すのがやっとといったところですが、VR の可能性を押し広げ、それまでの障壁を打ち破るようなものがごくわずかながら存在しています。8 月 28 日に PSVR、Oculus Rift、HTC Vive 向けにリリースされる Aspyr の Torn は、その 1 つと言えるでしょう。



『トワイライト・ゾーン』や『ブラックミラー』などのテレビ番組に影響を受けたダークな雰囲気の SF ミステリーである Torn では、64 年前に行方不明になったエキセントリックな発明家兼科学者の世界と、彼が残した不気味な邸宅を訪れることができます。ストーリー性のある謎解きのゲームであり、プレイヤーは邸宅に息吹をもたらしながら、科学者の手によるミステリアスなたくさんの機械を再稼働させていきます。そうしている間に、プレイヤーは Aspyr が苦心して作り出した物語にみるみる引き込まれていくことになります。



従来の開発では考慮する必要がなかったであろう問題に直面した Aspyr は、アンリアル エンジン 4 を利用して VR の分野で足跡を残そうとしました。この度、Torn のクリエイティブ ディレクター、Neill Glancy 氏にお話を伺う機会をいただきました。初期のブレインストーミング セッションから、完成版の出荷に至るまで、VR タイトルの制作について伺いました。

Torn について、その背景と、プロジェクトがどのように始まったのかを教えていただけますか?



Aspyr で新規 IP の検討プロセスを始めた当時は、どのようなタイトルにするか、具体的なことは頭にありませんでした。業界全体で VR が大きな話題になっていた時期で、まだあまりよく知られてもいなかったので、いい分野のように思えました。新しいメディアに取り組めば、チームは間違いなく多くを学ぶことができます。チームのクリエイティブ ディレクターとして、私はいつも、新しいことを学習し腕を磨くことと、表向きの目的となる、チームがわくわくするような物語またはクリエイティブの文脈を融合させることが重要だと感じています。自宅に Vive があったので、チームを集めてビールを振るまい、『theBlu』、『Job Simulator』、Valve の『The Lab』など、初期にリリースされたタイトルのいくつかを試してみました。ルーム スケール VR は初めての経験でしたが、誰もがその創造的な空間と可能性に興奮していました。



時間をかけて、「第 1 世代の VR はどの点で成功し、どの点で失敗しているか」という問いへの答えを考えました。予算が限られた小さなチームである私たちにとっては、創造性をどこに重点的に振り向けるか、早い段階で決めることが重要です。大量の要素や膨大なスコープに対応することはできません。どの要素をゲームの「支柱」とするか、慎重に選ぶ必要がありました。VR の市場について考察した結果、私たちは初期のタイトルについて次のようにまとめました。



        
  • 別の現実へとテレポートするような感覚はすばらしく、前例がないものである

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  • 私たちがプレイしたゲームは VR 中心の楽しい仕組みが採用されていて、コンソールでの標準的な仕組みとは異なっていた

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  • 初期のゲームまたはエクスペリエンスのほとんどで、ストーリーやコンテキストと呼べるようなものはあまりなかった

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  • 多くのゲームで、変化が少ない世界が舞台となっていた。それらは見た目には美しかったが、説得力のある自然な形でインタラクションすることはできなかった


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これらの候補のなかからいくつかのパラメータを設定し、検討における次の段階で使う指針としました。VR 2.0 とでも呼ぶべきものを作るには、何をその支柱とするべきかと問いかけ、答えを導き出しました。



それは、旅行のような VR ファンタジーで、手を触れたくなり、もっと知りたくなるような世界にプレイヤーを引き込むということです。詳細は次のとおりです。



        
  • プレイヤーが面白い行動を起こせるようにすると同時に、その動機となるストーリーを提供する

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  • ユーザーが長く楽しめるようなエクスペリエンスにするために、魅力的な物語と組み合わせる。ミステリーか探偵物のような要素を加えることも考える

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  • 美しく、生き生きとして見える世界を可能なかぎりシミュレートする

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  • VR の 1 回ごとのプレイ時間に留意し、作品にマッチする形でその問題に対処する

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  • 現在の時代精神を反映するアイデアを考案する。ほかのメディアを通じてプレイヤーがすでに親しんでいるテーマや物事の解釈を取り上げる




数年前、私は、『ストラングルホールド』のリード デザイナーを務めました。『ストラングルホールド』では物理システムを多用しました。私はその分野での経験が豊富だったので、新しい作品にもそれを活かしたいと考えました。物理に関する技術を調べているなかで、このビデオを見つけ、大きなインスピレーションを得ました。

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水のシミュレーションにすっかり魅了され、これを使って VR で何かできれば面白いのではないかと考えました。そこで、ブレインストーミングを行い、VR でプレイヤーが液体とインタラクションするにはどうすればいいか、アイデアを探しました。液体のシミュレーションに関する創造的なアイデアを出すと同時に、FleX をアンリアルで使うことについて調査して、発想が根本的に間違っていないかどうかと、VR に求められる高フレームレートで液体のシミュレーションを VR 内で実行できるかどうかを確かめようとしました。



すると、液体を VR 内でレンダリングできることは可能であるものの、その量はわずかに限られるということがすぐにわかりました。その時点で、大量の水や海を使うアイデアは放棄する必要がありました。その代わりに、プレイヤーには少量の液体を与えて、それが重要なものになるようにすることにしました。あらゆるアイデアを試しました。迷路のゲームでは、プレイヤーが迷路の向きを操作して迷路の中を液体が動くようにし、パズルのゲームでは、プレイヤーが限られた資源を使って液体をステージ全体に行き渡らせるというものになりました。液体をゼラチン状にして、1960 年代風のスライム状のクリーチャーを題材にしたアイデアもありました。そのクリーチャーをプレイヤーが操作し、小さな町を飲み込もうとするというものです。ここで小さなブレークスルーがありました。重力を無効にするというものです。それまで、どのアイデアでも、液体は重力によってシーンに縛り付けられていましたが、重力を取り除くと、液体が浮遊し、触手を持ったような「もの」に変化します。これは VR で観察すると非常に面白く、触れ合ったり、まき散らしたりしても楽しいものでした。低重力下で液体が飛び散ったりくるくる回ったりするのを眺めると、心を奪われます。とはいえ、それをどうやって使うのかを考える必要がありました。



もう 1 つ、液体のシミュレーションをレンダリングすると、GPU に極度の負荷がかかるという問題がありました。液体のレンダリングとそれを取り巻く複雑な世界の表示を同時に行うことはできないので、プレイヤーが液状の物体とやり取りできるようにするには、物がないような状況を作らざるを得ませんでした。



このような技術的な制約とパフォーマンス上の制約から、次のようなひらめきが生まれました。液体を少量しか扱えないとして、最も重要で価値があるものにするなら、何が考えられるだろうか? この問いに対して私たちが出した答えは、人の心でした。心とはそもそも抽象的で想像によるものですから、液体で表現するには適しているように思えました。さらに、その心がどこか抽象的なところに囚われているとすれば、描写を軽くして、液体による GPU への負荷を打ち消すことができます。



検討プロセスと技術研究から、1 つのストーリーが浮かび上がりつつありました。しかし、1 人の人間の心がどうにかしてどこか別の場所に閉じ込められてしまう、というだけではバランスが悪いようでした。そこで、揺れている振り子をイメージして考える必要があると感じました。振り子の一方には、奇妙などこか別の場所がくるとして、もう一方には何がくるべきだろうか。失われてしまった心と対をなすにふさわしいもう 1 つのものとは何だろうか。そう考えたとき、邸宅というアイデアが生まれました。ゲームの振り子が揺れ動き、プレイヤーが邸宅で過ごす時間とどこか別の場所で過ごす時間を行き来するとしたら? そうすれば、非常にユニークな差別化された 2 つの舞台をプレイヤーが経験できて、表面上は見えないゲームの進行に合わせて自然なリズムが生まれます。



また、ストーリーを語るために、真に迫ったパフォーマンスができる俳優たちが必要だとわかっていましたが、リアルな表情をパフォーマンス キャプチャするための予算はありませんでした。そこで、シミュレーションに会話を加えて、会話に液体が反応しているようにできれば、液体のシミュレーションを成功に導けると考えました。名作映画の音声データを使ってテストを行うことにして、『ダーティハリー』『タクシードライバー』『The Three Stooges』などから取ったセリフを液体のシミュレーションに渡してみました。このテストから、印象的なパフォーマンスであるとわかっているものに対して液体がどのように反応するかを見ることができて、液体の音声データへの反応に関するパラメータを調整できました。



液体のキャラクターに希望が持ててきたところで、邸宅にも目を向けました。建築のデザインとストーリーを考えて、作業の範囲を理解できるようにしました。世界レベルのライター 2 人を雇って、プロジェクトのストーリーの面を助けてもらうことにしました。この点についてはまた後ほど触れたいと思います。

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プレイヤーは Torn でどのような謎解きに挑むことになるのですか? 良くデザインされた謎解きとはどのようなものだとお考えですか?



ゲームの一部は邸宅の内部が舞台になるとわかった時点で、邸宅内でプレイヤーが何か面白いことをできるようにしたいと思いました。それによってストーリーを進めて、私たちが目標としていた「プレイヤーが面白い行動を起こせるようにすると同時に、その動機となるストーリーを提供する」ということを実現できるのが理想的でした。また、謎解きのベスト プラクティスから学び(GDC での発表と Gamasutra が参考になりました)、適切な謎解きを作るには、何度も繰り返すことが必要だとわかっていました。繰り返しに伴うリスクを緩和するために、謎解きの内容が邸宅の見た目に依存しないようにしました。つまり、謎解きの内容を考えて、ばらばらにして、再構成するなかで、その変更に対応するためにアーティストが作業を行う必要がないようにしました。



やたらと難しかったりイライラしたりするような謎解きにはしたくないとも考えていました。謎解きの要素はプレイヤーを一時的に惑わせるけれども、ゲームの進行を妨げるものにはしないことが重要でした。プレイヤーにはゲームのストーリーを最後まで体験して欲しかったからです。この点では、ゲームの謎解きに関する一般的な原理から少し離れました。特に VR では、わずかな人しか突破できないような困難な問題を作るより、謎解きをわかりやすいものにすることのほうが重要だと考えました。



「hero rooms」では、謎解きをカスタマイズできる可能性を提供しています。カスタマイズできる要素を取り入れて新鮮さを保つことが目的です。カスタマイズできる部屋では、従来型の部屋での謎解きのために作成したテクノロジーを活用しつつ、新しい工夫を取り入れました。全体的に、カスタマイズできるパズルと従来型のパズルとの間でいいバランスを取ることができたと思います。



個人的には、良くデザインされた謎解きというものは、初期の謎解きが徐々にヒントとなり、やがて難しい課題に挑むときに、それらを意外な形や順序で組み合わせることを求めるものだと思います。ひらめく瞬間が鍵です。Torn における謎解きの要素はすべて部屋に結び付いていて、それぞれの部屋に難易度が異なる 3 つの謎があります。物語の設定上、舞台となる邸宅は、実際には建物というよりも機械に近いものです。ですから、謎を解いて「部屋を目覚めさせる」ことが目的になります。そのために、部屋にある回路を起動させたり完成させたりすることで、機械の部品を動かしていきます。部屋のクリアと VR の 1 回ごとのプレイ時間の関係も気に入っています。一般的に、ほとんどのプレイヤーは 1 つの部屋を 15 ~ 20 分でクリアします。それからもう一方の舞台となる領域に移って、そこで液体のキャラクターと会話をします。このように、振り子の両側(邸宅での謎解きと液体とのやり取り)を 30 分以内で経験できるようになっています。この時間は、ほかの開発者から聞いた、VR の 1 回ごとのプレイ時間とうまくマッチしています。

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VR タイトルにすることに伴って、予期しなかった課題が生じましたか? それらをどのように克服したのですか?



主に次の 2 つの点が最大の課題となりました。



プレイヤーの注意を引くこと:よく知られているとおり、VR ではプレイヤーが好きな方向を向くことができるため、ストーリーを展開するのが難しくなる場合があります。また、特定のタイミングでプレイヤーが適切な方向を見ているという保証を得ることが難しくなります。特定のタイミングでプレイヤーに決まった方向を向いてもらうように案内するために、ライティング、モーション、サウンドを組み合わせて使用しました。それらによってプレイヤーの注意を引き、成功したかどうか、つまり私たちの期待する方向をプレイヤーが向いているかどうかを HMD にクエリします。ちょっとずるいやり方ですね。まだ学習の余地がありそうです。



マルチプラットフォーム:2 つ目の課題は、対象とするさまざまなハードウェアでゲームがうまく動作するようにすることでした。Vive、Oculus、PSVR などのプラットフォームは、トラッキングの精度、トラッキング ソリューションの種類、CPU、GPU、メモリの速度など、基本的な点が大きく異なります。各プラットフォームに優れたソリューションを提供し、快適にプレイでき、すぐに慣れることができるものにするために、ほかのゲームを参考にして、ベスト プラクティスとして成立しつつある方法を調査する時間を取りました。

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物語は Torn にとって重要な要素の 1 つですね。ストーリーテリングにどのように取り組んだのか教えていただけますか?



ストーリーは重要な要素の 1 つでした。また、『Firewatch』、『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』、『Black Mirror』、『Stranger Things』などのタイトルを消費者が歓迎していたこともわかっていました。これらのタイトルのエクスペリエンスは、私たちが Torn のストーリーで実現したいと考えていた品質を備えていました。アニメーションするキャラクターを作ることはできないという制約があったので、画面で話すキャラクターに実際のキャラクター モデルを使用することはできません。中心的なキャラクターの 1 人として液体のシミュレーションを使うことは決まっていました。また、プレイヤー キャラクターが話をすることを通じてエクスペリエンスを推進し、プレイヤーの注意を引きたいとも考えていました。最後に追加したキャラクターたちは、「Specks」と呼ばれるもので、小さい鮮やかな光です。ティンカー・ベルのようなものですね。Speck は液体のキャラクターの心のかけらであり、邸宅に囚われています。プレイヤーは、Speck を集めて液体のキャラクターの心を再建することを求められます。液体のキャラクターが記憶を取り戻していくなかでストーリーが展開されていきます。これは Christopher Nolan 監督の映画『メメント』でうまく展開されたストーリーに通じるところがあり、いいアイデアだと思いました。中心となるキャラクターの記憶に従ってストーリーが明らかになっていくという構造は、プレイヤーにとって興味深いものになることが期待できました。また、面白い展開を維持するためにプロットについてプレイヤーの意識を誘導するうえで、創造力を発揮する多くの余地が生じました。



もちろん普通のストーリーよりもずっと複雑になるので、プロのライターをフルタイムで 1 人雇う必要があることは明らかでした。当初は非常に才能豊かな Matt Soell 氏と協力しました。2 か月かけて初期のドラフトを更新し、3 部構成の物語にしました。また、特別な点は何かなど、ストーリーにとって最も重要な点のいくつかをはっきりとさせることができました。ストーリーが非常にしっかりとした基盤の上に成り立ち、ゲームの世界の中にあるすべてが正しく感じられ、不自然にならないということは非常に重要でした。世界には歴史があり、プレイヤーがその歴史に触れることができ、歴史から世界のあらゆる場所について説明が付くようにしたいと考えていました。Soell 氏との契約期間が終わり、最高のストーリーを提供してくれるパートナーとなるライターを再び探しました。すると Susan O’Connor 氏のスケジュールが空いていたのです。『Bioshock』や『トゥームレイダー』など、数多くの有名なタイトルに携わってきた O’Connor 氏をチームに迎え、物語のビジョンを完成させるために手伝っていただけることになり、わくわくしました。



Torn のストーリーの構造は振り子のメタファーに従っています。プレイヤーが邸宅を調査するとき、主な行動が 2 つあります。



        
  • 部屋の謎を解いて、邸宅の風変わりな機械を起動させる

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  • 記憶を司る Speck を集めて、囚われの液体の心を取り戻す




それに応じて、物語も 2 つのサイクルに分けられます。邸宅の謎解きと、その報酬として記憶を取り戻すフェーズです。液体のキャラクターが思い出したことによって、もう一方の領域でプロットが進行します。2 つの領域を振り子のように行き来することでテンポが良くなります。これは製作上リスクを取ったなかでもうまくいった点だと思います。



Torn における現実の世界である邸宅にプレイヤーが接するために、Speck たちは話すことができます。小さなガイド、あるいは部屋を担当する執事のようなものです。プレイヤーは、邸宅について調査していくなかで、建物や機械、部屋についての過去の出来事を Speck から聞いていくことができます。Speck は、プレイヤーが謎解きに行き詰まったときにヒントを出す役割も担います。Torn の世界にちょっとした軽いユーモアをもたらす存在でもあります。陰気な邸宅にはよくマッチしていると思います。



これらの仕掛けに加えて、「記憶の星座」と呼ぶものを作りました。プレイヤーは、液体のキャラクターの元を訪ねると、邸宅で集めた記憶のかけらである Speck を渡します。すると、液体のキャラクターが思い出したことを聞かせてくれます。この瞬間をより印象的なものにするために、Tilt Brush によるイラストを採用しました。液体のキャラクターから思い出したことを聞くと、それらが空に現われて、カラフルな楽しい形でストーリーを描き出します。プレイヤーは液体のキャラクターの元を訪れるとき、何が起きるか予測できないので、これは中心となるストーリーにプレイヤーを引き付けるためにも大きく役立ちます。

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ミステリアスな古い建物が私たちを引き付け続けるのはなぜだと思いますか? また、この設定にどうやって新鮮味を加えたか教えていただけますか?



古い建物には物語が隠されています。人間は好奇心が強い生き物ですから、この 2 つの組み合わせは相性がいいのでしょう。むずむずするような気持ちに焦点を当てて、邸宅をユニークなものにするために、行き当たりばったりな機械の侵入というアイデアを採用しました。Torn のストーリーでは、舞台となる邸宅は、精神に関する奇妙な実験を行っていたエキセントリックなカップルが住んでいたところだとプレイヤーに告げられます。そのカップルが作業を行うためのコンテナだったと考えることもできます。そして、邸宅の持ち主であった発明家は、巨大なケーブルを通して奇妙な装置をつなぎ合わせるために壁を破ることに気が咎めるような人ではありませんでした。カンボジアのアンコールワットで樹木と寺院が 1 つになっているように、建物とテクノロジーが融合しています。

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侵入してくる機械は、好奇心を煽り、かつ目的がある物体にして、しかし必ずしも恐しいものにはならないようにしたいと考えました。そのトーンを説明するために、「Wonk」という言葉を使うことにしました。「ウィリー・ウォンカ(『チャーリーとチョコレート工場』に登場する工場長)だったらこの装置をどう作るだろうか?」と考えました。フレンドリーでありながらミステリアスでもある装置にしたかったのです。Wonk のトーンに沿ったさまざまな設備を邸宅中に置くために、Wonk の部品セットを作成しました。これらの部品を使って、奇妙で、しかし馴染みのある感じがする、あらゆる種類の物体を作れるようにしました。

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また、プリンシパル アーティストの Chip Patterson は、以前はプロの建築家でした。構造に関する彼の感性を活かして、邸宅が地に足がついた現実的な建物として感じられるようにすることができました。それは、目には見えなくても、邸宅の DNA として感じ取ることができるものです。

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以前にアンリアル エンジンを使ったことはありましたか? Torn のためにアンリアル エンジンを選択したのはなぜですか?



チームの全員が、以前にアンリアル エンジンを使ったことがありました。私は『ストラングルホールド』でアンリアル エンジンを使いました。世界レベルの VR ビジュアルを機能させるには、パフォーマンス最適化のための強力なツールが必要になるとわかっていました。それがあったので、私たちにとってアンリアルはすばらしいソリューションでした。ソース コントロールとの連携と UI のおかげで使いやすいツールとなっていて、行き詰まることなく、コンテンツを優れたものにするために多くの時間を割くことができました。



もう 1 つの大きなメリットは、アンリアルが NVIDIA の FleX および GameWorks と連携できたことです。これによって、検討段階で作業を順調に進めることができました。



アンリアル エンジン 4 のお気に入りのツールまたは機能について教えてください。それは開発にどう役立ちましたか?



ブループリント システムのおかげで、プログラマーでなくてもインタラクティブなコンテンツを簡単に作成できました。Torn のプロジェクトではプログラマーが 1 人しかいなかった(Alex、ありがとう!)ので、これは重要なメリットでした。ブループリント システムを活用することで、プロダクション リソース全体を費さずに多くのアイデアを試して選ぶことができました。副産物として、ロジックも内包した複雑なオブジェクトをインスタンス化し、ゲームのワールド内でコピーおよび配置して、謎解きに利用できました。



VR ゲームはまだ黎明期ですが、将来についてどうお考えですか?



個人的には、VR が人間と機械のインタラクションにとっての新しいパラダイムであることは間違いないと思います。教育や産業の分野ではすでに強力で説得力のある利用例があります。VR は新しい種類のインタラクションを可能にします。私はこれを「空間理解」と呼んでいます。エンジニアや科学者は、医学や科学に関するデータをこれまでになかった形で見られるようになりました。また、それは直感的に利用できる方法でもあり、すぐに大きな価値をもたらすことができます。うまくいけば、将来的には、今あるようなヘッドセットよりも低コストで軽量かつ快適なものを使えるようになり、セットアップの手間も少なくなるでしょう。インサイド アウト方式とアウトサイド イン方式、両方のトラッキングを取り入れて VR 空間のセットアップにかかる手間を減らせば減らすほど、VR が誰もにとって本当に持ち運べる便利なものに近付いていくでしょう。



Torn の展開に関する最新情報はどこで確認できますか?



Torn の最新情報については、https://www.tornvr.com/ をご覧ください。