Koralsky 氏と Todorov 氏は、ゲーム業界でのフルタイムの仕事を辞め、 Kyodai Ltd. を設立しました。そして、彼らの複雑精巧なビジョンを実現するため、 Elea というプロジェクトを立ち上げました。チームは2人だけなので、アンリアル エンジン 4のツールは、ワークフローを円滑に保ち、開発が一定のペースで進められるようにするために不可欠な要素でした。もちろん、困難が全くなかったわけではありません。ゲーム製作の途中、多くのハードルがありました。しかし、家族の多大な支援と兄弟仲で、9月6日に Xbox One と Steam でついにリリースすることができました。
Koralsky 氏と話し合いながら、インディー開発での試行錯誤、地に足を付けておくことの重要性、そして Kyodai Ltd の共同創業者たちがアンリアル エンジン 4によって独自のゲームを作るという夢を実現するためのあらゆる方法について、検討してきました。
Elea は Kyodai Ltd. の初めてのプロジェクトです。スタジオや過去の経験、そしてどんなことがインディーズ開発に没頭するためのモチベーションとなったか教えてください。
私たちは2015年に2人で小さいスタジオを設立しました。業界の経験に関しては、私とパートナーでは、バックグラウンドはとても大きく違いました。
私は、ゲーム業界のさまざまな分野での経験があります。販売業( SEGA 、 Nintendo 、 Ubisoft 、 THQ 、 Midway などのブルガリア支店のブランド マネージャー)、幅広い分野での印刷版ゲーム雑誌やウェブサイト管理の編集長、ゲーム テスターです。また、今でもブルガリア最大のゲーム フォーラムの共同オーナーです。
Todor氏は教育の建築家であり、 Ubisoft の環境アーティストとして働いていました。そして、世界的に高く評価されている2つの AAA プロジェクトであるアサシン クリード 4ブラック フラッグとアサシン クリード ローグに 積極的に関わっていました。
インディーズ開発に飛び込む決意をした理由は「ゲームに対する純粋な愛」というシンプルでわかりやすいものでした。Elea は Kyodai の最初のプロジェクトですが、これはインディーズゲーム開発への最初の挑戦というわけではありません。まだ日々の生活費を稼ぐための仕事をしていたとき、モバイル プラットフォーム用の シューティングゲームのアイデアのブレインストーミングを開始しましたが、初期段階では時間の制約が原因ですべてが行き詰りました。この経験が、フルタイムの仕事を離れ、「 Project Elea (ゲームの作業タイトル)」に専念する理由となりました。私たちはとても仲が良いので、日本語の「兄弟」を意味する「Kyodai」をスタジオ名としました。私たちの仕事における関係を完璧に表現しています。

Elea について詳しくない読者のために、ゲームとその物語に関するゲームプレイについて少し教えてください。
Elea は、私たちが子供の頃に多くの時間を捧げた Stanislaw Lem や Arthur C. Clarke のような古典的なSF作家や「2001年宇宙の旅」や「スターウォーズ」といったSF映画からインスピレーションを得ました。
Elea は、ますます普及している「体験型」製品に振り分けられます。それは、プレイヤーを楽しませることが最重要で、経験的で、ストーリーテリングで、心揺さぶられる感動的な瞬間があるゲームです。
他のテーマでは、ゲームの物語は、全知能の人工知能がもたらす星間旅行といった文脈で、人間の存在とアイデンティティについて探ります。私たちのアプローチは、ストーリー主体の一人称アドベンチャーとは少し異なります。
開発の初めに、「自分たちはそのジャンルにどのような技術革新をもたらすことができるのか?他とは違う部分は何か?」について、自分たちの中で問いかけました。もちろん、物語は非常に重要ですが、あらゆる「歩行シミュレータ」は、それぞれプレイヤーごとに違う理解の仕方をしてほしいのです。
こうしたブレーンストーミング セッションの結果、ゲームの主要な要素を物語の中で目立たせるのはとても難しいだろうという事実がわかりました。なぜなら、これは私たちにとっての初めてのゲームだからです。次に、 Elena の物語を、溶岩や雪、水中のレベルなど、ほぼすべてのレベルが違う、古いプラットフォームタイトルと同じような形で語ることにしました。
また、フィールドの多様化も行いました。私たちは、前述のような保守的なゲームの心からのファンであることと、ほとんどのストーリー主体の FPS ゲームが、独特な場所が一つだけあり、ビジュアル的なトーンも一つだけしかないからです。ゲームプレイの点では、 Elea はあらゆるジャンルをミックスしています。
このゲームの物語は完全にオリジナルで、自分、 Todor 氏、このゲームの脚本家である Decho Taralezhkov 氏のとのコラボレーションから生まれました。Elea 役を演じてもらうため、経験豊富なハリウッド女優である Leslie Fleming-Mitchell 氏とも一緒に仕事をしました。

Elea の深宇宙という設定によって、寒くて狭苦しい廊下のちらつきから壮大な星空の景色まで、多くのユニークなライティング環境を作成できます。これらの環境を効率的に作成するうえで、アンリアル エンジンはどのように役立ちましたか?
デフォルトでエンジンにツールセットが付属していたため、ゲームの計画段階でアンリアル エンジンを選びました。アンリアルを選んだ主な理由は、コア メンバーがたった2人で構成されているチームでも、 Elea のスコープとビジュアルを備えたゲームを作ることができたからです。実際のところ、少なくとも私たちの場合、5年前だと Elea は実現不可能なプロジェクトだったでしょう。私たちの経験からの事しか話せませんが、このエンジンのワークフロー全体は、私たちのような小さなチームにとってほぼ非の打ち所がありません。
エンジンのストリーミング システムにより、両方とも異なるマップ上で、お互いの仕事を邪魔することなく、同時に作業できました。ブループリントs クラスが再利用できることも、非常に役に立ちました。実際、ゲームの大部分はアンリアル エンジン 4 のネイティブのビジュアル スクリプト言語で作成されています。ブループリントは、私たちにとっては間違いなく完璧でした。ゲームプレイ プロトタイプ作成の容易さと、ゲームでの Tick イベントはほとんど必要ないからです。なので、パフォーマンスには苦労していません。
Elea には、完全に動的なライトを使用しています。ゲームには予めベイクされたライトはありません。開発プロセスの始めに静的ライトを使い始めましたが、 Elea のスコープや限られたリソースのため、イテレーション時間は私たちが求めていたものより非常に遅いものでした。幸いなことに、 Elea の物語は未来的なものなので、私たちは完全に動的なライティング システムで作業することにしました。そのおかげで、ライティング デザインのより迅速なイテレーションや、より動的なシーンと飛行中における特定の大気を即座に作成することが可能になりました。

アンリアル エンジン 4には、開発者向けに多くのツールが用意されています。Elea を開発している間、あなたの好きなツールは何でしたか?
2人だけのチームだったので、多くの場面でエンジンを使用する必要がありました。お気に入りはマテリアル エディタで、私たち両方にとって本当に素晴らしいツールでした。ノード ベースのシステムは理解しやすく、デフォルトでは制限がほとんどありません。
もちろん、ブループリントはチームの誰もがゲームプレイを作成できるような柔軟性や、C++ イベントを呼び出せるといった機能があり、それも私たちお気に入りのパワフルなツールです。
そして、私たちが愛してやまないもう一つの素晴らしい機能は、自動 LOD 生成ツールです。安定したパフォーマンスを得るのに役立ちました。
最後に、エンジン全体が、特定のルールを持つワールドを作成するための基盤として、私たちを子供のころに戻ったような気分にさせてくれます。私たちの考えでは、アンリアル エンジン 4 は、学習と創造のポテンシャルが事実上無限の「魔法の杖」です。「魔法の杖」は、PC と Xbox プラットフォーム( Xbox One X のフルサポート付き)でゲームをリリースするのに役立ちました。

Elea は Frank Herbert 、Stanislaw Lem 、Arthur C. Clarke のような注目すべき古典的なSF作家からインスピレーションを受けていると言われました。このような崇高な作品群と比較されるなか、自分で満足のいく物語を開発するのはどれほど困難なことでしたか?
Elea の物語については、脚本家である Decho Taralezhkov 氏(彼は映画業界で優れた実績を持っています)と一緒に取り組みました。私たちが最終的に「これだ!」と言えるものができる前に、話を練っている段階で物語にはいくつかの大きな変更が加えられました。これが私たちの伝えたいメッセージです。
最初のエピソードは、時々非常に抽象的だったり、プレイヤーに投げかけられる質問の大半に答えが出ないということを、私たちは承知しています。しかし、それには理由があり、すべて話は繋がっており、関係があります。最初のエピソードでさえも伏線が隠されています。

Elea は、「宇宙における人類の立ち位置」や「信仰の意味」といった大きな疑問に焦点を当てた重いトピックに取り組んでいます。このような重い物語をまとめ上げる際に、チームはどのようなハードルを乗り越えなければなりませんでしたか?
ゲームの主な目的は、深い悲しみと受容について、繊細かつ成熟した話を語ることです。あなたが思ったとおり、これは小さなチームにとっては簡単なことではありません。文章それ自体だけでなく、すべてをビジュアル的に表現する方法や、ビジュアルと一緒にサウンド デザインをどのように合わせるか等も考える必要があるからです。ほとんどの曲は、ブルガリアの作曲家 Simeon Hristov 氏が Elea のために書き下ろしていますが、そのサウンド デザインは私たちがやりました。
最初のエピソード時の開発では多くの制限がありました。技術的なものだけではなく、プロジェクト全体の管理も大きな課題でした。計画段階から、フリーランス開発者と密にコミュニケーションをとるために、ゲーム開発中は私たちの生活費も予算に入れていました(私たちどちらも、前述の通り他の仕事を辞めています)。そのため、常に挑戦の連続でした。もちろん、エピソード1の開発中は貴重な経験を積むことができました。それらは間違いなく、将来のエピソードを作る際、役に立つでしょう。

インディーゲームの開発は、誰にとっても多くの苦労があり、最もストレスのかかる作業の一つであると知られています。Kyodai はたった2人だけのチームですが、やることが多すぎて首が回らないと感じたときはありますか?もしそうなら、その苦しい期間をどのように乗り越えましたか?
正直に言いましょう。 Elea の最初のエピソードの開発中は、大きなストレスを感じる時がたくさんありました。これはチームとしての最初のプロジェクトである一方、ゲームの規模は巨大です。そしてもちろん、初めて何かをするときは、間違いがあって当然です。
このような困難な時には、お互いに支え合うことが非常に重要でした。結局のところ、私たちは 「Kyodai(兄弟)」 ですから。このゲーム製作においてもう一つ良かったことは、私たちの間で深刻な対立がなかったことです。
私たちの仕事場にはアーケードマシンもあります。チャレンジに対する緊張と重さに押しつぶされそうになると、私たちは狂ったように NBA JAMをプレイしていました。
もちろん、家族からの支援も非常に大事でした。私たちの愛妻である Ralitsa と Slavena がスクリプトと予算面において助けてくれました。私の妹である Virginia はスクリプトの編集を手伝ってくれたし、Todor の父は私たちにアイデアをくれたり支援してくれました。

Elea のエピソード1がリリースされました。プレイヤーは、どのようなことをエピソード2に期待していいでしょうか(楽しみを奪わない程度にお願いします)?
開発の初期にはエピソードの構造を念頭に置いてストーリー展開を作っていなかったので、エピソード2では具体的で違ったトーンのものを期待できます。つまり、より多くの答えが見つかるでしょう。思い出はまだエピソード2の一部であると言うことにしましょう。しかし、今度はいつそれらがきっかけとなったのかについて、プレイヤーは確実に知ることになるでしょう。
いくつか新しいゲームプレイのマシンが登場し、ペーシングはより速くなります。なので、プレイヤーは最初から設計通りにスプリントすることができるようになります。
実際のところ、2番目のエピソードは既にプレイアブルな 状態であることを認めます。もちろん、ビジュアルはホワイトボックス レベルで、スクリプティングは非常に基本的な段階で、まだまだですが。技術的な観点からは、今度は Xbox プラットフォームをメモリ管理レベルでどのように対処するか考えているところです。

読者の多くは、アンリアル エンジン 4 について触り始めたところです。そのような人々へのアドバイスをお願いできますか?
アンリアル エンジンに 新しく触れる若い人(またはゲームエンジンを扱った経験がない人)へのアドバイスをするとすれば、本格的な開発を始める前に、エンジンと数ヶ月触れあうことです。ゲームプレイのプロトタイプをいくつか作り、基礎を学んでください。今日のエンジンのドキュメントは本当に親切ですし、エピックやコミュニティには多くのチュートリアルがあり、それも役に立つかもしれません。また、問題に直面しているときは恥ずかしがらずに助けを求めましょう。アンリアルのコミュニティは優れており、そういった状況では大きな支えになるでしょう。
はっきり言いますが、私たちは、ゲームが試作段階の間、ただ基礎を学ぶため、エンジンの数バージョンに5ヶ月を費やしました。
Elea と Kyodai Ltd について詳細を知りたい人は、どこを見れば良いですか?
詳しい情報については、私たちの「Web サイト」 www.projectelea.com 、 「Twitter のプロフィール」 、 「Facebook ページ」 をご覧ください。