2018 年 11 月に Steam でリリースされ、2019 年 2 月に PlayStation 4 と Xbox One 向けにリリースされる OVERKILL's The Walking Dead は、Co-op 要素のある FPS です。『ウォーキング・デッド』の公式設定に基づいていて、ワシントン D.C. を舞台にしています。プレイヤーは協力して、Robert Kirkman 氏が描いた、終末を迎えたあとの世界を生き抜いていきます。
ステルスとサバイバル ホラーのゲームプレイ要素が特徴です。また、『ウォーキング・デッド』をゲーム化するには、多数のキャラクターを登場させ、その関係が深まる様子を描くことが欠かせません。この作品では、4 人の生存者が新しいキャラクターとして登場します。4 人は苦しみながらも協力して日々を過ごしていきます。
現在ゲームのシーズン 2 が進行中です。コンソール向けにリリースするための作業を進めるなかで、多くの変更を加えることを OVERKILL は約束しています。人気のある IP に取り組むうえでのストレスと、『ウォーキング・デッド』の世界に新たな作品をもたらすために Unreal Engine 4 を利用して開発を行った体験について、プロデューサーの Almir Listo 氏とエグゼクティブ プロデューサーの Saul Gascon 氏にお話を伺いました。
OVERKILL はしばらくの間 PAYDAY シリーズに取り組んでいて、多くの開発の経験をそのプロジェクトにもたらしてきました。『ウォーキング・デッド』の仕事をすることになった経緯と、以前の経験がこのゲームの開発にもたらした良い影響についてどう考えているかについて教えていただけますか?
Listo 氏:PAYDAY 2 の開発後、何か新しいものを作りたいと考えていました。協力して何ができるだろうかと Robert Kirkman 氏と話をする機会があって、『ウォーキング・デッド』の Co-op エクスペリエンスを開発することになるのは極めて自然な流れでした。2009 年の創業以来、OVERKILL Software は Co-op エクスペリエンスを専門としています。Starbreeze Studios が持つ FPS に関する抱負な資産を活用すれば、OVERKILL らしさを残したまま、これまでとは一味違い、挑戦的で、『ウォーキング・デッド』のブランドに恥じないゲームを作ることができるとわかっていました。
Gascon 氏:『ウォーキング・デッド』の世界観を守りたかったので、Robert Kirkman 氏との関係が重要でした。緊密に協力した結果、Kirkman 氏が『ウォーキング・デッド』に正式に取り入れてくださるようなキャラクターを新しく作り出すことができました。開発者である私たちが『ウォーキング・デッド』に参加してオリジナルのストーリーを作成できているということは、Kirkman 氏と『ウォーキング・デッド』のことを私たちがよく理解できているということを示しています。
『OVERKILL's The Walking Dead』は、Co-op FPS、アクション、RPG、ステルス、サバイバル ホラーの要素を兼ね備えたゲームだと言われています。ゲームについて、また、各種要素をどうやってつなぎ合わせているのかについて聞かせてください。
Gascon 氏:ほかのゲームやジャンルを参考にさまざまな仕組みをゲームに取り入れて、Co-op FPS のジャンルのなかで可能なかぎり深く楽しいエクスペリエンスを提供しました。RPG の要素と、キャンプの運営 (単純化した RTS) の要素によって、プレイヤーを長期間引き付けることができます。キャラクター、キャンプ、スキルのアップグレードによって、アクション ゲームの要素に対するプレイヤーの関心を維持します。ステルス、ホラー、サバイバルの要素は、『ウォーキング・デッド』にとっては自然なものです。周囲のウォーカー (『ウォーキング・デッド』の世界におけるゾンビの呼称) による継続的な脅威を避けながらライバルのグループを倒すのが目的です。

『ウォーキング・デッド』のような IP では、ファンと関係者の両方から大きな期待が寄せられるでしょう。そのような期待とゲームに対するクリエイティブな欲求の間で、どのようにバランスをとったのですか?Robert Kirkman 氏と一緒に働いたことはどのように役立ちましたか?
Listo 氏:ゲームを製作するにあたって Robert Kirkman 氏と協力できていることを喜んでいます。Kirkman 氏自身がゲーマーであり、Kirkman 氏の世界をゲームで表現する最適な方法を協力して考えるブレインストーミングはいつも順調です。Kirkman 氏の世界に見られる緊張、ストレス、衝突、粗雑さが、ゲームのあらゆる点に現れています。
Co-op は OVERKILL の DNA に深く刻まれています。この作品でも、共通の目標に向けて協力し、障害となる課題を克服するようプレイヤーに促していて、その点については好意的な反応を得ています。
開発上のプロセスが Unreal Engine 4 スイート内のツールのおかげで簡単になったり効率化されたりしたことはありましたか?
Gascon 氏:レベル デザイナーとテクニカル アーティストによるスクリプトとプロトタイプの作成は、ブループリントのおかげでとても簡単になりました。また、ビヘイビア ツリーやノードベースのマテリアルなどのおかげでプロトタイプ作成に適したサンドボックスを手に入れることができ、クリエイティビティを発揮するうえで役に立ちました。

太陽で照らされている老朽化した通りから、暗く不気味で今にも倒れそうな建物まで、ゲームの環境はすばらしいものです。このような多様性に満ちた世界を作成するうえで、Unreal Engine 4 はどう役立ちましたか?
Gascon 氏:親会社が保有していた Valhalla エンジン向けに作成したライティング ソリューションを、プラグインとして Unreal Engine と連携させて使用しました。そのように独自のカスタム ソリューションを作成して連携させることができる柔軟性がとても役立ちました。
一度に多数のウォーカーを画面に表示しようとするとき、まったく支障がないようにするのは難しいのではないでしょうか。大量の処理を行いつつゲームをスムーズに実行するためにどうしたのですか?
Gascon 氏:高度な最適化とカスタム ソリューションによってそれを可能にしました。まず、アニメーションをテクスチャにベイクしました。次に、ゾンビのすべてのバリエーションを 1 つのゾンビにまとめて、その 1 つのゾンビでいろいろなもののオンオフを切り替えるようにすることで、ドローコールを減らしました。ほかには、カスタムの移動コードが役に立ちました。距離に基づく移動のティックと Brain Component です。また、そのようにクリエイティビティを柔軟に追求した結果どのようなコストが生じたか把握するうえで、 Unreal Engine の Stat コマンド群がとても便利です。

『ウォーキング・デッド』の世界観を守って開発したとのことですが、イースター エッグや、コミック、テレビ シリーズ、以前のゲーム作品への言及など、ファンの期待に応えるようなものはありますか?
Gascon 氏:シーズン 1 では、ほかの『ウォーキング・デッド』作品への言及は、ほとんどがさまざまなキャラクターのセリフのなかに出てきます。エイダン バージョンの有刺鉄線付きバットや、ヘザーのクロスボウと矢を回収する仕組みもありますね。ほかの作品への言及は、今後も追加していく予定です。
Unreal Engine 4 のツールのなかで気に入っているものを 1 つ選ぶとしたら何ですか?その理由も教えてください。
Gascon 氏:ブループリントです。機能が洗練されていて、深く統合されていることが理由です。このような質問に答えるには、リフレクション システムについて取り上げないわけにはいきません。知識があれば非常に便利な使い方ができて、たとえば C++ のコードをスクリプト言語のように柔軟に扱うことができます。

OVERKILL's The Walking Dead の最新情報はどこで確認できますか?
Listo 氏:PC のプレイヤーは、Steam のフォーラムで、ゲームと開発の状況についての最も詳しい情報をご覧いただけます。あわせて当社の Web サイトもご覧いただくことをお勧めします。新しいコンテンツとエピソードの公開に合わせて更新し、すべてのプラットフォームとプレイヤー向けにゲームの概要をお伝えしていきます。