2018年11月15日

Unreal Engine、アニメーション制作で技術・工学エミー賞を受賞

作成 Dana Cowley

米国テレビ芸術科学アカデミーは、「アニメーション制作のための 3D エンジン ソフトウェア」としての Unreal Engine に対して、Epic Games にとっては初となる技術・工学エミー賞 (2017-2018) を授与しました。私たちは、この受賞でこれ以上ないほど喜びにわいています。生放送やバーチャル プロダクション、MR (ミックス リアリティ) のプログラミングのために Unreal Engine を使っていただいた世界中のクリエイターの人たち全員に心から感謝いたします。 

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今回のこの受賞という画期的な出来事によって、Unreal Engine 4 のもつリアルタイム レンダリング機能セットのメリットがはっきりとしました。Unreal Engine 4 があれば、時間、予算、処理能力といったハードルが重なり合う状況を乗り越えることができます。それによって、フレキシブルで効率的にハイエンド グラフィックスや VFX、CG アニメーションをビジュアル ストーリーテリングに組み込むことが可能になります。TV 業界の人々が現在行っていることは、Unreal を利用することによって、高フレームレートでフォトリアリスティックなオンセットでのグラフィックスを制作することです。このようなことは、他のゲームエンジンの技術では不可能なことです。コンテンツ クリエイターたちは、ディレクターレベルの制御とツールのパワーを利用して、リアルタイム CG の要素をプログラミングに組み入れています。しかも、これまでなら実現困難だった複雑度とクオリティをともなってそれを実行するようになっているのです。
 

ハイエンド グラフィックスをレンダリングする場合、これまでは多大な時間がかかっていました。そのため、グラフィック アーティストとスタジオ エンジニアが TV 制作で成し遂げられることは限られていました。特に、報道番組や天気予報などの生放送では、オンザフライでグラフィックスを挿入していく場合が多いのです。シリーズ物の番組制作において CG によるアニメーションが使われる場合、Unreal Engine があれば、レンダリング ファームの必要性や、ワークフローを改変する必要性、よりよい成果物を求めてさらなるイテレートを行う必要性は緩和されるか、まったくなくなります。
 

Unreal Engine を使うことによって、さらに可能になることがあります。それは、生成された同一のコンテンツがあらゆるメディアで利用できるようになるということです。たとえば、ウェブ動画や、モバイル、従来型のリニアな作品、生放送、VR、AR といったメディアで利用できるようになります。しかも、それらのためのコンテンツ パイプラインは一つだけです。
 

Unreal だけでレンダリングされた最初の TV 番組シリーズは、アニメーションによる子供向け番組『ZAFARI』でした。NBC Universal がこのシリーズを見出したとき、Digital Dimension 社は、レンダリングの条件をクリアするパイプラインの構築に着手していました。植物の生い茂るジャングル、流れる川、複雑なカメラの動き、さまざまなビジュアル エフェクトといったものが、番組の構想を実現するために必要となる条件だったのです。テストを開始するとすぐに、 Unreal が GPU ベースのレンダリング ソリューションに比べて著しく時間を短縮できることに同社は気がつきます。しかも、クオリティを劣化させることなく、です。Digital Dimension は、Unreal Engine を使えば、どのアーティストにとっても生産性が 300% 増加することに気がつきました。したがって、コストが削減されることは言うまでもありません。 
 

オランダの NEP は、Unreal を使う 20 人のアーティストからなる専門チームを擁しています。さらに、同社は、生放送やシリーズ物番組でバーチャルセットを使うクライアントに向けたリアルタイム機能にさかんに投資しています。その結果として、NEP は、スタイリッシュに制作されたニュース番組やスポーツ番組において、ほとんど (あるいは一切) 物理的な小道具を使うことなく、フォトリアリスティックなバーチャルセットを作り出すことに成功しています。LED に満ちた放送スタジオにおいて Unreal は、時間と費用を顕著に節約することができます。バーチャルセットの環境においては、LED をデジタル的に作成および配置することが実質的に無料なのですから。
 

House of Moves は、全編 CG による『Barbie Vlog』シリーズを YouTube に向けて制作しているスタジオです。このシリーズは、すでに数千万回の視聴回数を得ていますが、そのパイプラインは Unreal に基づいて構築されています。同スタジオがこのシリーズを制作するために要した時間と費用はほんのわずかです。それは通常、レンダリング集約的な CG 制作に関わるものです。Unreal のリアルタイム レンダリング機能によって、現在の不休のニュースサイクルに迅速に対応してコンテンツを作り上げることが飛躍的に容易になったのです。各エピソードの制作時間は、Unreal の高速レンダリングにより、全体で 1 週間足らずです。しかも、チームはたったの 5 人であり、レンダリングはすべてローカルのデスクトップ マシンで行われています。このような効率性により同番組のコンテンツは、今日的に重要な話題に対応できるだけではなく、人員と計算リソースの両面においてコスト削減が可能となったのです。
 

NAB (全米放送事業者協会) 2018 において Unreal は、複数のバーチャルセットと、リアルタイム グラフィック ワークフローのデモに組み込まれました。これには、次の各社も加わっていました。Zero Density、NCam、HP、Intel、AMD (ARWall)、Brainstorm、Chyron Hego、Avid、Ross Video、The Future Group、Zlense、mo-sys、ProCyc、Astuce、Stype 他。 
 


素晴らしい賛辞をいただきまして、米国テレビ芸術科学アカデミーに感謝申し上げます。また、Epic Games のパートナー企業、ならびに、Unreal Engine のツールと機能を日々向上させるために助けていただいているクリエイターの皆様にあらためてお礼を申し上げます。第 70 回技術・工学エミー賞の授賞式は、NAB (全米放送事業者協会) の協力のもと、2019年4月7日にラスベガスの NAB Show で執り行われます。Unreal Engine のコミュニティ全体による業績としてお祝いすることを今から楽しみにしています。