アンリアル・エンジン 4.6 には、光源処理およびマテリアルに関する多数の改善、ならびにネットワーク デモを再生およびキャプチャするためのサポート、さらにはアニメーションのワークフローのための大規模なアップデート (ルートモーションのブレンドとマルチ モンタージュのサポート) が含まれています!新たな Mobile Preview レンダリング モードを使用すれば、モバイル デバイス上とまったく同じように表示させながらシーンを編集することができます。Unreal Motion Graphics による UI 作成が大幅に強化され、インタラクティブな UI ウィジェットを 3D シーンに配置できるようになりました。また、数百に及ぶその他の機能の実装およびバグフィクスとともに、4.6 におけるモバイルおよびコンソール プラットフォームへの改善も継続してきました。
今回のリリースには、アンリアル・エンジンの素晴らしいコミュニティのデベロッパーの方々による 88 個の大規模な変更がともなっています。下記の方々に感謝の意を表したいと思います。
Alex Silkin (alexSilkin)、alwei、Allegorithmic、Artem V. Navrotskiy (bozaro)、Cengiz Terzibas (yaakuro)、Flenzine、Gigantoad、Rama (EverNewJoy)、Joel Riendeau (joelriendeau)、Jakub Stasiak (jstasiak)、Joe Hegarty (JoeHegarty)、Marat Radchenko (slonopotamus)、Michael Kösel (TheCodez)、Michelle12188、Marcin Polaczyk (mpolaczyk)、MyDigitalLife、mordentral、Kazumasa Ohashi、leobenaducci、Lukasz (iniside)、Nicholas Hughes (piinecone)、Sebastian Köcke (byte3)、Salamanderrake、Stephen Whittle (stephenwhittle)、Tomas Jedlicka (jedlickat)、Rick Yorgason (Skrapion)、Kyle Rocha (kylawl) の方々に感謝いたします。
主要な新機能
実験的: 3D アンリアル モーション グラフィックス UI
UI ウィジェットをコンポーネントにアタッチして、3D シーンに表示できるようになりました!
- 作成した UI はオフスクリーン ターゲットにレンダリングされ、アクタに付属されている 3D にマッピングされます。入力もサポートされているので、ゲームによってマウスカーソルが表示された場合は、ユーザーがボタンをクリックして他のインタラクションを実行することもできます。
- この機能を使用するためには、新たな “Widget Component” をアクタに追加して、Widget アセットをそれに割り当てるだけです。この機能は、まだ実験的と考えられていますが、改善を実施し、さらに機能を追加していきます。
- Widget Component (ウィジェット コンポーネント) の details view (詳細ビュー) で 3D ウィジェットのための設定項目を調整することができます。レンダー ターゲットの Draw Size を設定することを忘れないでください。この Draw Size (描画サイズ) は、UI がレンダリングされるレンダー ターゲットのサイズを制御するためのものです。
エミッシブなマテリアルからの静的光源処理
エミッシブなマテリアルが周囲のオブジェクトを直接照らすことができるようになりました!
- この機能を有効にするためには、Mobility (可動性) が Static (静的) に設定されたシャドウキャスティング コンポーネント上で、“Use Emissive For Static Lighting” (静的光源処理にエミッシブを利用する) という新オプションを使用します。有効化されると、ライトマスによって、エミッシブなテクスチャ ソースから、ベークされた直接的なライティングが生成されます。
- 注記: この機能は、エミッシブ光源処理の高速かつ限定バージョンです。直接的なライティングのみが計算されますが、ビルド時間は影響を受けません。他に光源があるシーンに使用するのが最適です。
フォーリッジ上の静的光源処理
事前計算された光源処理とシャドウが、フォーリッジ オブジェクトとインスタンス化メッシュ上でサポートされるようになりました。この機能によって、Stationary (固定) ライトまたは Static (静的) ライトをともなったシーンにおけるレンダリングの効率性が大きく向上します。
静的光源処理は、中規模サイズのレベルに適しており、ビルド時間やメモリ要件の点で巨大なシーンまでスケールアップできません。何回もインスタンス化されることになるメッシュ上では、解像度が非常に小さいライトマップを使うようにしてください。
Demo Recording (デモ録画機能) (ネットワーク リプレイ キャプチャ)
この機能を使用すると、ゲームプレイの instant replay (即時リプレイ) を保存することができます!ゲームのネットワーク ストリームが demo ファイルにキャプチャされるので、それを後で再生したり、他の人と共有することができます。タイムワープ機能も搭載されており、ゲームの速度を落としたり、素早く先送りすることができます。
Demo Recording は、ネットワークが有効化されている、アンリアル・エンジン搭載のゲームで自動的に機能するようになっています。
- 録画を開始するためには、コンソール コマンドの “DemoRec <リプレイ名>” を使用します。
- 以前に録画したゲームを再生するためには、コンソール コマンドの “DemoPlay <リプレイ名>” を使用します。
- スローモーション機能と先送り機能をお試しください!コンソール コマンドの “Demo.TimeDilation <倍率>” を使います。たとえば、速度を半分にするためには、“Demo.TimeDilation 0.5” とします。
- ShooterGame サンプルがアップデートされ、保存済みのリプレイを見ることができる機能が組み込まれました。ゲーム内メニューで新規項目の Demos を使います。ぜひご覧になってください!(なお、予め DemoRec を使ってリプレイを保存しておかなければなりません。)
実験的: エディタ内モバイル プレビュー機能
モバイル デバイス上での表示をエディタのビューポート上で直接再現できるようになりました!シェーダによって、OpenGL ES2 の表示と機能がエミュレートされ、シームレスに切り替えることができるようになります。
- 実験的な設定項目にある Feature Level Preview (レベル プレビュー機能) を有効にする必要があります。
- メイン エディタのツールバー上で Settings -> Feature Level Preview -> ES2. をクリックします。
実験的: Web Browser UI (ウェブ ブラウザ UI) ウィジェット
Web Browser UI ウィジェットを使って、ゲームまたはエディタ ツール内にウェブページを組み入れます。
- Slate (SWebBrowser) のための新たな Web Browser ウィジェットを使用すると、インタラクティブなウェブページに簡単に進み、UI の一部として表示できるようになります。この機能は、搭載されている Chromium web framework (CEF3) によって動作します。まだ実験的な機能であり、Windows プラットフォームでのみサポートされています。
ブループリントの Steam Online Sessions (Steam オンライン セッション)
ブループリントのスクリプト処理によって、オンラインのセッションをホストし、検索し、参加する機能がアンリアル・エンジンでサポートされるようになりました!
- オンライン セッション (Steam や Local Area Network (LAN) のセッション等) をホスト、参加、退去、検索するためのブループリント ノードを新たに追加しました。
- 以下はその新たなノードです。
- ネットワークで検索できるセッションをホストします。
- 参加可能なセッションをネットワークから検索します。
- Find Sessions で発見したセッションに参加します。
- これまでに作成され参加したセッションから退去します。
マテリアル システムの新たな機能
多数のテクスチャを使用できるマテリアル
- 新たな shared (共有) テクスチャ サンプラーを利用することによって、最大 128 個のユニークなテクスチャをマテリアルで使用できるようになります。これらは、SamplerSource プロパティを設定することによって、TextureSample ノードでセットされます。これまでは、最大 13 個のテクスチャしか使用できませんでした。
- この機能は、テレインやハイクオリティのキャラクター マテリアル、高度なフォワード シェーディング マテリアルといったレイヤード マテリアルには実に重要な改善です。
- DirectX 11 とコンソールでは一度に 128 個のテクスチャがサポートされていますが、OpenGL のレンダリング パス (Windows または Mac 上における) では、依然として、マテリアル 1 つにつき 13 個のテクスチャまでしか使用できません。この上限を超えると、シェーダは、GL のためのコンパイルに失敗します。
スカラおよびベクタ パラメータのデフォルト値のリアルタイム プレビュー
- スカラまたはベクタ パラメータのデフォルト値を変更し、すべての 3D ビューポートで即座に結果を表示させることができるようになりました。
- この機能は、レイヤーを実装するマテリアル関数に特に便利です。マテリアル関数を使用するシーンにあるすべてのマテリアルにおけるレイヤーの調整結果を表示できるからです。また、右クリックすることによって、定数をパラメータに素早く変更し調整を簡単に行うことができます。さらに、調整が終了した時に元に戻すことができます。
マテリアル関数からパラメータをエクスポーズする
- マテリアル インスタンスのパラメータが関数でサポートされるようになりました。これによってパラメータをマテリアル インスタンスに簡単にエクスポーズできるようになります。また、関数とマテリアルに機能の同等性がもたらされ、同じノード グラフがどちらでも使用できるようになります。唯一の例外は、関数の input と output のノードです。これは関数専用です。
- なお、マテリアル内のパラメータは名前によってセットされます。したがって、そのマテリアルに参照されている異なる関数に wetness という名前のパラメータが 2 つある場合は、両方がマテリアル インスタンスで同じ値によってオーバーライドされることになります。
アニメーション: 複数のモンタージュを再生
これまでは 1 度に 1 個のモンタージュしか再生できませんでした。これからは任意の数のモンタージュが再生できるようになりました!
機能の詳細は以下のとおりです。
- アニメーションをグループ分けできるようになりました。グループ 1 つにつき、1 個のモンタージュを再生することができます。同時に別のモンタージュを再生するには、そのためのグループを新たに作成するだけです。
- スロットおよびグループの作成は、ペルソナ内の新たな Anim Slot Manager タブで集中管理されるようになりました。
- 有効なスロットを選択するためのドロップダウン UI が新たにできました。アニメーション スロット名を手入力する必要がなくなりました。
- Networked Root Motion Montage (ネットワーク化されたルート モーション モンタージュ) を再生する場合は、依然として、1 度に 1 個のモンタージュに制限されています。
- 新たなモンタージュ アセットと Slot ノードは 1 個の Default Slot から始まるため、ただちに機能します。
Anim Slot Manager (アニメーション スロット マネージャ)
- Anim Slot Manager は、スロットおよびグループ名を管理するツールです。階層を表示したり、変更を行うことができます。
- グループとスロットは、スケルトンのアセット内に保存されるので、同一ファミリーの AnimBlueprints と AnimMontages はすべて、同一の設定を使用します。
- 便利な Save ボタンがマネージャに追加されたため、変更を行った際にスケルトン アセットを保存するように求められた時にあわてなくても大丈夫です。
- スロット名をクリックすると、コンテキストメニューが表示されて、異なるグループへの移動が可能になります。
Montage のトラックでスロットを編集する
- 下は Montage エディタの画像です。トラックの右側にある Combo Box に注目してください。そのトラックで利用可能なスロットがすべてリスト表示されます。
- 新たなスロットを作成する場合は、虫眼鏡のアイコンをクリックすると、Anim Slot Manager が開かれます。
- 最上部のステータスバーには、モンタージュが属しているグループが表示されます。これは最初のトラックのスロットによって決まります。
- 複数のスロットがあり、その構成について問題がある場合はステータスバーで通知されます。たとえば、異なるグループに属するスロットを組み合わせた場合は、小さな警告が表示されます。マウスオーバーすると問題の詳細について見ることができます。
アニメーション ブループリントでスロットを編集する
- AnimGraph では、Slot ノードにそのスロット名とグループ名が表示されます。
- ノードを選択された状態にすると、Montage トラックで表示されるものと同じオプションが Details パネルに表示されます。
- ここから、コンボボックスを使って既に存在しているスロット名を選択し、拡大鏡のアイコンを使って Anim Slot Manager を開くことができます。
- 補足:
- 以前の構成と下位互換性があります。既存のスロットがデフォルト グループの一部になっていること以外に違いは目に付かないはずです。
- Anim Slot Manager ではスロット/グループの名前変更および削除がまだできません。後日追加されることになります。
- モンタージュ ブループリントと C++ API が強化されて、モンタージュ アセットの参照を受け取れるようになりました。これによって、異なるモンタージュを同時に制御できるようになります。たとえば、アップデートされた “Set Play Rate” (再生速度の設定) をご覧ください。
Root Motion from Everything (あらゆるものからのルート モーション)
アンリアル・エンジンは、複数のアニメーションからブレンドされるルート モーションをサポートするようになりました!
- アニメーション ブループリントでルート モーションを扱うためにさまざまなモードが追加されました。モードは、アニメーション ブループリント エディタの "Root Motion Mode" ドロップダウンから設定できます。動的な動作が必要な場合は、コードによって実行時にこの設定を変更することができます。
- 以下のオプションがあります。
- No Root Motion Extraction (ルート モーションの抽出なし) - ルート モーションがそのまま残されます (ルート ボーンに適用されます)。
- Ignore Root Motion (ルート モーションを無視) - ルート モーションが抽出され (かつルート ボーンから削除され) ますが、キャラクターには適用されません。
- Root Motion from Everything (あらゆるものからのルート モーション) - ルート モーションを扱うための新たな方法です (下記参照)。
- Root Motion from Montages Only (モンタージュからのみのルート モーション) - 元来のルート モーションの動作です (すべての新たなブループリントのためのデフォルトにもなっています)。
- アセットでルート モーションを設定する
- アニメーション シークエンス に Enable Root Motion (ルート モーションを有効化する) という設定項目が新たにできました。これは、これまで AnimMontage にあった Enable Root Motion Translation (ルート モーションの移動を有効化する) と Enable Root Motion Rotation (ルート モーションの回転を有効化する) オプションの代わりとなるものです。(これらはロード時に自動的に更新されます)
- 注意: AnimMontage における元来の設定項目は、依然として残っており、未だ非推奨にはなっていません。これは意図的な措置です。それらをアニメーション シークエンスに正しく伝えることができるからです。それらはペルソナから編集できなくなりましたし、また、それらを読み取るコードやそれらにコードは書き込むべきではありません。
Root Motion from Everything (あらゆるものからのルート モーション):
- 最終的なキャラクターのポーズに寄与する各アニメーション アセット (シークエンス、ブレンドスペース、モンタージュなど) は、ルート モーションが抽出されます (ただし、ルート モーションを含むものとして設定されていた場合)。抽出されたルート モーションのそれぞれは、ソース アセットのポーズに寄与する重みに基づいてブレンドされます。
- たとえば、上のグラフでは Jog_Loop_Fwd_RM と Jog_Loop_Right_RM のルート モーションは、それぞれ 0.5 の重みでブレンドされます。その結果、アニメーションでキャラクターは斜め前に走り、マップを横切ることになります。
- 注意: 元々のシステム (現在は Root Motion from Montages Only という名前になっています) は、ネットワーク ゲームを念頭に設計されました。そのため、制限的な機能となっています。Root Motion from Everything はまったく制約がないため、アニメーションがネットワークを通じてレプリケートされることがないようなゲームで使用すべきです。
アニメーション: Humanoid Rig の迅速な選択
- エンジンに組み込まれている Humanoid Rig (人型リグ) を選択できる新機能がペルソナに追加されました。このリグは、アンリアル・エンジンのマーケットプレイスに置かれているアニメーションのためによく使用されているものです。
新たなブループリント エディタのメニュー
ブループリント エディタの右クリック メニューの機能を再設計することによって、より正確で関連性の高い結果がもたらされるようになりました。
- 通常は、ノードをドラッグして、その種類のノードに直接関係するノードを伴ったコンテキスト メニューを表示します。この機能を調整するためには、ブループリント エディタの Preferences (設定) の新たなオプションを使用します。
3D ワールドの拡大
個々のワールドの最大サイズが約 20km まで拡大されました。この値は C++ コードの WORLD_MAX 定数によって定義されています。4 倍の増加となります (約 5km から)。
なお、アンリアル・エンジンの World Composition 機能を使って複数のワールドをつなげれば、任意の広さのワールドを作成することができます!
パッケージ化とクックの高速化
エディタ内におけるコンテンツのパッケージ化またはクックがかつてないほど高速になりました!
- エディタ内からクックする場合、新たなプロセスを起動する必要がなくなりました。つまり、エディタ内に読み込まれたアセットが直接メモリからクックされ、処理が著しく向上することを意味します。
- この機能はデフォルトで有効になっていますが、必要に応じて以前のシステムに戻す場合は、Disable Cook in Editor (エディタ内のクックを無効にする) という設定項目を使います。
ナビゲーション メッシュのストリーミング
アンリアル・エンジンは、事前計算されたナビゲーション データをオンザフライでメモリにまたはメモリからストリームできるようになりました。
- 静的ナビゲーション メッシュを異なるサブレベルに保存することができます。エンジンは、そのレベルとともにこのデータをストリームします。
- デフォルトでは、ナビゲーション ボリュームと交差するナビゲーション メッシュのどの部分も、そのボリュームが配置されている同一のサブレベルに保存されます。
アンリアルの C++ プログラミング
クラス宣言の簡略化
- 現在、作成するクラスには通常の C++ のコンストラクタが定義および使用されています。これからは、引数のないコンストラクタも使用できるようになりました!
- エディタまたはブループリントにプロパティをエクスポーズするために、プロパティのためのカテゴリを供給する必要がなくなりました。デフォルトのカテゴリも取得できるようになりました。
- FPostContructInitializeProperties が非推奨になり、FObjectInitializer に置き換えられました。これは本当に必要な場合にのみ指定します。
- ユーザーが設定した保護レベルが GENERATED_BODY によってリセットされなくなりました。ユーザーの設定が保存されるようになります。
- GENERATED_UCLASS_BODY の代わりに新たな "GENERATED_BODY" 指定子を使用するようにしてください。これらの新たな改善の多くはこの指定子によって可能になります。
キャスティングの簡略化
- 改善された Cast() によって、Unreal クラス間のキャストが容易になりました。インターフェイスとクラス間のキャストも可能になります。dynamic_cast を使用して Unreal 型間のキャストを実行する機能もサポートされました。
その他の C++ の改善点
- デリゲートをともなう C++ ラムダ、および、TFunction クラス (軽量なラムダのラッパ) のサポートが新たに加わりました (以下参照)。
- 混乱を招き、異常な振る舞いの
TSubobjectPtr を削除します。サブオブジェクトへの通常のポインタを使用するようにしてください。 - ソースファイルに構造体と列挙型しかない場合は、ダミーの UObjects を合成する必要がなくなりました。
UI: ゲーム コントローラーのサポート
UI: UI エレメント間をジョイスティックでナビゲートできるようになりました。
- デフォルトでは、方向キー、十字キー、左ジョイスティックを使ってナビゲートします。Tab や Shift+Tab も変わらず使用することができます。Slate と Unreal Motion Graphics の両方で機能します。
- 「キーボードのフォーカス」「コントローラーのフォーカス」「ユーザーのフォーカス」の概念を統合しました。ユーザーのフォーカスを変更すると、そのユーザーのコントローラーおよびキーボードすべてに影響が及びます。
UI: コンポジット フォント
Slate と UMG でフォント ファミリーとコンポジット フォントがサポートされました。これらによって、複数のサブフォントから構成されるフォントを作成することができるようになり、各フォントがさまざまな範囲の文字に使用できるようになります。ローカライズされたテキストを表示するのに実に便利な機能です。
フォント アセット
- フォント アセット タイプが更新されて、コンポジット フォントおよびそれに関連する TTF または OTF フォント ファイル データを埋め込む機能がサポートされました。
- フォント アセットで 2 つのキャッシング方式がサポートされるようになりました。1 つは新たなコンポジット フォント方式であり、もう 1 つは旧来の事前計算されたフォント アトラス方式です。これら 2 つの方式はフォント エディタで容易に切り替えることができるため、既存のフォント アセットを置き換えることなく簡単に変えることができます。
- 新たなフォント アセットを作成する場合、デフォルトでは、空のコンポジット フォントを作成することになります。TTF または OTF ファイルをコンテンツ ブラウザにインポートすることによってもコンポジット フォントを作成することができます。
フォント エディタ
- フォント エディタがアップデートし、コンポジット フォント アセットを作成できるようになりました。
- コンポジット フォントには必ずデフォルトのフォント ファミリーが含まれます。また、所定の範囲の文字に使用されるべき任意の数のサブフォント ファミリーを含めることができます。各フォント ファミリー自体は、スタイルに基づいて命名することができる任意の数のフォントから構成されます。
- 実行時に、各文字のための使用に最も適したフォントを選択します。その際、その文字範囲のためのフォント ファミリーでそれらフォントが利用可能であることが選択の基準となります。
- 上のプレビューでご覧になれるように、日本語のテキストは、日本語のフォント ファミリーの文字範囲に入ります。したがって、Roboto ではなく Source Han Sans を使用して描画されます。サブフォント ファミリーのフォントは名前の一致 (Regular、Bold、Light などのように) によって優先的に選択されます。ただし、デフォルトのフォントの特性による一致をその代替とすることができます (Bold Italic の場合のように。この場合、自動的に Bold Japanese が選択されました。そのフォントが Bold 特性を含み、最も一致するものだったからです)。
Unreal Motion Graphics (UMG) のフォント
- TFF または OTT ファイルを指定できる UMG の古いインターフェイスが削除されて、アセット ピッカーに置き換えられました。ここからは、コンポジット フォント アセットを選択し、さらにデフォルトのフォント ファミリーからフォントを選ぶことができます。
- 既にあるファイルベースのフォント設定が失われることはありませんが、将来的には、UMG でフォント アセットを使用しなければならなくなります。
- UMG では現在のところ「実行時」にキャッシュされるフォント アセットのみサポートされています。
Slate のフォント
- C++ ベースの Slate スタイル セットに入っている既存のフォント コードはどれも依然として使用できます。しかし、コンポジット フォントを利用するためには、スタイル セットの更新を検討すべきかもしれません。
- C++ の Slate のコードでコンポジット フォントを扱う場合は、フォント アセットではなく FStandaloneCompositeFont を使用することを推奨します。
- その理由は、Slate のスタイル セット内に含まれているフォント オブジェクトがガーベジコレクターから見えないことによります。フォント アセットを直接使用するのであれば、FGCObject などを使用して、外部の参照をご自分で保守しなければなりません。
Canvas のフォント
- Canvas ではフォント アセットのキャッシングの両方式がサポートされています。ただし、Canvas は弊社ツールのローカリゼーションを改善するためのものです。
- 新たなゲーム UI のために Canvas を使用することはお勧めできません。UMG の使用を推奨いたします。
学習リソース
- 新たなコンテンツ実例マップ!アンリアル・エンジンのランチャー内の 新たな Learn タブ には、Content Examples (コンテンツ実例) プロジェクトやその他の学習用プロジェクトが多数置かれています。
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- Unreal Motion Graphics (アンリアル モーション グラフィックス)
- Media Framework (Video Playback) (メディア フレームワーク [動画再生])
- Skin Rendering (Subsurface Materials) スキンのレンダリング [サブサーフェス マテリアル])
- New! Localization (ローカリゼーション)
- New! Source Control (ソース管理)
- New! In-Game Analytics (ゲーム内分析)
- More さらに豊富になったブループリントのマニュアル
- Place Nodes (ノードを配置する)
- Navigate the Graph (グラフをナビゲートする)
- Work with Actor Reference Variables (アクタの参照変数を使う)
- Collapse Graphs (グラフをコラプスする)
- Create Functions (関数を作成する)
- Basic Usage of Blueprints (ブループリントの基本的な使用方法)
- Connect Nodes (ノードを接続する)
- さらに豊富になったマテリアルのマニュアル
- Place Material Expressions and Functions (マテリアル式と関数を配置する)
- Create Material Functions (マテリアル関数を作成する)
- Create Material Parameters (マテリアル パラメータを作成する)
- Use Bump Offset (バンプオフセットを使用する)
- Set Up Human Skin (人のスキンをセットアップする)
- Use Glow (glow を使用する)
- Use Subsurface Profiles (サブサーフェス プロファイルを使用する)
- レンダリング関係のドキュメンテーションを更新
- Sub-Surface Scattering (サブサーフェス スキャタリング)
- Updates to Materials for Mobile Platforms (モバイル プラットフォームのためのマテリアルの更新)
- UMG 関係のドキュメンテーションの更新
- 3D Widget Components (3D ウィジェットのコンポーネント)
- Composite Font Support (コンポジット フォントのサポート)
- Screenshots (スクリーンショット)
エディタ内のヘルプ
- Skeletal Editor Walkthrough (スケルタル エディタの手引) チュートリアルにおけるウィンドウのフォーカスに関する問題を修正しました。
API のドキュメンテーション
- New: 統計システムに基本的なドキュメンテーションを追加しました。
- ProjectileMovement のサブステップ機能に関するコメントを修正しました。
- Pawn::PossessedBy() に関するコメントを修正しました。
- ACharacter::Landed() / OnLanded() に関するドキュメンテーションを改善しました。これによって、動きのモードがこの時間中にまだ「落下中」であることが示されており、代替の OnMovementModeChanged() イベントが指摘されています。
- FString docs、Documented ESearchCase、ESearchDir へのリンクを追加しました。
- 複数のフレームワーク クラスのためのクラスの解説を追加または修正しました。
- FNavAgentProperties および FMovementProperties に関するコメント/ドキュメントを追加しました。
- FVector、FVector2D のためのドキュメントを改善しました。
- ENetMode、EVariableReplication のためのコメントを追加または改善しました。また、オンライン ドキュメント ページへのリンクを張りました。
- Object.h 内のコメントを除去しました。(コア オブジェクトのモジュールのためのスケルトンの定義)
- 実際のソースファイルにリンクを追加しました。intellisense/VA は、実際のソースファイルではなくあまり役に立たないスケルトンのファイルに誘導することが多いです。
- FTransform クラスのコメントが拡充され、トランスフォーメーションが適用および構成される方法について解説が含まれるようになりました。KismetMathLibrary::ComposeTransforms() についても同様の変更が行われました。
- クォータニオンのためのドキュメンテーションによって、乗算中の合成順序について説明しています。
更新の完全なリストをご覧になりたい場合は、ここをクリックしてください!