アニメーション学習チャレンジ 2021 ― その優勝者は?

1 つの MetaHuman キャラクター リグ、11 秒間のオーディオ、数百もの創造的可能性。

これらは、The Animation Learning Challenge 2021 ― 完全に Unreal Engine のために企画された初めての 11 Second Club のコンテスト ― に参加するために、220 人の才能あふれるアニメーターが扱わなければならなかったものです。

コンペティション

大賞受賞に向けて競技参加者たちは、提供されたキャラクター リグとオーディオ クリップを使って本格的なアニメーション シーンを制作しなければなりませんでした。

私たちは支援のために、特別な無料オンライン コースを複数作りました。これらは、だれもが数時間で Unreal Engine を使ってアニメーションを作成できるように設計された講座です。220 人のアニメーターがコンペに参加しましたが、一方で、何千人もの人たちがこれらコースの受講だけをして、さらに詳しく学ぶ機会を得たのです。

  • 大賞: Dell Precision モバイル ワークステーション + Unreal Engine スワッグパック + パーソナルな Animationmentor.com の批評
  • 準優勝: Unreal Engine スワッグパック

優勝者

コンペの優勝者は、Tobias Noller 氏です。エントリ作品の You Took Me for a Fool は、Unreal Engine 5 アーリーアクセスで完全にレンダリングされ、ポストプロダクションされました。私たちは映画のような感覚が大いに気に入りました。また、完璧にキーフレームがつけられたフェイシャル アニメーションにも感銘を受けました。もうしばらく Tobias と一緒に過ごし、作品がどうしてこれほど成功したのか、話を聞いてみたくなるほど感激したのでした。
 

経歴について教えてください。アニメーションを制作してどのくらいになりますか?

Tobias Noller 氏: ゲーム業界に入ってから約 8 年になります。Ninja Theory では、シニア ビジュアル エフェクト アーティストを務めています。仕事の性質上、時々アニメーションに触れることはありますが、大学卒業以降、人間のキャラクターをアニメートしたことはあまりないのです。

現在、取り組んでいるものを教えてください。

Noller 氏: 現在 Hellblade 2 に携わっていますが、他の分野の事柄も研究したいという希望をもっていました。たとえば、アニメーションやキャラクター アートなどにも興味がありました。ですから、MetaHuman によるチャレンジはそのための絶好の機会となったのです!

アニメーションに Unreal Engine を利用したのは、今回が初めてでしたか? もしそうでしたら、リアルタイム ワークフローはいかがでしたか?

Noller 氏: シーケンサーなら以前に使用したことがあるのですが、エンジン内でアニメートしたことはありませんでした。

リアルタイム ワークフローは驚くほど素晴らしかったです。正直、そこまで期待はしていませんでした。コントロール リグは非常に使いやすく、さらにはカーブ エディタも十分に機能していました。アニメーションとカメラとライティングを同時にエンジン内で直接調整することができ、ショット全体が数秒でレンダリングされるのですから、本当に凄いです。

作品の方向性は、何から着想を得たのでしょうか?

Noller 氏: 11秒間の音声によるセリフを聞いたとき、なぜか開拓時代の西部が思い浮かんだのです。最初の予定では、何らかの笑える意外性を最後にもってくるはずだったのですが、時間が許してくれませんでした。自分で演じてみるために、友人との電話で自分の声を録音したみたのですが、時間が足りなくなってしまい、とにかく制作を進めていくしかありませんでした。

アニメーションのプロセスを詳しく教えていただけますか?

Noller 氏: しばらくアニメーションを制作していなかったので、慣れるまで時間がかかりました。かなり役立ったことには、スマートフォンで参考映像をいくつか作成したことが挙げられます。また、タイミングのベースとなるものを得るために、iPhone と Live Link を使って自分の顔を録画してみました。

私の親友の Rik Joanmiquel は、Ninja のプリンシプル アニメーターを務めていますが、私がこの制作を開始するにあたって、とても貴重な助言をしてくれました。それもここで共有したいと思います。
  • 体: 最初に大きな動きに焦点を合わせる。ヒップを下げる。
  • 顔: 繊細であれ。極めて小さな変化であっても、感情の読み取りに大きな影響を与える可能性がある。
  • 順序: 最初にアゴ、次に唇、さらに頬、その次に鼻。最初に眉、次にまぶた、その次に流し目。これらすべてをまばたきと組み合わせて使用する。

私は、およそ、アニメーションの最後までそれらの原則に従ってみました。すると、それらは役に立ってくれたのです。体のためのコントロール選択ウィジェットのおかげで、原則を実践することは比較的簡単になりました。私が過去に使用したことのある Maya のようなツールに非常によく似ていました。
 
顔は、格段に作業量が増え、より難しいものとなりました。ウィジェットを利用してコントロールを選択するというような簡単な方法がなかったからです。それで、ずっと多くの時間がかかりましたが、プロセス自体はほとんど同じでした。

私が便利だと感じたことがもう 1つありました。それは、基本的なカメラの動きをまず取得するということでした。その後に、その動きに応じて各ショットをアニメートしていくのです。

MetaHuman の使い勝手はどうでしたか?

Noller 氏: MetaHuman をオンラインで作成しましたが、びっくりするほど速かったです。アニメーションに対応できる最終的なキャラクターをエンジンに取り込むのにかかった時間は、ほんの 1時間ほどでした。体のさまざまなコントロールを選択できるウィジェットがエディタにあるとわかってからは、体のアニメーション化は簡単で非常に楽しみに満ちたものになりました。

途中、このプロジェクト全体を UE4 から UE5 に移植したのですが、その際小さな問題やバグがいくつか発生しました。そのため、少しだけ難易度が上がりました。*たとえば、UE5 ではタイムラインをスクラブ再生できなかったり、オーディオを聞くことができなかったため、最終的なフェイス アニメーションを微調整することが難しいものになりました。その他にも、顔にはコントロール選択ウィジェットがなかったため、ビューポートではなくグラフ エディタを使ってコントロールを選択しなければなりませんでした。

*編集者による注記: UE5 は現在アーリーアクセス版であり、バグと安定性に関する問題が見込まれます。完全なリリース版は 2022年初頭に予定されています。

全体的には、何と万事順調に進んだことか。MetaHuman とコントロール リグの組み合わせがいかにパワフルであったことか。私は、このように非常に驚いていたのです!確かに、全体的なワークフローには改善すべき点が多くあるでしょうが、そのワークフローは間違いなく私が将来使っていることでしょう。ひょっとすると、モーション キャプチャ アニメーションと組み合わせて使っているかもしれませんね。

他にも何か話しておきたいことはありませんか?

Noller 氏: コミュニティにこのような凄いツールとチャンスを与えてくれたことについて Epic に感謝したいと思います!時間が経つにつれエンジンがアップデートされたり、新たな機能が搭載されることを、多くの人たちは当たり前のことと考えていると思うので、私はここで言っておきたいです。あなたたちがしている仕事は、私たち全員にとって間違いなく、どれほど素晴らしいことか!

この大賞受賞作品のほかにも、2 位から10 位までの受賞者と 1 つの名誉あるコメントが発表されています。11 Second Club のウェブサイトで、完全なリストを閲覧し、全作品を視聴になることができます。また、コンテストのお知らせのための Unreal Engine ブログでコンテストの詳細について知ることもできます。

    Unreal Engine は初めてですか?

    Unreal オンライン ラーニングでは、無理なく進められるビデオ コースとガイド付き学習パスによって、無料で Unreal Engine の使い方を学ぶことができます。