2019年3月26日
Sumo Digital が社内ゲーム ジャムでチームの創造的才能を解き放つ
頻繁に開催され、人気のあるイベントですが、「ゲーム ジャムの成功のレシピは何なのか、成果をどうやって評価できるのか」と考えているデベロッパーも多いことでしょう。その答えを見つけ出すために、Epic Games と Sumo Digital がチームを組み、ゲーム ジャムを共同で開催しました。

ゲーム ジャムを開催する理由
ゲーム ジャムは、2015 年 10 月に初回を開催して以来、Sumo Digital の重要な一部であり続けています。通常のプロジェクトやマイルストーンから少し離れるいい機会となり、デベロッパーが小規模なプロジェクトに挑むことができます。創造力を頼りに白紙の状態から作り上げたプロジェクトでは、ふだん既存の製品について作業を行うときのような制限を受けることはありません。自由に発想し、何でも好きなものを作ることができます。Snake Pass は、ゲーム ジャムで開発されるゲームの品質を私たちが信頼していることの証しであると言えます。この物理ベースのアクション パズル ゲームは、初めて開催された社内ゲーム ジャムの優勝作品です。深い感銘を受けた私たちは、ためらうことなく完全な制作を始めて、17 か月のうちにすべての主要プラットフォームで販売することができました。Snake Pass は、合計で現在までに 20 万本以上の売上を記録し、複数の賞にノミネートされ、2017 年には TIGA の最優秀アーケード ゲームに選出されました。また、2017 年の GDC では、Unreal Engine のブースで展示されました。

Sumo の社内ゲーム ジャムで完全に内製された作品が一般販売されるのを見ていると、とてもわくわくしました。これをきっかけに、実際の製品になる可能性がある新しいゲームのアイデアを常に探し続けるようになりました。社内のゲーム ジャムを通じて、同僚が遊ぶことができる実体のあるプロダクトを作ることで、Sumo の全員が、アイデアを表現し実現するチャンスを得ることができます。
The Sumo x Epic Game Jam
Sumo は、各回のゲーム ジャムがユニークなものになるように努めています。また、Snake Pass をはじめとして、過去のゲーム ジャムのエントリー作品の多くは、Unreal Engine で作成されました。こうした事情を考えると、Epic Games に連絡をとり、ゲーム ジャムのイベントでコラボレーションすることに関心があるか尋ねるのは自然な流れでした。ご覧いただいているこの記事で the Sumo x Epic Game Jam について紹介しているということから、そのコラボレーションについて Epic Games がどのくらい乗り気になったかおわかりいただけることでしょう。もちろん、このイベントは Sumo の全員の関心を引くこともできました。the Sumo x Epic Game Jam には、これまでの社内ゲーム ジャムで最多のエントリーがありました。

1 月 17 日に、英国全土から Sumo Digital の従業員 60 人以上がシェフィールドに集まり、the Sumo x Epic Games Game Jam の開催を祝いました。Epic Games は、ゲーム ジャムに先駆けて Unreal Engine での開発についてのセッションを開催したほか、ゲーム ジャムについてのベストプラクティスを共有し、イベントの期間中には各チームをサポートしました。
Milena Koljensic (フィールド マーケティング マネージャー) と Ben Board (デベロッパー リレーションズ マネージャー) がイベントの開会を宣言し、プロジェクトのテーマを発表しました。今回のテーマは、「Transmission, Freedom, Explosion, and Beat (伝達、自由、爆発、ビート)」でした。16 チームそれぞれが 3 週間を与えられ、Sumo Digital での発表に向けて、ゲームのデザイン、開発、準備に取り組みました。
2 月 15 日にチームが再び集まり、プロトタイプを発表して観衆に感銘を与えました。プレゼンテーションに丸一日をかけてから、Sumo Digital と Epic Games の両者から選ばれた審査員が熟考して、マルチプレイヤー、シングル プレイヤー、オリジナルの各部門で受賞作品を選出しました。
受賞作品は次のとおりです。
最優秀マルチプレイヤー作品:The Friend Zone

Abbie Willett、Barry Sollieux、Marcus Clarke、Alex Van Mierlo、Phil Wright が開発した The Friend Zone をプレイする参加者たち
The Friend Zone はマルチプレイヤー ゲームです。プレイヤーは協力して部屋から脱出する必要がありますが、限られたフレンド サークルの範囲内から出てはいけません。このゲームの中心になっているのは、コミュニケーションとチームワークです。チームにはエンジニアは 1 人だけで、UE4 に慣れていなかったので、このゲーム ジャムは、Unreal についての知識を深めるための練習として、またとないものになりました。ブループリントを使うことで、時間が限られたなかで、誰もが楽しめるゲームを完成させることができました。

The Friend Zone
The Friend Zone は、参加作品のなかで最も楽しいゲームであったと言っていいでしょう。プレイヤーは、相互にコミュニケーションをとり続ける必要があり、ミスを笑ったり、ときには仲間の判断ミスにイライラしたりします。観客投票で 2 位につけたのも、驚くべきことではありません。
最優秀シングル プレイヤー作品:Codename: Drone

Codename: Drone は、Florian Monscavoir と Alejandro Gasch Kuhne が開発した、息を飲むようなビジュアルのサイファイ シングル プレイヤー ゲームです。
Codename: Drone は、野心的なサイファイ シングル プレイヤー ゲームです。2 人のチームによって開発されました。傭兵のキャラクターを操り、ドローンの支援を受けて強敵に挑みます。プレイヤーは、自分の力だけでは届かないような高いところに登ったり、装甲にしたりするために、自分とドローンを接続できます。

Unreal Engine での Codename: Drone のキャラクターのブループリント
このゲームの特徴は美しいビジュアルです。キャラクターを作成するために、Unreal Engine マーケットプレイスにあった、既存の Paragon のアセットを使いました。Codename: Drone は、わずか 2 人のチームでも、Epic Games の並外れたテクノロジーを使えば、AAA ゲームのようなポテンシャルを秘めた作品を開発できることを実証しようという試みでした。
最優秀オリジナル作品:The Void

Anastasia Sopikova、Archie Whitehead、Long Huu、Mike Van Niewenhoven、Pavlo Grubyi、Gabriel May
The Void は、クリーンでミニマルなパズル アドベンチャー ゲームです。Sumo のノッティンガム スタジオの大きなチームが開発しました。プレイヤーは球体を操作します。自由を求めるこの球体は、エネルギーを集める必要があります。このゲームの独自性は、ごくシンプルな変形の仕組みと、現実的な物理を活用したところにあります。デベロッパーたちは、Unreal Engine を称賛して次のように述べています。「Unreal Engine が提供するツールの存在に不幸にも気が付いていないデベロッパーがいるようですが、ぜひそれらのツールに目を向けるべきです」

The Void の空中のスクリーンショット
The Void の開発に参加したデベロッパーは、全員がアーティストでした。ゲームの環境がミニマルで巧妙に作られているのはそのためです。Niagara エディタを活用して視覚効果を迅速に作成し、調整したおかげで、パーティクルのシミュレーション、レンダリング、パフォーマンスを一貫して制御できました。

Koljensic は次のように述べています。「各チームがとても熱心に取り組み、楽しみながら、すばらしいスキルとプロフェッショナリズムを示してくれました。計り知れないほどのクリエイティビティをデベロッパーが発揮する、いい機会となりました。このゲーム ジャムは両社にとって有益なものになっていると確信しています。優れたゲームをわずかな期間で作成できるということを実証できました。ゲーム ジャムに審査員として参加して、大量のすばらしいプロトタイプが Unreal Engine で作成される様子を見ることができたのは幸運でした。また、ゲーム ジャムの成功のレシピは何なのかという疑問に対する答えを見つけることもできました。
7 回目の公式なゲーム ジャムを完了して、成功のレシピは次のようなものであると考えています。
- インスピレーションを得る準備ができていて、わくわくしているデベロッパー少々
- ブラック コーヒー 15 リットル
- クリエイティビティと探求が促進される、楽しくフレンドリーな雰囲気
- 世界レベルの開発ツール
- コラボレーションを生み出す環境で上記のものをよく混ぜる
一部のチームは、これからもプロトタイプの開発を進めていきます。1 年後くらいには、このゲーム ジャムで誕生したタイトルのいずれかをみなさんがプレイしているかもしれません。
ゲーム ジャム開催のすすめ
Sumo では、ゲーム ジャムは 1 年のなかでも注目されるイベントとなっています。the Sumo x Epic Game Jam のエントリー作品に見られるクリエイティビティと品質からも、そのことは明らかでしょう。ゲーム ジャムを開催するたびに、最前線でのクリエイティビティが向上しています。1 つ学んだことがあるとすれば、それは人々のクリエイティビティ以上のアウトプットは存在しないということです。ゲーム ジャムは制限を受けずに何かを作るチャンスです。ほかのデベロッパー、個人、学生の方々にも、独自にゲーム ジャムを開催することを強くお勧めします。
フォーマットを改良してチーム独自のニーズに合ったものにたどり着くまで、試行錯誤を何度か繰り返すことになるかもしれませんが、真剣に取り組んでください。驚くような成果を上げられるかもしれません!
今回のゲーム ジャムの参加者数と結果には、とても満足しています。これまでで最も成功したゲーム ジャムにご協力いただいた Epic Games には、とても感謝しています!
選外佳作
Cat Contamination - Quentin Papleux、Davey Hintzen、Sooi Cherchye、Hollie Brown、Chris PollittWhoosh - Robin Vahland
Sphere - Jacobo Voce、Fabian Gross、Callan Keijzer、James Furlong、Declan Hart、Ian Badcoe
Weapons of Mass Construction - Stuart Barnecutt
Beetcop: Rooting Out Crime - Ash Read、Emma Dickson、Hannah Craigs、Isabella Deacon、Joost Peters、Louisa Clarke、Gav Hislop、Richard Smith、Callum Coaster
Din's Choice - Duncan Brown
Booty Holes - Chris Cook、Griffin Warner、Simon Lashley
Short Fuse - Matt Stafford、Simon Lashley
Shadows-Quad - Dean Hulton、Tom Sampson、Benjamin Dring
Bipolar - Joe Edgeley、Julia Vereenoghe
A Day in the Life of Jack Brick - Idene Roozbayani、Sam Ward
Cauldron - Dave Thwaite、Sean Latham、Rhianne Murphy、Steve Abbs
Freedom Strike - Chris Cook、Will Davies、Ben Gouldstone、Pete Clark