2012年3月20日

Street Fighter II Bathhouse Redux

作成 Unreal Engine

 

ビデオ ゲーム アーティストのための代表的なコミュニティ ポータル Polycount では、 BRAWL という 3D グラフィック コンテストを開催しています。これは、現在のハイエンドなグラフィック ツールや技術を使用して、有名な格闘ゲームのキャラクタやシーンに新たな命を吹き込むことをテーマとした、大規模なコンテストです。

Epic Games のシニア テクニカル アーティスト Jordan Walker 氏は、Unreal Engine 3 の DirectX 11 機能セット の性能を活用して、 Capcom の Street Fighter II に登場する E. Honda の銭湯ステージを再現しました。この作品は、「Stage」カテゴリーで最優秀賞を獲得しています。

Street Fighter II : Bathouse

この特定のシーンを Unreal の ゲーム エンジン を使用して再現したことについて、何にヒントを得たのかという質問に対して、Jordan Walker 氏は、「若い頃 Street Fighter II を何度もプレイしましたが、E. Honda の銭湯ステージは特に印象的でした」と答えています。

またその制作プロセスについては、次のように説明します。「まずは、Street Fighter のスクリーンショットから実際の銭湯の写真まで、いろいろな資料を集めました。次に、レイアウトの簡単なスケッチを描き、作成するオブジェクトについてアイデアを練りました。その後、UDK のシンプルなメッシュを使用してシーンを構成し、コンテスト期間を使って細部を調整しました。そして、より複雑なメッシュを追加しながら、徐々に光源処理を追加していきました。すべてのアセットを作成して配置した後は、1 週間かけて光源処理、ポストプロセス、エフェクトを微調整しました」

Walker 氏は、 [Unreal Editor](/features/editor] に用意されている多くの ゲーム開発用 ツールが非常に役に立ったと話しています。

Street Fighter II: Bathouse

「すばやいイタレーションは、本当に便利でした。アセットのインポートと配置が簡単で短時間に完了するため、ほとんどの制作時間をグラフィックに費やすことができました。頂点ペイント ツールも搭載しているマテリアル エディタは、特定場所に水と汚れが溜まっている様子など、面白い表面エフェクトの作成にとても役立ちました」と氏は語ります。 Unreal Engine システムと ゲーム開発ツール の継続的な進化も、Walker 氏の受賞に大きく貢献しました。

「追加された DirectX 11 の各種機能のおかげで、クオリティの高いビジュアルを作成することができました。このシーンは、床面のタイルや水のリアルさを演出するために、画像ベースのリフレクションに大きく依存しています。肌や、タオルなどの透過マテリアルのリアルな表現には、スクリーン空間サブサーフェス スキャタリングを活用することもできました」と Walker 氏は述べています。

Polycount のほかのユーザーは何にもっとも感銘を受けているのかと尋ねられ、氏は、「DirectX 11 の新機能が好評です。とても新しい機能なので、実際はどのようなものかと、誰もが興味津々です」と回答しています。

また、UDK の使用に関して Walker 氏は、「短時間の反復処理サイクル、ニュース サイト (http://udk.com/news) の毎月の更新、コンテンツ主体のワークフローにより、アーティストにとって非常に優秀な開発ツールとなっています。シンプルで処理負荷の小さいカスタム マテリアルだけでなく、極度に複雑なカスタム マテリアルも作成できるため、アーティストにとって非常に便利なエンジンです」と語ります。

この話の流れで、UDK でハイエンドなコンテンツの制作を目指すほかのグラフィック担当者やレベルデザイナーへのアドバイスは何か、と聞いたところ Walker 氏は以下のように答えてくれました。 「計画を慎重に立てることです。これによって、効率的な時間配分が可能になります。ディテールは段階に分けて作業すると便利で、シーンの基本的な構造をまず構築し、その後徐々にクオリティを上げていきます。この方法だと、改善すべき個所や時間をかけるべき個所を特定することが、ずっと簡単になります。作業中に、小さいテスト用シーンを作成すると便利です。私は通常、作業中に、ニュートラルな光源処理を施したニュートラルなシーンを作成してアセットやマテリアルを確認しています」

UDK をダウンロード し、Unreal Engine 3 のツールセットを使って、是非オリジナルのシーンを制作してみてください。Epic は、有名な Street Fighter シリーズをベースにしたこのコンテストの開催を許可してくださった Capcom に感謝いたします。