2015-3-25

サザンメソジスト大学ギルドホール校の教育現場から

作成 Luis Cataldi

サザンメソジスト大学ギルドホール校

サザンメソジスト大学ギルドホール校 (英語:Guildhall at Southern Methodist University) は、アメリカの大学院でビデオゲーム教育プログラムを取り入れた先駆けの 1 つです。在籍大学院生は 600 人以上、卒業生達は世界中の 200 社以上のビデオゲーム スタジオで活躍しています。

ギルドホール校では、デジタルゲーム開発学インタラクティブ テクノロジー専攻の修士課程およびデジタルゲーム開発の Professional Certificate 課程を提供しています。生徒は ­アート クリエーションレベル デザインプロデューサー ソフトウェア開発からも専門分野を選択することができます。クラスは産業界のベテランが受け持ち、同時に次世代のゲームクリエイターの技術と才能を培うメンターの役割も果たします。詳細は http://guildhall.smu.edu をご覧ください。

アンリアル エンジン 4 をギルドホール校で使った感想は?

2004 年以来、Epic Games の技術はギルドホール校のカリキュラムの中心であり続けています。生徒全員がアンリアル・エンジンを使ってゲーム プロジェクトをビルドし、教授群はアンリアル トーナメントを使ってマルチプレイヤー ゲームプレイをレベルデザイナーに導入します。 研究プロジェクトでのコンテンツ作成にアンリアル技術を選んでいる教授もいます。テキサスを中心に行っているビデオゲーム開発プログラム「Plano」の講師で、リリース当時から UE4 を使っている 3 名の方にお話を聞きました。アートクリエーションの Nick Heitzman 氏、レベルデザインの Jon Skinner 氏、ゲーム プロデューサーの Wendy Despain 氏です。

1. アーティストの場合

UE4 を初めて使ったのはいつですか?また、使い方はどのように習得しましたか?

アートクリエーション担当講師:Nick Heitzman 氏:昨年 8 月に私たち講師にライセンスが与えられて、すぐに UE4 を使い始めました。大興奮でしたね。既に UE4 を使っている生徒もいて、Epic の新しいエディタとエンジンの技術がすごいことになっているぞという噂は広まっていましたから。

かれこれ 20 年以上ゲーム作成をしている中で、ソフトウェア ツールセットとエンジンを変更する必要性が幾度となくあって、そこから自分なりに習得する方法を編み出してきた感じです。結局それは、1 つのツールまたはエンジンで機能すると理解したものを、新しいプラットフォームが提供する追加機能を使って新しいフォーマットでそれを再生成する、という循環です。

以前 UDK に統合したかなりシンプルなアセットを選んで、fbx 形式のメッシュエクスポートがもっとやりやすくなるように少しだけ変更し、新しい specular/roughness/metallic split に対応するようにテクスチャも変更して、それを全部 UE4 に取り込んで、新しいツールセットを使ってアセットを再生成するように設定しました。

私はまず、アセットだけであれこれ操作します。それから、広大なシーン、ランドスケープ、フォーリッジ、天空、ポストプロセスの中で使ってみます。UE4 ではいろいろなものをすぐに使えるようにしてくれているので、発見して使いこなせるようになると、ますます先へ進んでいけます。

UE4 の機能の中で、Nick さんや生徒さん達にとって特別なものはありますか?あれば教えてください。

Heitzman 氏:個人的には、インターフェースとユーザビリティが 1 つ 1 つストリームライン化されてクリーンで、アートのワークフローをまとめやすい点が最も気に入っています。スケール機能も合理的で制御がしやすくなり、ブループリントで空、ライトをコントロールするようになったので、 ‘チェックイン’ することでアーティストは作業できるものが格段に増え、プロジェクト全体でビジュアル クオリティの整合も取れるようになりました。

ツールが論理的な位置にあるか、意図したとおりに動くかとか、そういう単純なことです。数多くのアート アセットをきちんと整理するためには、ファイル構造体を新しく、そして柔軟にすることも必要です。複数のプロジェクトとレベルでのアセット共有は常に困難で、アートアセットは複雑に混ざり合ったまま維持されているのが現実ですが、すべて順調で、意図したとおりに動いています。すべてのエディタ/エンジンがこういうわけにはいきませんが、私はすっかり UE4 の機能性と使いやすさに頼り切ってしまっています。

生徒達には、これまではポートフォリオ レンダリング ソフトウェアに託されていた、高い品質と細かいリアリズムでのアセット作成を可能にする高度なレンダリング システムが好評です。物理ベースのレンダリングはパワフルなアートツールです。スペキュラのように短期では確実に濫用されてしまうでしょう。最初のカーブを習得して、実際のマテリアル プロパティの微妙な使い方を生徒達で習得すると、想像をそのまま忠実に視覚化した品質レベルのゲームアートが実現されます。

繰り返しになりますが、プラットフォームがあまりに使いやすく安定しているので、生徒達は意識すらしていないかもしれません。アートを学ぶ生徒達はアップグレードされたマテリアル設定、フォーリッジとランドスケープ ツール、時刻、背景の光源、エフェクトを利用して、作品への影響や品質に集中することができます。UE4 ならば、最初の方で苦痛を感じることがありません。

生徒が UE4 を使いやすくするための秘訣は何ですか?

Heitzman 氏:生徒にはまず、マテリアル エディタでテクスチャが一緒に動作する基本的な仕組みを理解させる必要があります。 

相互依存性を理解しやすくするために、新品同様のスマートフォンとテクスチャセットを作ります。スペキュラとメタリックを使って、シーンとボディにほんの少しだけ光沢を付けます。トリム上にクロム、ケースの裏側にテクスチャを付ける作業です。結果として UE4 にクリーンな新しいスマートフォンを作れば良くて、画面上でアイコン、壁紙、カラースキームは好きなようにカスタマイズすることができます。

今度は、そのスマートフォンから、使用中のスマートフォンを作成します。画面やボタンに上に、いろんなレベルの皮脂や指紋を付けます。トリムの周りとかケース上のいつも持つ個所にもゴミを付けたりします。ここでの目標は、ライトに照らせば論理的に使用されていることが一目でわかるスマートフォンです。

最後に、「落としたスマートホン」の悲しい姿を作ります。スマートフォンに画面の割れとくぼみを作ります。これに合わせてマテリアルも変更します。そして法線マップとラフネスで、破損をよりリアルにしていきます。バンプ オフセットを使って、画面の割れを深くしていきます。最初ビューアーには破損したスマートフォンが表示されます。ライトによって蜘蛛の巣状態にひろがった割れが浮かび上がり、ひどい状態のスマートフォンになります。

この手順を学習することで、生徒達は、テクスチャ値、演算関数、変数がどのように連携してニーズを満たすマテリアルを作成しているのか、理解を深めることができていると思います。

ギルドホール校のクラス

2. デザイナーの場合

Jon さんは以前ギルドホール校で UE2 と UDK (UE3) のレベルデザイナーを教えていましたね。UE4 と比べていかがでしたか?

レベルデザイナ担当講師:Jon Skinner氏:UE4 は技術的に大きく飛躍したと思いましたが、実はそれは思い違いで、これまでの技術を素晴らしい形で反復させているのです。個人的に一番進化したと感じる部分はブループリントです。これが UE4 を現世代の他の技術から引き離す要となる機能ではないでしょうか。ゲームプレイのアイデアは、今はプログラマーだけではなくチームの誰もがとても簡単に実現できるようになりました。プロトタイプイングですら、すぐに実現できる時代になりましたから。UE3 の目玉であったマテリア エディタは、UE4 で進化していますが、使いやすさはそのままなので助っています。ペルソナは UE3 から大幅に改善され、アーティストはアニメーションをコントロールしやすくなりました。ブループリントが使えるのも良いですよね。

カスケードはすべてのシステムの中で最も難しいと感じますが、こちらもアップデートを楽しみにしています。True in-editor play でかなりの時間を短縮できます。ゲームでテストが必要な時にわざわざ別のクライアント ウィンドウを起動していましたが、こんなに時間を無駄にしていたのかと驚きました。最後になりますが、前のバージョンでライセンシーのみが利用できた true source code access は Epic の素晴らしい手腕だと思います。今度はこれに、Github 経由でコード パッチ、アップデート、提案を誰もがサブミットできる機能を組み合わせました。Epic がカスタマー重視で、ユーザーベースの最善の体験にコミットしている証拠です。

生徒さん達が他の技術と比べて UE4 を使う利点は何でしょうか?

Skinner 氏:UE4 が業界標準の技術であることは紛れもない事実です。従って、豊富で包括的なツールセットを使って大規模なコードベースで生徒が作業する場を与えつつ、卒業後すぐに社会で即戦力となれるよう、すぐに活用できる最新の知識を提供できます。UE4 は最先端をいく技術を備えていると同時に、BSP の使用方法、スタティックメッシュの作成、アセットのインポート、基本的なライトなど、UE3 および UDK から多くの概念とアクションも引き継いでいます。どのプロジェクトでも必要なこうした技術には大幅な変更をしなかったことを、Epic に感謝します。

他の技術と比べると、そうですね、UE4 は *簡単* です。ここで他の技術もいくつか取り入れていますが、それらは 1 つ 1 つは便利であってもニッチなアプリケーションなのです。UE4 には必要なツールがまるごと備わっているので、 2D ゲームから MMO、モバイルタイトルまで、生徒達が考えたものは事実上すべて作成することができます。ブループリントを使えば、素早くプロトタイピングを行えます。ペルソナを使えば、アーティストはアニメーションの効果をさらに高めることができます。プログラマーは、エンジンとエディタの両方のソースコードを利用できます。生徒のチーム全員がここまで簡単かつ奥深く実現できる技術は他にないです。「自分のゲームをできるだけ面白いものにしてみせるぞ」生徒をそういう気分にさせてくれるんです。

デザイナーは「大きく考えるべき」ではありますが、時間に制約のある生徒にとっては、それが得策にならないこともあります。UE4 の使い方が分からなくならないようにするには? 

Skinner 氏:何をしたいかによります。プロジェクトの核となるアイデアは何かを考えてみて、それがゲームであれば、 80-20 ルールで作業してください (前もってゲームプレイの 80% を決定して、それを実装し、可能な限りプレイテストします。ゲームの場合、プレイテストを通して面白いメカニズムが分かることが多いので、視覚的な項目に関わる前に、ゲームプレイの調整とイタレートにもっと時間をかけます)。レベル作成の場合は、まずゲームタイプ (SinglePlayer、DeathMatch、Team DeathMatch、Capture The Flag など) を確実に理解してから先へ進みます。

エディタと技術に関しては、孤立して学習しないことです。何をしたいのか、本当に簡単に考えるところから始めて、それを行います。これまで吸収してきた知識に新しい知識を積み上げていくのです。つまり、1 つずつ、自分がしたいことを決めて (あくまでも単純に!) それを試していくのです。ブループリント、カスケード、ペルソナ、マテリアル エディタは、一気にできるようになるわけではありません。やってみない限り、壁は破れません。成功したら、いつでもそこに戻れるように、成功した作業のバックアップを保存しておきましょう。

恐らく一番いい方法は、今あるゲーム内で作業することではないでしょうか。私はアンリアル・トーナメント 4 を提案しますね。技術に慣れるためには、デスマッチが一番簡単だからです (と私は思います)。UE4 はそれ自体非常に大規模で、ゲームテンプレートが付いているのに "ブランクのキャンバス" が表示されます。出だし調子よくどんどん進めるようにしないと、嫌になってやめてしまいます。でも諦めないこと。UE4 はどんな望みも実現させてくれます。焦らず、コツコツ試していきましょう。

Inua UE4 Environment

3. チームゲーム制作の場合

ギルドホール校のチームゲーム制作の特徴は何でしょうか?

制作担当講師:Wendy Despain 氏:ギルドホール校の授業は、生徒がアート、レベルデザイン、ソフトウェア開発、制作といった自分の専門分野を徹底的に掘り下げて学べるような集中型である一方、徐々に規模を大きくして横縦断のチームで一緒に作業する機会もあります。私が受け持つ「Team Game Production II」では、生徒は UE4 でCapture the Flag (旗取り) ゲームを作成する 4 つのチームで制作準備に入ります。

クラスは、ゲーム業界で長年の経歴をもつ 3 名の教授が構成と指導を担当します。チームが生徒という気持の枠から抜けて、自分がゲームデベロッパーであるように考え始めるように仕向けます。プロのデベロッパーは常に新しいソフトウェアを学習し、最新のものに付いていかなければなりません。従って、クラスを UE4 への切り替えることで、レジュメにも箔が付くだけでなく、新しいエンジンを調査し何ができるのかをチームで一緒に考える訓練にもなります。

一緒に作業をし始めたばかりの生徒に UE4 を使わせる。なかなか難しい設定ですよね?

Despain 氏:新しいチーム、始めて使うソフトウェア・・・かなり大変でしょうね。我々は最初に生徒 1 人 1 人に対して、集中トレーニングを数日間行います。最初の数日間は、レベルデザイナー、アーティスト、プログラマー、制作者全員が同じ部屋で同じ概要を学びます。チームではすべての生徒が同じ言語を話し、エンジンが何をするかについて同じページを話していることを確認するようにしています。その後、専門分野に分かれ (この段階ではカリキュラムでは制作よりもレベルデザインをするので、制作者はレベル デザイナーと一緒になります) 、担当する特定分野に必要な UE4 の機能を深く学びます。

大変なことですが、これを通じて、チームは一緒に学習し結束を固める体験ができるのです。従って、使い慣れたエンジンを使ってゲームプロジェクトを行うことは楽しいかもしれませんが、これにより私たちは誰もが同じスタート地点に立てるようにしているのです。エキスパートはいないのです。グループ プロジェクトではエゴが障害になることがありますが、全員で一緒に学習するので、エゴを均一化する効果があります。

チームで UE4 を使用して、実際にここが良かったと思う部分はありますか? 

Despain 氏:生徒達には、運転練習許可証を取って、新車のフェラーリのキーを渡されているようなものだと言い聞かせています。素晴らしい機会に恵まれたこと、そして UE4 の潜在性について、生徒達は分かっているんでしょうね。そのフェラーリを道に出して、どんな走りをするのか試したくてうずうずしているんです。でも我々は、リードおよび教育者として、まず静かな近所で慎重に運転する技術から見せてもらいたいのです。ですから、生徒達は若干不満に感じているでしょうね。

珍しい豪華な機能をいろいろ使ってみたい彼らの熱意は分かりますが、とにかく、まずはしっかり基礎を習得するよう助言します。ある意味、彼らの夢を壊しているようなものですけどね・・・ただ、基礎的要素をしっかり抑えさえすれば、どこまでも可能性を広げることができます。彼らがどんな風になるのか、早く見たいですね。考えるだけでワクワクします。

講師経歴:

Nick Heitzman :ゲーム業界で数年の実績の持ち主。数々のタイトルを経歴。Jon Skinner : 2003 年よりサザンメソジスト大学ギルドホール校にて商業および教育用ゲームプロジェクトに従事。Wendy Despain :ビデオゲーム ライター、ナラティブ デザイナー。デジタルメディア プロジェクトでの指揮経験は 10 年以上に及ぶ。

チームゲーム プロジェクト:“Inua”

学生チーム「Betrayal Games」は現在、 "Inua." に取り掛かっています。チームは、アーティスト、レベルデザイナー、プログラマー、プロデューサーの 14 名のデベロッパーで構成されています。現在 16 週プロジェクトの第 3 週です。

こちらは、リード アーティスト Taylor Smith 氏の作品です。アンリアル エンジン 4 の新しいライト機能で再生成された概念のサンプルです。

Inua Environment Concept UE4

"Inua"

Guildhall Cohort 22 Capstone Project

リリース:2015 年 5 月

開発期間:16 週間

チームメンバー:
プロデューサー:Matt Worrell
ゲーム デザイナー:Jon Clark
リード プログラマー:Trevor Youngblood
プログラマー:Brian Rust, Evan Kohn, Hoang Nguyen, Laura Brothers
リード アーティスト:Taylor Smith
アーティスト:David Gautier, Amanda East, Kristy Zeller
リード レベルデザイナー:Jason Leary
レベルデザイナー:Michael Crawford, Chris McCrimmons

 

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