Rocket League のインパクトはどこからともなくやってきて、大ヒットにつながり、一夜にして成功を収めたかのように見えます。しかし、人生の多くのことと同様に、物事は見た目通りではありません。サンディエゴを拠点とするデベロッパー、Psyonix はこのことをよくわかっていました。
自分たちの若い頃のゲームに触発された、Ben Beckwith 氏、James Golding 氏、Dave Hagewood 氏から成るチームは、空中に飛び上がることができるピストン ポンプの車両を特徴とするゲームを制作したいと考えるようになりました。このコンセプトに夢中になりましたが、チームはこうしたメカニックを実際のゲームに適用する場所と方法がよくわからなかったのです。
Unreal Tournament 2004 の拡張パックを使用するという奇抜なアイデアを少々試した後、Ben と Dave はオリジナル ゲームの制作に移りました。そのデザインだけにとらわれるのではなく、さらに拡張しました。
「とはいえ、デザインに対してどのようなゲームが適切であるかを決めるのに苦労しました」と Dave Hagewood 氏は説明します。「サッカー モードを最初に作ろうとしたとき、くだらないバトル ゲームに取り組んでいました。その後、そればかりプレイしたので、自分たちでも何かあると感じていました。」
社内で大まかなアイデアが浮かび始めると、物事がエキサイティングな方法でうまくまとまり始めました。だが、しばらくの間、一部ではアイデアは研ぎ澄まされないまま、同じようにすっきりしないタイトル、Supersonic Acrobatic Rocket-Powered Battle-Cars を売り出すときに困難が生じました
Psyonix は、奇抜なコンセプトを呼び物に、コントロールは明らかに洗練されていないものの 2008 年にソニーのPlayStation 3 の PlayStation Network 向けにリリースをパブリッシュしました。
市場はどっちつかずの反応で、ゲームのデベロッパーはゲームに対する反応が無関心であることにいらつきました。しかし、失望したにも関わらず、チームはポテンシャルがあるものに関わっているという自信がありました。
「あまり売れなくてもゲームのコンセプトのせいだとは思いませんでした。問題は我々の制作にあり、仕上げ、マーケティング、習得の容易さが欠けていることがわかっていました。」
過去のプロジェクトの経験から、良いゲームを作るだけでなく、売れるゲームを作ることは難しいことがわかっていました。自分たちにあまり勝算がないことを認識したうえで、各サイクル中につきものの経済的リスクを最小限に抑えながら、スタジオがコンテンツ制作を続けることができる新モデルの採用を決定しました。
「受託制作 (work-for-hire) のビジネス形態にしたのです。我々ではなく、クライアントがリスクをとるビジネスです」
この新しいモデルは、Psyonix にとって有益なものでした。収入源が安定し、ゲームの成功にすべてを依存することはなくなりました。
受託制作するゲームが大当たりしてもあまり良くなったり、失敗してもあまり悪くなったりしません」と Hagewood 氏は説明します。「重要なことは、この安定性と、自ら IP を作るリスクとを推し量るいうことです。」
パブリッシャーが押しつける締切に従う義務はない、契約ベースの開発という柔軟な方式は素晴らしくポジティブなものであり、製品を開発するときに収益を生み出すということから Psyonix は解放されます。
とはいえ、デメリットもあります。主に、スタジオ内で作業量についてかなりの頑張りが必要となりました。
でも、チームには自信があったのです。新しいビジネス モデルに守られ、4 倍という圧倒的規模に成長したこのカリフォルニアのスタジオは、5 年を超える経験を Supersonic Acrobatic Rocket-Powered Battle-Cars の精神を引き継ぐ Rocket League に注ぎこみ、一度はあきらめたかのように見えた夢を実現しました。
前世代とは異なり、Rocket League は業界全体から華々しい称賛を浴びました。あらゆるタイプのプレイヤーでヒットしたこのゲームは、Psyonix が信じたコンセプトが完全に正しかったことを見事に証明しました。
「こんなにも人気が出るとは思いませんでしたが、メジャーになるポテンシャルがあると思わなかったらこのコンセプトには戻らなかったでしょう」と Hagewood 氏は控え目に言いました。「我々は信念を守って報われたのです。」
ゲームだけでなく、スタジオ全体を発展させたアイデア、Rocket League は長年の努力を実証するものです。新たな情熱と自信を胸に非常に適応力のある Psyonix にとってこれはほんの始まりにすぎません。現在、新たなコンセプトや体験を模索することを楽しみにしています。
「Rocket League のブランドを成功させ、次のゲームも素晴らしいものにしたいのです。我々は非常に高い目標を設定し、今はそれを実現するのが仕事です。」