リアルタイム技術の現状と展望 : インタラクティブ 3D の現状

Lil Miquela とリテールショップの Pacsun との提携から、トランスメディア ストーリーテリングの成長まで、去年はデジタルとフィジカルのユニバースが新しく刺激的に衝突する事象が見られました。バーチャル ワールドとインタラクティブ 3D コンテンツの継続的な隆盛は、止められません。

CES での インタラクティブ 3D にフォーカスした技術の急増を見るだけでも、魅力的なリアルタイム エクスペリエンスの未来のための基礎が構築されていることがわかります。

2022 年がバックミラーに消えていき、勢いよく新しい年に飛び込んでいく今、過去 12 か月間のリアルタイムに関する最大の進展を振り返りましょう。
 

Unreal Engine ユーザーは繁栄を継続

リアルタイム技術の現状を理解するためのシンプルな質問があります。リアルタイム ツールの使用はどれだけ増加したでしょうか? 業界でのリアルタイムの成長を示す 1 つの兆候は、Unreal Engine の使用で継続して見られる機運です。

去年 Unreal Engine の月間アクティブ ユーザー数 (MAU) は、前年と比較してすべての地理的地域で平均 23% 増加しました。最も増加した地域は北米で、40% 近く増加しましたが、アジアは僅差の 2 位で MAU が約 30% 増加しました。

4 月のリリース以来、現在の Unreal Engine 5 ユーザー比率は 73% に成長しました。

これは何を意味するのでしょうか?

要するに、ますます多くのクリエイターが、デジタル コンテンツを作成するためにリアルタイム ツールを選んでいるということです。後で見るように、この傾向はリアルタイム技術が根付いているすべての主要な業界でも同様です。

大規模なテレビ番組、映画、ゲームに力を与えたり、あるいはトップクラスの建築会社や自動車会社に浸透したりと、2022 年はコンテンツやアプリケーション、エクスペリエンスの制作でインタラクティブ 3D 技術が非常に多く使用されるようになった年でした。

CES で展示されたようなこれらのエクスペリエンスを実行するための、ハードウェアの開発への投資が増加し、今後数年はインタラクティブ 3D の分野で刺激的なイノベーションがもたらされるでしょう。

詳細に見ていきましょう。
 

Unreal Engine を使用する次世代ゲーム

4 月の Unreal Engine 5 のリリースにより、今後の著名なゲームがこのエンジンで制作されるという発表が相次ぎました。これには次の Tomb Raiderウィッチャーのリメイク、ウィッチャー フランチャイズの次回作、キングダム ハーツ 4鉄拳 8レイヤーズ オブ フィアーサイレント ヒル 2 リメイクなどがあります。

The Game Awards 2022 で Debut Indie Game Award を受賞した BlueTwelve Studios の Stray など、発表された次世代ゲームの半分以上が Unreal Engine で制作されています。

2023 年を展望すると、今年リリース予定の非常に期待されている 80 近いゲームで、Unreal Engine が使用されています。

去年は Epic が、統合クロスプレイ オファリングのフェーズ 1 を、まず PC 向けにリリースしました。これにより、Epic Games アカウントをクロスストアフロント ソーシャル エコシステムとして使用したい開発者にとって、PC ストア (まずは Epic Games Store と Steam) 間でのクロスプレイがより円滑化されました。
 

映画とテレビにおける Unreal Engine

この 10 年間で、バーチャル プロダクションはニッチからメインストリームに進化しました。ますます多くのスクリプト化されたプロダクション パイプラインで、この強力な一連の手法の何らかの要素が取り入れられ、Unreal Engine 使用したワークフローを活用するテレビ番組や映画の数が増え続けているのも当然です。

2022 年には、153 のプロジェクトでエンジンが使用され (対前年比 44% 増加)、現在までに Unreal Engine を使用している映画とテレビのプロジェクトは合計で 500 を超えました。

これには、HBO のゲーム オブ スローンズの、ゴールデン グローブ賞のドラマ部門作品賞に輝く前日譚、ハウス オブ ザ ドラゴンや、ハイプロダクション番組の 1899 スター トレック:Strange New Worlds (CBS) など、インカメラ VFX (ICVFX) ワークフローを活用している著名な作品が含まれます。

また、Unreal Engine はプリビジュアライゼーションに関しては依然として有数の選択肢で、Rings of Power (Amazon)、ブラック アダム (Warner Bros)、ブラック パンサー/ワカンダ フォーエバー (Marvel) をはじめとする制作で、この技術を利用して、セットで撮影する前にクリエイティブな選択肢を検討しています。

しかし、リアルタイム ツールはオンセット映画制作を変えているだけではありません。アニメーション プロジェクトをより迅速に協力して進める方法を求める、アニメーション スタジオやアーティストに採用されることも増えています。

アニメーション分野ガイドは去年のリリース後 10,000 回以上ダウンロードされているという事実が、それを物語っています。Unreal Engine で制作された短編アニメーションは、全世界で 30 を超えるアニメーション フェスティバルで上映され、そのうち 1 作品はエミー賞候補 (Little Bird)、他の 1 作品はアニー賞候補 (Mall Stories) となりました。

Unreal Engine を活用した有名アニメーション作品には、ラブ、デス&ロボット:地下に眠りしもの (Netflix)、Super Giant Robot Brothers (Netflix)、ディズニーの ビッグ シティ グリーンのホリデー スペシャル Virtually Christmas などがあります。

フォー オール マンカインド (Zoic/Apple)、スター ガール (Zoic/WB)、ドクター ストレンジ/マルチバース オブ マッドネス (Luma Pictures/Marvel) の Unreal Engine を使用した視覚効果に反映されているように、ゲーム エンジン技術は従来型の VFX を迅速かつ柔軟に提供する方法を提供し続けています。
 

建築におけるリアルタイム技術

去年は建築業界におけるリアルタイム技術にとっても重要な年で、米国内の 40 の最大規模の建築事務所が、迅速で容易なビジュアライゼーション ツール Twinmotion を採用するためサインアップしました。

設計プロセスを何か月も短縮し、ステークホルダーに伝えるためのより魅力的で効率的な方法を提供するという約束に惹かれて、幅広い AEC 企業がリアルタイム能力を増加させています。

去年委託した Forrester レポートによれば、建築業界全体で企業はリアルタイム能力を向上させたいと考えています。回答のあった建築、エンジニアリング、建設 (AEC) 会社の 61% が、24 か月以内に 11 以上のゲーム エンジン ユーザーを採用する予定だと回答しました。*

建築分野でのリアルタイム技術の健全性に対するこのような自信は、Autodesk などの大手企業の戦略的な動きに反映され、去年公表された新しい提携により、Autodesk Revit のサブスクリプション利用者は Twinmotion に無料でアクセスできるようになりました。

AEC 分野でのゲーム エンジン技術の優位性を明確にする、その他の大きな公式発表には、英国を拠点とする Unreal Engine パートナーの OnePlan が、2024 年のパリ オリンピックおよびパラリンピック大会のすべての競技会場のデジタル ツイン制作を任されたというニュースがあります。
 

自動車業界のリアルタイム技術

同様に自動車業界でも、リアルタイム技術の使用が大幅に増加し、各地域のトップ 3 自動車メーカーが、現在 Unreal Engine を使用することを明言しています。北米では、GM、フォード、テスラがエンジンを採用し、ヨーロッパでは BMW、フォルクスワーゲン グループ、フェラーリが使用しています。また APAC では、トヨタ、日産、現代自動車がこの技術を活用している著名なブランドです。

去年は、自動車分野ガイドの更新版が公開され、次世代自動車の開発の中でもゲーム エンジン技術の使用が最も急速に増加している、ヒューマン マシン インターフェース (HMI) を中心とする新情報が含まれています。

Unreal Engine を使用した HMI を採用する自動車の数は、去年 250% 増加し、Rivian R1S、Lotus Eletre、そして最新のフォード マスタングをはじめとする主力モデルが、Unreal Engine で作成された HMI とマーケティング コンテンツを搭載して発表されました。

Afeela というブランド名で販売される、ソニーとホンダの新しい電気自動車が、Unreal Engine で作成されたクラス最高級の HMI エンターテインメント システムを搭載するというニュースにより、その傾向は 2023 年も続くものと思われます。

また 2022 年には、自動車メーカーが新しいクリエイティブなやり方で販売する例も注目されました。フィアットが、Touchcast と Microsoft が提供する技術を使用して、独自ブランドのメタバース環境で自動車の注文を受けています。フィアットは、初期の自動車メタバースのパイオニアである BMW の足跡を追っています。BMW は 2021 年に Joytopia エクスペリエンスをリリースしました。CES 2022 では、このドイツの自動車大手企業が Joytopia を再開し、Dimensions of Real という、新しい「コンセプトカーの概念を再定義する多感覚エクスペリエンス」を公開しました。
 

放送、ライブ イベント、ファッションにおけるインタラクティブ 3D

リアルタイム技術は、放送とライブ イベントの視聴者体験を強化し続け、拡張現実ビジュアル、モーション グラフィックス、ビデオ ウォール、インサート、プロジューサーが CG とライブ アクションをブレンドできるようになるバーチャル セットを強化しています。

2022 年には、インタラクティブ VR コンサートから完全にバーチャル プロダクションを採用したスタジオや、スポーツ ファンを沸かせたグラフィカル オーバーレイなど、ゲーム エンジン技術を使用してユニークな体験を提供するライブ イベントと放送が多数ありました。

CBS News が報道した米国中間選挙では、Unreal Engine の力を活用してさまざまなエフェクトが作成され、世界初の超現実ウイングスーツ シミュレーターなどの驚異的な新プロジェクトをはじめとして、ますます多くの固定設備がリアルタイム技術を使用してインタラクティブ体験を制作しました。

一方、デジタル アイデンティティと、ファッション デザイン、キュレーション、バーチャル ソーシャル エクスペリエンスを通した自己表現の探求は、2022 年も引き続き急速でした。

好例は Human Park の公開で、これは Unreal Engine と MetaHuman フレームワークを両方活用しています。Human Park は次世代 Web3 エクスペリエンスで、完全に相互運用可能な NFT 衣服と季節特有のアイコンで、アバターをカスタマイズできる分散ゲーム プラットフォームです。

同様に、リアルタイム アバター作成環境およびマーケットプレイスの HUMXN では、ユーザーは HUMXN メタバースにアクセスできます。これは Unreal Engine を使用した作成環境で、ユーザーは MetaHuman ベースのアバターに衣服を着せたりポーズを取らせたり、写真を撮ったりできます。
 

Epic のクリエイター ツールのエコシステム

クリエイターが並外れたリアルタイム エクスペリエンスで私たちを驚かせ続ける中、去年 Epic は、強力なクリエーション ツールによる接続されたエコシステムで、彼らをサポートすることを目指しました。

これには Unreal Engine、Twinmotion、Quixel MegascansMetaHumanRealityCaptureRealityScanSketchfabArtStationフォートナイトUnreal Engine マーケットプレイスなどがあります。

私たちの長期的ビジョンは、この相互接続されたアプリケーション、プラットフォーム、マーケットプレイスのハブで、クリエイターが未来のバーチャル ワールドを構築するのに必要なものをすべて提供することです。

2022 年には、この大望に向かう道程の重要なマイルストーンのいくつかに到達しました。まず、デジタル ヒューマンの人口が大幅に増加し、クリエイターによりこれまでに 260 万の MetaHuman が制作されました。

2022 年、MetaHuman プラグインは 68,000 回インストールされ、MetaHuman の新規ユーザーは 406,000 人でした。

MetaHuman を使う人たちの大幅な増加は、全世界のデジタル ヒューマン アバター市場規模が 2030 年には 5,275.8 億ドルに到達するという予想 (2020 年から 100.3 億ドルの増加) とともに、業界のより大きな流れと相関しています。

Twinmotion は建築業界で引き続き話題となっていますが、建築や自動車から製品設計やファッションまでの幅広い業界にわたる、リアルタイム エクスペリエンスの制作に目を向ける、さまざまなコンテンツ クリエイターも取り上げるようになっています。

これにより Twinmotion のコア ユーザー ベースは去年 21% 増加し、初めて Twinmotion をインストールした人の数は 342,000 人を記録しました。

Unreal Engine コンテンツ クリエイターは、2022 年中に Quixel Megascans ライブラリを十分活用し、約 4,000 万件のアセットがダウンロード (2021 年の 2,700 万件から増加) された一方で、Quixel Megascans の平均 MAU は 2022 には前年比で 61% 増加しました。

また 2022 年には、Unreal Engine マーケットプレイスも大幅に拡大し、コンテンツ数は 42% の増加、サイト上での新規販売者数は約 1/3 増加しました。

スポンサー付きコンテンツ プログラムの上位 5 つの無料アセットは、Stone Pine ForestAnimated Rain - Waterdrop Material & FXNiagara Mega VFX Pack vol. 1Sunset - Modular Medieval Brick BuildingsModular Gothic Temple (medieval/winter/snow) でした。
 

クラウドのリアルタイム ツール

Forrester レポートでは、調査対象企業の 77% が、コラボレーションの促進を目指してリアルタイム ツールを採用していることがわかりました。クラウドの力を方程式に取り込むと、協力の機会は 1 桁増加します。 

これを念頭に、Epic はクラウドファーストのエコシステム内で Unreal Engine を最上級市民と位置づけるため懸命に努力しており、ピクセル ストリーミングなどの機能を開発し、Windows と Linux のコンテナなどの基盤技術をサポートしています。

2022 年現在、Unreal Engine は AWS、Azure、Google Cloud などのクラウド ホスティング ソリューション上にデプロイでき、プロジェクトに取り組む際にローカル リソースに頼るのではなく、ホスティングされた仮想マシンを使用できるようになっています。

クラウド ソリューションを Unreal Engine と共に実行/デプロイするのに必要なものの詳細は、Unreal Fest 2022 の Unreal Engine in the Cloud パネルでご紹介しています。

Unreal Engine の他に、Twinmotion もクラウドの力を活用する機能を取り込み始めました。数字に基づいて考えると、ユーザーはこの新しいクラウドベースの機能を活用しており、去年だけでも 100,000 を超えるプレゼンテーションが Twinmotion Cloud 経由でエクスポートされました。
 

2023 年の展望

おわかりのように、2022 年もリアルタイム技術にとって偉大な年でした。新しい年には、これまで以上にインタラクティブでイマーシブな体験がやって来ます。

Epicでは、ツールをよりアクセスしやすくし、クリエイターにこれまで以上の力を提供していきますので、2023 年の展開にご注目ください!

*Epic Games のために Forrester Consulting により実施された委託研究。データは 2022 年 1 月時点のものです。

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