2015年12月3日

Penrose が Gear VR 向けの Touch Orbit インタラクションを導入

作成 Eugene Chung (@eyc) Founder & CEO Penrose Studios

2016 Sundance Film Festival の New Frontiers セクションで VR 映画のワールドプレミアを飾る

Penrose がアンリアル エンジン 4 で制作した VR 映画 “The Rose And I” が Sundance Film Festival 2016 の New Frontier セクションでワールド プレミアを飾りましたことを謹んでご報告いたします。この映画のモバイル用 VR プレビュー “Rosebud” が Oculus Store で Gear VR 向けに本日リリースされます。Penrose 社の ROSE アプリで閲覧可能です。

今まで、Samsung Gear VR 向けシネマティクス体験のほとんどは 360 度動画が中心でした。Penrose を Gear VR 向けに最初の部分をリリースしようとした時、PC ベースの VR フィルム “The Rose And I”をプリレンダリングした 360 度動画を作ろうと思いました。

ただレコーディングを作成してみると、視差効果が出せない、解像度が低い、3D の質も悪い、ビューアーはワールド周りの移動もワールドとのインタラクトもないので没入感に欠けるといった制限があることに気づきました。そこで我々は、PC VR 体験をアンリアル エンジン 4 でモバイル VR にポーティングするという、難しいながらも面白い試みに挑戦しました。

特に Galaxy S6 のグラフィクス単位は我々が PC で使用している Titan Black グラフィック カードの 150 分の 1 のパワーしかありませんし、モバイル VR のポーティングが簡単にいかないことは最初から重々承知していました。Unlit マテリアルや dot product ライティングの使用など、行うべき最適化はたくさんありました。体験度を下げたり、場合によってはなくしてしまった方が賢明な判断な場合もありました。例えば、Gear VR 上でブルームなどのすべてのポストエフェクトを無効化して、ダスト パーティクルを全て取り除きました。変更はいろいろあっても、体験の神髄である可愛らしさと楽しさは何とか維持できました。

もう一つの大きな課題は、ビューアーが VR のユークリッド空間で 6 つの自由度 (6 DOF) で自由に動くことができる機能である位置トラックが Gear VR にはないことでした。移動の自由は、オリジナルの “The Rose And I” を魅力的にした主要エレメントのひとつです。

この不思議な力を自分達の Gear VR フィルムに欲しいと思いました。このように、ビルトインされた Gear VR タッチパッドを使って移動メカニズムを作成し、ビューアーが目の前に主体オブジェクトを短編映画の間ずっとリアルタイムで回転させることができるようにしました。これにより、ビューアーは物語をいろんな視点から見ることができます。この特殊なインタラクティビティのモードは、「Touch Orbit」略して「Torbit」といいます。

“The Rose And I” と同じ方法で、ビューアーはワールドに完全に没入して移動でき、ビューアーは Gear にビルトインされた制御を使って ROSE の物語に没入し、好きな角度から物語を見ることができます。

結果として、モバイル VR で素晴らしい、リアルタイムのシネマティクス体験ができます。

VR でのストーリーテリング向けに、この先数年はオペラと演劇を由来とする映画はシネマティクス言語とは違ったユニークなものとして、新しいこの形式用の言語の開発が行われるでしょう。我々は VR クリエイターとして、規模は小さいながらも急成長中のツールの宝庫です。

Torbit によって我々は、インタラクティビティはどのようにビューアーの VR ストーリー体験に影響するだろうかと問いかけるようになりました。これは、VR の中で我々は何者であるべきかというアイデンティティを中心とするはこの新しいアート形式に関して答えの見つからない疑問の氷山の一角にすぎません。存在とストーリーテリングは矛盾する ということが VR に関して早い段階で分かりました。この難題の解決策を探すことは、VR クリエイターの興味深い課題となるでしょう。

このプラットフォームがコンシューマー用 Gear VR と連動して動く日を楽しみにしています。仮想現実のストーリーテリングはまだ初期段階ですが、ROSE が開始されたことでこの新しいアート形式の前進に向けた小さな一歩を踏み出せたことを願います。PC VR ではパワー不足ではありますが、Gear VR の移植性は不思議です。それは John Carmack が去年の Note 4 Gear Innovator Edition の開始中に言ったことでもあります。

完全にポータブルでワイヤレスの VR ヘッドセットの不思議な力は、実際に体験して初めて正しく評価できるものです。ハイエンドなゲーム PC のパワーは (まだ) 低いですが、十分その変わりになる価値がありますし、多くのデベロッパープラットフォーム上で成長しています。特にモバイル エコシステムの改善速度は素晴らしいです。

仮想現実とは、根本的には現実世界の実際の制限から解き放たれることです。仮想現実を自分と一緒に運び、好きな時に好きな場所にそこへ飛び込むことは、体験の質を高めます。

モバイル VR の体験は、十分なデスクトップでの VR 体験を初めてした時のようなものです。これによりサイエンスフィクションが本物になります。これはまだ序の口です。 – John Carmack, Oculus CTO

モバイルでの新たな取り組みを開始しても、Penrose はコンソール、PC VR、AR に対するコミットメントは変わりません。我々の目標は、あらゆる形式において、仮想現実と拡張現実のストーリーテリングの境界線をなくすことです。ハードウェア プラットフォームはそれぞれユニークさがあると思いますし、このような機会を探求し続けていきたいと思います。

ROSE の世界を皆さんに楽しんでい頂けたらと思います。