2012年1月8日

BioWare 社、Unreal Engine 3 を使用したリアル体験型ゲーム Mass Effect 3 で驚異的なプレイ環境を実現

作成 John Gaudiosi

BioWare は、受賞経験を持つ Mass Effect トリロジーの最高作品で、ゲームにおける仮想キャラクタとのインタラクション性を根本から覆しました。Electronic Arts の子会社 BioWare が開発した新作 SF ロールプレイング ゲームでは、 Xbox 360 の Kinect を利用したキャラクタとのインタラクションが可能になっています。

「Mass Effect 3 の開発開始当初、当社では、各種の新技術に着目していました」と、BioWare のエドモントン支社で Mass Effect 3 のプロデューサーを務めた Jesse Houston 氏は語ります。「本作品のエンジンには、多大な労力を注ぎ込みましたが、その中でも Kinect の音声認識機能に注目し、これは、このゲームにぴったりだと感じました。プログラマーのみが担当できる技術的な側面だけではなく、ゲーム デザインの観点からも、プレイヤーが求めるものとしての選択肢でした。これによって、選択の幅が大きく広がりました」 Kinect の採用は、インタラクティブ エンターテイメントの限界を超えることが絶えず期待されている本シリーズの、数多くの新機能のひとつに過ぎません。そして、BioWare の大作ゲームの開発を裏で支えているのが、 [Unreal Engine 3](/features “Unreal Engine Features”) の技術なのです。

Mass Effect 3

「当社では、これまで長年にわたってこのシリーズを開発してきましたが、その間にいろいろな変化がありました」と、BioWare のエドモント支社で Mass Effect シリーズの上席プロデューサーを務める Casey Hudson 氏は語ります。「当社が開発を開始した時点では Xbox 360 はまだ発売されていませんでしたが、それにも関わらずゲームの設計を開始しなくてはなりませんでした。いま思うと、ずいぶん長い間 Unreal Engine 3 と付き合ってきたのもだと感じます。Mass Effect 3 の開発時でも、大幅なパフォーマンス向上を実感しました。これによって、キャラクタのアクションを改善したり、新しいストーリー展開方法を導入したりと、さまざまなことが可能になりました。また、これまで以上に表現豊かなワールドを構築したり、よりエンターテイメント性が高い シネマティックス を導入することもできました。エンジンのパフォーマンス向上によって、画面に同時表示できる敵の数を増やすことができたため、多数のさまざまなイベントが発生する環境での戦闘方法も多様化しました」

1 作目の Mass Effect から 3 作目までの進展について Houston 氏は、Unreal Engine 3 の進化の証と捉えています。

「Mass Effect 1 から Mass Effect 3 まで見ていくと、まるでまったく異なるゲームのようにも見えます」と Houston 氏は語ります。「戦闘システムには大きな変化があり、RPG も大きく変化しました。光源処理も大幅に向上し、 そのリアルさは、歴史的な飛躍を遂げたと言えます。プレイヤーは、パフォーマンスの向上を実感することになるでしょう。ゲームは全体を通じて依然として 30 fps ですが、そのコントロール性の違いは、必ず実感していただけるはずです」

Mass Effect 3

Mass Effect 3 での最も顕著な改善点としては、 光源処理による光線 と広大な風景が挙げられます。BioWare エドモントン支社のチームは、Unreal Engine 3 の最新技術とチーム独自の技術とを融合し、壮大なゲームに仕上げました。

「私達は、文字通り広大な環境を構築しました」と Houston 氏は続けます。「これまでの Mass Effect では、ここまで大規模に広がる環境を目にすることがなかったと思います。それだけではなく、こうした環境とのインタラクション性も拡大していて、 カバー システムもこれまで以上に活用の幅が広がっています。また、その環境には多くの障害物も存在し、落とし穴などをジャンプして回避したり、ハシゴを上ったりします。このような新しいプレイ方法を今回の作品に追加できたのは、グラフィックを大幅に向上させることができたおかげです」 「このゲームを開発できたのは、究極的には Unreal Engine 3 のおかげであり、あらゆるタイプのシネマティック環境の大部分には Unreal Kismet と Unreal Matinee が活用されました」と Houston 氏は語ります。「当社のチームは、 Kismet と Matinee を活用し、ストーリーに生命を吹き込んでゲームを盛り上げる ハリウッド スタイルのシネマティックス を作成することができました」

プレイヤーの選択肢に応じて内容が変化する Mass Effect 3 では、最初の 2 つのゲームで決定した項目によって各ゲームが異なる変化を見せます。このゲームではアクション要素を強調することが最重要だったが、 ゲーム エンジン の機能向上によってこれが可能になったと、Hudson 氏は述べています。

mass effect 3

「このゲームでは、非常に緊迫したアクションの実現に成功しました」と Hudson 氏は続けます。「Commander Shepard が戦う姿や、カバーを飛び越えながら走る姿が再現され、プレイヤーは、さまざまな物から落ちたりよじ登ったりすることになります。また数多くの映画的な演出のアクションも、プレイ環境内に直接導入されています」 Mass Effect 3 には、Shepard の敏捷さにぴったりの新兵器 Omni Blade が登場します。この武器は、新しいカバー システムで利用するよう設計されており、プレイヤーは、手を伸ばしてカバーをかわすなどして必殺の攻撃を仕掛けることができます。Hudson 氏は、Commander Shepard がまったく新しい必殺攻撃を繰り広げることができるこの新兵器を、ホログラム式の飛び出しナイフのような物だと例えます。

BioWare は、この第 3 作目において本来の RPG 路線への回帰も忘れておらず、アクションとロールプレイングの両方をバランスよく楽しむことができます。

Mass Effect 3

「Mass Effect 1 に採用されていた本格的な RPG 要素は Mass Effect 2 には採用されませんでしたが、今回はこのシステムの構築に焦点を当てました」と Hudson 氏は語ります。「今回の作品では、ゲームを進めるにつれて、多くのカスタマイズ要素や、多くの決断が用意されています。たとえば、所有している武器は、見つけたり買ったりした部品を取り付けて改造できます。部品を取り付けると武器の外見も変化し、攻撃力も高くなります」

武器以外でも、ゲーム全体において、パワーを溜めてキャラクタをカスタマイズすることが可能になっています。キャラクタがパワーアップする際は、そのパワーアップのバージョンと方法を選択することができます。Hudson 氏は、これは、ゲームのコントロールをプレイヤーの手にゆだねるという全体的な方針に沿ったものである、と説明します。 重労働を Unreal Engine 3 に任せることで、BioWare の開発チームはクリエイティブな側面に集中することが可能になったため、性能面の制限のため過去のバージョンでは不可能だったことが実現しました。

「このシリーズの最終章として、今回はハイクオリティな作品を目指していました」と Hudson 氏は述べます。「そしてこの作品を、可能な限り壮大なエンディングとして仕上げることが目標でした。これまで、ゲーム全体を通じて来るべき Reaper との戦争について語られてきましたが、Mass Effect 3 は、その戦争の物語です。ゲームを通じて築き上げてきた友情が、この壮大なストーリーを語ることになるのです」

こうして、BioWare 開発チームの任務は完了しました。Unreal Engine 3 のパワーを活用して、ハリウッドの超大作にも引けを取らない壮大なストーリーが完成したのです。しかし Mass Effect では、プレイヤー自身がその主人公になるのです。