韓国の開発会社 Softmax が初めて Unreal Engine を使用して開発し、2005年に PlayStation 2 と PSP でリリースしたロールプレイング ゲーム「Magnacarta: Tears of Blood」には、Unreal Engine 2 が使用されました。
今回の作品では、Softmax の 40 名のチームがバンダイナムコとパートナーを組み、Unreal Engine 3 の最新技術を使用して Magnacarta 2 (Xbox 360) の開発にあたりました。
「Unreal Engine 3 には、ツールセットやレンダリング機能など、大幅な改良が複数加えられていました」と、Magnacarta 2 のプロデューサー金坂吉久氏は語ります。
「開発プロセスの初期段階では、 Unreal Developer Network (UDN) を頻繁に利用しました。UDN のアーカイブ検索機能は非常に便利で、あらゆる質問に対して即座に回答を見つけることができます」
Microsoft Xbox 360 の処理能力に加え、開発チームは Unreal Engine 3 の 2 つの側面によって支えられた、と金坂氏は確信しています。
「Unreal Engine 2 の時と比べて大幅に改良された Unreal Editor は、ソフトウェアにとって常に長期的なメリットとなっています」と氏は述べます。
「もうひとつのメリットは、このエンジンの汎用性です。必要であれば、当社でエンジンを開発することや、別のミドルウェア エンジンを採用することもできました。しかし、Unreal Engine 3 にはこのゲームの開発に必要なすべてが用意されており、別のミドルウェアを追加するリスクを避けることができるため、利用価値が高いと判断しました」
ゲームプレイに関しては、Softmax は UE3 を使用し、広大な環境の構築を可能にするパワフルなロード システムを開発することができました。続けて金坂氏は、これによって、シームレスに発生する新たなリアルタイム戦闘システムを開発できた、と語ります。
またすべてのカット シーンは Unreal Engine 3 を使用して丁寧に制作され、その上、時間とコストの削減にもなったと氏は指摘しています。
「物理攻撃で敵を吹き飛ばすシステムも開発しましたが、これには PhysX を使用しました」と金坂氏は語ります。
「日本の会社が開発する RPG 大作では、派手なエフェクトが使用されます。これは現在では一般的なスタイルですが、Unreal Engine 3 では、パーティクルとマテリアルのエディタを使用してこのようなエフェクトを簡単に作成できます」
金坂氏は、Unreal Engine 3 では、Magnacarta 2 のような大作 RPG の物語に命を吹き込むことができる、と考えており、開発の観点から見た UE3 で最も優れた機能のひとつとして、今日のゲーム エンジンにとって非常に重要となっている高度な編集機能を挙げます。
優秀な開発チームとパブリッシャー、そして UE3 の技術により、RPG が実際に進化しているということを Magnacarta 2 によって知らしめたい、と金坂氏は望んでいます。また、チームの目標は、その完成度や表現において、RPG の名作と呼ばれるにふさわしい新しい基準を確立することであると語ります。
「次世代コンソール ゲームの開発リスクを最小限に抑えることのできるミドルウェア エンジンは必須だと思います。ですから今後日本でも、Unreal Engine を使用する開発会社が増えるのではないでしょうか」と金坂氏は指摘しています。
Unreal を使用してゲームを開発した日本の開発会社には、UE3 をライセンスして Mistwalker 社とのコラボレーションで Lost Odyssey (Xbox 360) を開発した Feelplus 社、同じく UE3 をライセンスして The Last Remnant (Xbox 360、PlayStation 3、PC) を開発した Square Enix 社などがあります。
去年の秋には Grasshopper Manufacture 社も UE3 をライセンスし、革命的なゲーム デザイナー Suda51 氏と、バイオハザード シリーズの伝説的プロデューサー三上真司氏が手掛けた新作マルチプラットフォーム アクション ホラー ゲームを開発しました。