Image courtesy of ROTU Entertainment

インディー開発者とパブリッシュについて

Unreal Evangelist Team
セルフパブリッシュをするかどうか、それが問題です。インディーゲーム開発者であることには多くの自由があり、様々な選択が可能です。ですが、ゲームを自分でパブリッシュするか、パブリッシャーの助けを得るべきか、という選択は難しいものです。 

ゲームを開発し世界中に配布することがこれまでになく簡単になった今では、どちらのアプローチもあなた、そしてあなたのゲームに適合する可能性があります。複数のリージョンでゲームをリリースすることもそれほど難しいことではなくなりましたが、一方で競争はますます厳しくなっています。世界中のチームが素晴らしいゲームを様々なプラットフォームで日々リリースしているので、その中で戦うにはパブリッシュについてのしっかりした計画を持つことが有用です。

Unreal Indies Week 2021 の一貫として、アメリカ、インド、マレーシアといった世界中の様々な規模のインディー開発者から、それぞれのパブリッシングへのアプローチについて話を伺いました。
 

ROTU Entertainment の Jason Park 氏の場合


ROTU Entertainment はマサチューセッツ州ボストンにある没入エンターテインメントスタジオです。Hot DogsHorseshoes & Hand GrenadesRépublique といったゲームの開発を助けた、Valve や Capcom など出身の才能ある開発者によって構成されるチームです。

会話についてのメッセージングを伝える VR シリーズの第一作である Rhythm of the Universe: Ionia を現在開発中です。CEO の Jason Parks 氏は以下のように述べています。「ROTU では現実世界の問題へのアウェアネスを高めるためにクリエイティビティを活用する方法を模索しています」 

開発者がセルフパブリッシュするか、パブリッシャーを見つけるべきかについて Park 氏は以下のように考えています。「何かミッションやビジョンがあるのであればセルフパブリッシュを考えるのがよいと思います。それがスタートとなって、ゲームを成功させるのに必要なリソースを見つけることができるでしょう。私たちの場合はそれで上手くいきました。セルフパブリッシュの道を選んだことに満足しています」

資金を得る方法については Park 氏は以下のように述べています。「私たちのプロジェクトすべては、非営利団体によって出資されたものか、非営利団体に直接関係があるものです。また、私たちのビジョンと方向性に賛同したヨーロッパやアメリカの戦略投資家もプロジェクトに出資しています。もし人々が賛同して支持するようなビジョンやミッションを持っているのなら、戦略投資家を探すことも選択肢に入れることができます」

ROTU と Rhythm of the Universe の詳細については、公式ウェブサイトFacebook、Twitter、InstagramYouTube チャンネルをご覧ください。 


Nodding Head Games のShreyash Pai と Ian Maude の場合 


Nodding Heads Games はインド、プネーを拠点とするゲームに情熱を持った開発者チームです。先日デビュー作であるRaji: An Ancient Epic をリリースしました。中世インドをベースにしたファンタジー世界を舞台にしたアクションアドベンチャーゲームです。

非常に高い志を持ったゲームを実現する資金を得るために、チームはパブリッシャーを探しました。Nodding Heads Games の 3D 環境アーティストの Shreyash Pai 氏は以下のように語りました。「高い開発コストから、パブリッシャーと協力するというのがゲームを実現する上での唯一の選択肢でした。」パブリッシャーを見つけるということが、ゲームの成功への道のりにおける難しい課題にもなりました。「パブリッシャーを見つける前にすべての貯金をプロジェクトに注ぎ込むことになりました。Kickstarter に挑戦しましたが、不幸にも成功することはできませんでした。[共同創業者の] Shruti [Ghosh] 氏はプロジェクト資金のために家を売ることになりましたが、それのおかげでUnreal Dev Grant を獲得することができました。Dev Grant によって私たちは復活することができました。貴重な時間を確保して、[パブリッシャーである] Super.com と契約を結ぶことができたのです。」

経験を振り返った Pai 氏は以下のようにアドバイスします。「インディー開発者のみなさん、聞いてください。同意を締結するには6ヶ月、もしくはそれ以上かかります。交渉を行い、弁護士も関わることになるからです。これは私たちにとっても、新たな学びでした」 

Nodding Heads Games の共同創業者の Ian Maude 氏は以下のようにアドバイスします。「困難な時に備えましょう。あきらめてはいけません。チームとして、個人としてできることの見通しや発言については現実的になる必要があります。そして、これをただのプロジェクトとして見るのではなく、商業的な冒険的事業として見る必要があります。結局のところ、売り込む必要があるのです」 

Raji: An Ancient Epic は Nintendo Switch、PlayStation 4、PC、Xbox One で発売中です。ゲームについての詳細についてはhttps://rajithegame.com/ をご覧ください。
 

Cellar Vault Games の場合


Cellar Vault Games はマレーシアの小さなインディー開発者です。先日セルフパブリッシュでホラーアンソロジーシリーズ Short Creepy Tales の第一作となる7PM をリリースしました。

彼らのビデオゲーム開発の道のりは学校での制作から始まっています。Cellar Vault Games のアートリードの Eshan Jayatilaka 氏は以下のように語ってくれました。「手短に言えば、大学の最終学年プロジェクトでホラーゲームを作る方法を見つけようとしたところから始まっています。現状は、当初の構想よりストーリーの自由を求めていて、最終形がどうなるか完全には確信できていない、というところです」

彼らの場合、始めるにあたって、セルフパブリッシュが一番アクセスしやすいものでした。「自分たちにまともに取り合ってくれそうなパブリッシャー関係者を一人も知らないという状態でした。アイデアはあって、アートのリソースも、デザインのリソースもあり、当時、技術のリソースもありました。そして私たちはうまくいくゲームプレイの形式を探してみることにしました」

7PM が完成した時も『それで、私たちがわかったことは?誰と知り合った?』ということが問題でした。そして、その時も、パブリッシュや広報、マーケティングを専門をする人はいなかったので、自分たちでただやりました」と Jayatilaka 氏は振り返っています。

Short Creepy Tales: 7PMSteamitch.io で入手可能です。FacebookTwitterInstagram で Cellar Vault Games をフォローしましょう。

考慮すべきこと

これらのチームの経験からもわかるように、セルフパブリッシュをするかどうかの決定の前には考慮すべき面がいろいろとあります。

セルフパブリッシュをすることの最大の利点の一つは、プラットフォーム料金を除いて 100% の収益を得られることです。

ゲームがヒットするか関係なく、自分でセルフパブリッシュをするなら、すべての決断を行う必要があります。次に行う行動も自分で決めることができます。コンテンツの改良を続けるのも、ユーザー獲得に力を入れるのも、マーケティングにお金を使うのも、すべてを一休みして休暇に行くのも、すべて可能な選択肢です。自分で決めることができるのです。セルフパブリッシュではゲームのリリース時期も自分で決めて、その日程に合わせてリソースを配備することもできます。

完全な自由にも、対価があります。すべての選択があなた次第で、その選択の実行についての責任者もおそらくあなたになります。例えば、ゲームの QA、別言語のローカライズ、ゲームのマーケティング、コミュニティ構築、プレスとの関係構築、ストアでの扱いについてのプラットフォームとの交渉、プレイヤーのサポートなどもあなたの責任になるでしょう。自分ではできない、したくない場合は、タスクをアウトソースして料金を支払うこともできます。つまり、資金集め、開発、テスト、マーケティング、リリースまでゲームに関わるすべての仕事と支出についてあなたは責任を負う必要があるのです。

大変に聞こえるかもしれませんが、慌てることはありません!何千ものチームがこのルートを選び、素晴らしい結果を出しています。やる必要がある多くの作業がある、ということを理解しましょう。ゲームを開発しながら新しいスキルを学ぶか、助けてくれるパートナーやサービス提供者を探しましょう。

パブリッシャーと仕事をすることで開発段階で経験豊かなアドバイスを得ることも、ローンチ時の作業の一部、あるいはすべてにおける助けを得ることもできるかもしれません。多くのパブリッシャーは特定のジャンルを専門としていてコミュニティを作っています。それによってターゲットのユーザーに早くアプローチできる可能性があります。

多くの場合、パブリッシャーと契約することで、パブリッシャーはあなたとリスクを共有することになり、リソースやコンサルティングを提供します。資金提供や安心して開発に取り掛かることを助けるミニマムギャランティを設定することもあります。もちろん、これはビジネスなので、対価が必要です。この投資に対する諸条件を設定する必要があります。あなたのパブリッシャーは何を約束しますか?あなたは何を約束しますか?交換条件は何ですか?条件には時間的、プラットフォーム、地域の制限はありますか?こうした問いへの答えを得る必要があるでしょう。

パブリッシャーは多くの場合複数のチームと同時に仕事をしているので、デジタルストアやプレスと強い関係があります。強い人脈を持っていない場合自分で交渉するよりパブリッシャー経由の方がよい条件を実現できる可能性があります。ただ、パブリッシャーが投資している他のプロジェクトとの間での競争もよくあることも理解すべきです。

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