画像提供: Saibot Studios

インディーゲーム制作における資金調達方法

Unreal エバンジェリストチーム |
2021年3月30日
新しいプロジェクトを開始する場合、人を雇ってチームを作ったり、オフィスを借りたりする必要があるかもしれません。また、もうすでにプロジェクトを開始している場合でも、制作中のゲームの完成度をより高めるような機能を追加する必要がでてきたり、完成したゲームを新しいコンソール機に移植しなければならない場合もあります。こうした作業には新しい資金が必要となりますが、資金調達と聞くと、大変なことのように感じると思います。しかし、ゲーム制作における他の課題に対する取り組み方と同様、資金調達にも色んな方法があります。

インディーゲーム制作において資金調達は極めて重要ですが、その方法は地域によって異なります。この記事では、アルゼンチン、アイスランド、オーストラリア、ポーランドのインディーゲームのチームから話を伺い、彼らの資金調達方法をご紹介します。
 

Saibot Studios - Tobias Rusjian 氏

アルゼンチンの小さなデベロッパーである Saibot Studios は、ストーリー性の強いホラーな世界にどっぷり浸かれるゲーム Doorways を成功させた後、最新プロジェクトである Hellbound を立ち上げ、Hellbound:Survival Mode を無料でプレイ可能なデモとして Steam でリリースしました。そして、そのデモがシューティングゲームファンから多くの好意的な評価を得られたことから、経験豊富なデベロッパー・パブリッシャーである Nimble Giant の助けを借りて、本格的なキャンペーンを開始するに至りました。

Saibot Studios の共同創設者である Tobias Rusjan 氏は、自分が業界に足を踏み入れた経緯について、次のように説明しています。「2011年に当時の仕事を辞めて、ゲーム制作を開始しました。母親と一緒に暮らしている間、資金的な援助については叔父にお願いしていました。Saibot Studios の立ち上げは2012年でしたが、当時のメンバーはたった 2人でした」

彼らは、Doorways には 5 年間取り組んでおり、その間に 3 タイトルをリリースしています。「作品をリリースするたびに、チームもゲームの質も向上していきました」と Rusjan 氏は語っていますが、その道中は決して順調なものではなかったようです。「しかし、わずか数名で膨大な量の仕事をこなしていたので、常に非常に過酷な状況でもありました。プログラミングはもちろん、デザイン、3D モデリング、アニメーション、サウンドエフェクトまで、すべて私が担当しました。しかし、これはゲーム自体に関わる部分に過ぎません。さらに、プロジェクトのディレクション、マーケティング、給料の支払いなど、さまざまな業務もこなしました」

Hellbound では、スタジオはモダンな90年代風の FPS の制作を目指していましたが、その資金調達に関して Rusjan 氏は「国からの資金援助や Kickstarter だけでなく、Unreal Dev Grant からも調達できました」と語っています。その後、こうした資金調達の成功のおかげで、Saibot Studios はタイトルをリリースするためのパブリッシャーを見つけることもできました。

Rasjan 氏はここで得た教訓について、「資金調達がうまくいったのは、プロトタイプがあったからだと思います。私たちは、資金提供を行う人々に対して何かちゃんとしたものを見せようと常に気を配っていました。アイデアやドキュメントだけでなく、参考資料も用意していました」と述べています。

HellboundSteam で配信中 です。Saibot Studios の Twitter は @SaibotStudios です。
 

Myrkur Games - Halldór S. Kristjánsson 氏

Myrkur Games はアイスランドのゲーム デベロッパーで、The Darken を制作しています。The Darken は、ストーリー重視のファンタジーアドベンチャー シリーズで、リアルタイムで複雑にストーリーが進行していくリアリティあふれる作品です。スタジオは、Reykjavík Invest の資金提供により Daníel A. Sigurðsson 氏、Friðrik A. Friðriksson 氏、Halldór S. Kristjánsson 氏によって 2016 年に設立されました。

Kristjánsson 氏はレイキャビク大学でゲームデザインとプログラミングを学んでいました。彼は、プロジェクトの開始時に「チームが物事をうまく進めるためには非開発業務を着実に進めていく必要がある」と述べています。「私たちは夕方にアルバイトをしていました。私個人は、オーロラのツアーガイドとして夜に働いていました。そして、空いた日中に開発を進めていました。しかし、最終的にはアクセラレーションプログラムに参加し、その結果資金を獲得できました。アイスランドでの資金提供は、このプログラムが初めてでした。その後は、友達、家族、エンジェル投資家などを通じて投資を募りました」

売り込みを行う際のアドバイスとして、Kristjánsson 氏は次のように語っています。「フィードバックをもらうことが一番大事です。全員に売り込みをかけ、彼らからフィードバックをもらうようにして、それらを基に改善します。なぜそんなフィードバックをもらうのか?何が足りないのか?もっと明確にすべきことは何なのか?といったことを考えるようにしてください。また、売り込み方法の改善は一度だけではなく、常に毎回行うようにしてください。加えて、もう一つアドバイスするとすれば、ゲーム自体を売り込むのではなく、その背後にあるアイデアを売り込むようにしてください。自分の会社、チームを売り込むのです。そして自分が3年後、5年後、7年後どうしたいのかというビジョンも一緒に売り込んでください。自分のゲームでどうやって金を稼ぐのか?なぜこのゲームを作る必要があるのか?ということを自問するのです。ゲームの特定の機能や芸術性だけでなく、それらすべてをまるまる売り込んでください」

The Darken と Myrkur Games の詳細については、スタジオの公式ウェブサイトFacebookTwitterInstagramYouTube の各チャンネルをご確認ください。
 

Brimstone Brawler - Christopher Galea 氏


Chris “Ategig” Galea 氏は、過去10年間、ゲームエンジンを使用して建築や航空宇宙などの業界向けの仮想エクスペリエンスを作成してきました。そして現在はその知識を生かして、彼の夢であったゲーム、Brimstone Brawlers に主任デベロッパーとして働いています。Brimstone Brawlers は、ラブクラフトからインスパイアされたゴシック風の都市 Brimstone で、特定のキャラクターがいるオフライン・オンラインのマルチプレイヤー PVP アリーナブロウラーです。このゲームは、現在 早期アクセス版 で提供されています。

Galeas 氏のゲーム開発は、当初サイドプロジェクトとして始まりましたが、次第に大きなプロジェクトへとなっていきました。「このプロジェクトには、多くの時間を割いてきました。もはやただの趣味というレベルではなく、時には大変なこともあるものの、楽しみながら開発しているもう一つの本職になったと言えます」と Galeas 氏は語ります。彼は開発の多くを Unreal Engine で行っています。「現在、エリアスペースで没入型のエクスペリエンスを作成するために、日常的に Unreal Engine を使用しています。過去2年間で多くのサポートを得られたことから、フリーランスのアーティストと連絡を取ってスタイルや Brimstone Brawlers のゲームプレイ要素を定義するようになりましたが、Unreal Engine はそのような作業がしやすくて便利でした。また、Unreal Engine はチームが 2、3 人と小規模でも幅広くゲームを作れるのも魅力でした。ブループリントやビジュアル スクリプティングといったような独創的な機能なしでは、このゲームを制作できたとは思えません」
 

Galea 氏は、今のところ自己資金でゲームを作成しているとのことです。「これまで、私は自分でこのプロジェクトのすべての資金を調達してきました。つまり、普通にフルタイムで働いてそこからお金を出しています。そして、Steam の早期アクセスで得た売上もゲーム開発につぎ込みました。より多くのコンテンツを作るために、今後も売上は開発に充てる予定です。そして、先ほど説明した通り Brimstone Brawlers は今のところ完全に自己資金で運営されていますが、今後は協力できるパブリッシャーを探し、そこから資金を得たいと考えています。プレイヤーの皆さんが私たちがロードマップで示した機能にとても期待を寄せていることも知っています。なので、パブリッシャーと協力することでそういった機能を早い時期にお届けすることができると考えています」

Galea 氏は、これまでに得た経験からのアドバイスとして「パブリッシャーに売り込むときの最大のコツは、ターゲットオーディエンスを意識することです。例えば、プラットフォーマーと話す時は、彼らのプラットフォームのユーザーにどのような価値をもたらすのかを伝えます。一方、プレイヤーと直接話す時は、彼らが自分たちの余暇を費やしてあなたのゲームをプレイすると、どんな価値を提供できるのかを説明します」と語ります。

Brimstone Brawlers の最新情報は、ゲームの Web サイト をチェックするか、Twitter でフォローするか、Facebook で「いいね」をするか、Discord で参加することで入手できます。
 

Modern Storyteller - Nick Pearce 氏


何百万ものダウンロードを記録し、全米脚本家組合賞を受賞した史上初の MOD である The Forgotten City で大成功した MOD 製作者である Nick Pierce 氏は、弁護士としての仕事を辞め、業界内のベテランを集めてメルボルンを拠点とする小さなインディースタジオ、Modern Storyteller を設立しました。
彼らは現在、スタンドアローン版 The Forgotten City の開発に取り組んでいます。「スタンドアローン プロジェクトの目標は元の MOD のあらゆる側面をレベルアップしたものを作ることですが、インディーゲームを一から作成することは、MOD 作成よりも非常に困難です。しかし、幸いなことに Unreal Engine のおかげで、そうした難しい作業が随分楽になっています。私たちは小さなインディースタジオで、予算も大きくありません。しかし、Unreal Engine を活用することで、昔だと巨大なスタジオでしかできなかったような美しく高度にアニメートされたキャラクターモデルを使用した豪華なワールドを作り出すことができます。このようなゲームは、以前ははるかに大規模なスタジオでなければ実現できませんでした。Unreal Engine のおかげで、私たちは自分たちの実力を上回るような本当にクールでユニークなゲームを制作できます」
 

Pierce 氏は、ゲーム開発の道のりについて次のように語っています。「インディーズゲームの制作にあたって、私は見せかけの良さを追求しようとは思いませんでした。そして、資金調達 は常に大きな課題です。私は、10 年間弁護士として働いた時に貯めたお金と、ビクトリア州の政府芸術団体である Film Victoria からの助成金を活用してゲーム制作を開始しました。その後、開発が進んできたところに、運良く Unreal Dev Grant からのサポートを得ることができました。Epic Games から得られたこの助成金は縛りがなかったため、パブリッシャーである Dear Villagers との契約を結ぶまでのよいつなぎとなりました。その結果、私たちは長い間制作したいと考えていたゲームを作るだけの予算を確保することができました」

The Forgotten City の詳細については、ゲームの Steam ページをご確認ください。TwitterFacebookInstagram でデベロッパーである Modern Storyteller をフォローすることもできます。
 

Varsav Game Studios - Lukasz Rosinski 氏


ポーランドの会社 Varsav Game Studios によって開発された Bee Simulator は、その名の通り、プレイヤーが小さな蜂となって広大でカラフルな世界を飛び回りまわるゲームです。このプロジェクトは前例のないやり方で始まりました。「私には、コンピュータゲームに関連するバックグラウンドはありませんでした。ポーランドの投資業界で働いていました。私はここポーランドの証券会社で、多くのテクノロジー企業に資金を提供してきました。その中には、ゲーム デベロッパーもいくつかあります」と Varsav Game Studios の創設者兼 CEO である Lukasz Rosinski 氏は語ります。そして、Rosinski 氏は投資業界内での彼の人脈を活用して Bee Simulator プロジェクトを開始しました。「もちろん、ここポーランドの投資市場を利用して、このプロジェクトへの資金を募ることも思いつきました。なので、他のゲーム会社に投資を行っている投資家の何人かに、私の会社への資金提供に興味があるかどうかを尋ねてみると、皆私のアイデアをすごく気に入ってくれました」と Rosinski 氏は述べています。その後、Varsav Game Studios がデモを作って公開した際は何度か話題となったことから、「ゲームの内容を紹介するデモを作成すると、資金調達が非常に楽になりました。開発初年は、このときに資金提供を行ってくれた投資家に支えらていました」とも語っています。

その後、Varsav Game Studios は Gamescom で Bee Simulator を紹介したことで、更なる注目を集めました。「私が覚えている限りだと、7 つのパブリッシャーがプロジェクトの完全なアイデアについて興味を持ってくれました。その後、その中の 3 つのパブリッシャーと詳しく話し合いをして、最終的には 1 つのパブリッシャーに決めました」 と Rosinski 氏は語ります。

それにより、Bee Simulator が小売店の棚に並ぶ道が開かれましたが、これは Rosinski 氏にとって重要な目標でした。「Bee Simulator は子供と大人の両方を対象としたゲームで、理想的なクリスマス プレゼントになると思ったからです」

Rosinski 氏は、彼の経験から「ポーランドでは、テクノロジー開発を支援するための政府からの寄付プログラムがあります。私たちはこれを次のゲーム開発のために利用しています」と述べています。

Varsav Game Studios の今後の最新プロジェクトについて知りたい場合は、公式 Web サイトTwitterFacebook ページを確認してください。Bee Simulator は、Nintendo Switch、PC、PlayStation 4、XboxOne にも対応しています。
 

資金調達について知っておくべきこと

ゲーム開発はリスクが高く、大きな費用が必要となります。また、開発には多くの未知数な要因も絡んできます。開始当初は自己資金や友人・家族からの援助がインディーデベロッパーの主な資金源となりますが、高い優先順位を持ってそれら以外のチャンネルから持続可能なサポートを得られるように行動するのが大切です。

資金を調達する方法はいくつかあります。しかし、プロジェクトを売り込み、資金調達を行うこと自体がかなり時間のかかる作業となりますので、ご注意ください。外部からの資金調達には、次のような方法があります。
 
  • インキュベーターからの資金提供:開発の初期段階にあるチームの育成を専門としています。彼らは金銭的に投資することもあれば、チームに対して無料で使用できる職場、ハードウェア、またはさまざまなスキルを持つメンターへのアクセス、およびネットワーキングの機会を提供することもあります。
  • ベンチャーキャピタルからの資金提供:プロジェクト開発における全面的または部分的な資金の提供を行うか、適切なパートナーとの橋渡しをすることによって、プロジェクトを更に上のレベルに引き上げるための支援を行います。
  • パブリッシャーからの資金提供:パブリッシャーからの資金提供は、プロジェクトの開発をすべて補うものから、その一部の費用を補うもの、流通と市場開拓費用のみ補うもの、特定のプラットフォームへの開発費用のみを補うものまで、幅広い形をとります。
  • 地方または国の政府の助成金または事業ローン。
  • 賞およびその他の収入
  • クラウドファンディング
 

Epic Mega Grants について知っておくべきこと

Epic MegaGrants についてご存じでしょうか?Epic Games は、ゲームデベロッパー、エンタープライズ プロフェッショナル、メディアおよびエンターテインメント クリエイター、学生、教育者、ツール デベロッパーが Unreal Engine で素晴らしいものを作ったり、より良い 3D グラフィック コミュニティのオープンソース ソフトウェアの開発をサポートしたりするために、1 億ドルを拠出してます。

私たちは、あらゆる規模の UE ゲーム プロジェクトの発展を願っており、そのサポートを惜しみません。ゲームを他のエンジンから Unreal Engine に移行するための助成金も出しています。Unreal Engine と統合するソフトウェアの開発、3D グラフィックス コミュニティに利益をもたらすオープンソース ツールやソフトウェアの開発とその機能強化、オープンソース プロジェクトにおける困難な問題の解決やワークフローの改善に対しても支援を行っています。あなたのプロジェクトを私たちにお見せしていただくことで、成功を後押しする助成金を提供できるかもしれません。詳細については日本のクリエイター向けの配信『猫でもわかる Epic MegaGrants 応募への道』をご覧ください。日本語でのプロジェクト応募も可能です。

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