ダンテ再び。ファン待望のシリーズ新作、便利屋稼業のデビル ハンターが『DmC Devil May Cry』でスタイリッシュにカムバックします。
カプコンとの緊密な協力体制のもと、開発会社 Ninja Theory が創りあげるダンテの新たなる物語となる本作。ダンテの本質を削り出し、そこから新生ダンテの出自を紡ぐストーリーを新たなアクションが彩ります。イギリスに本拠地を置く同社が、この多層世界で展開するストーリーを表現するために選んだのがアンリアル・エンジン 3 (UE3) でした。
Ninja Theory は過去、バンダイナムコゲームス販売の『Enslaved: Odyssey to the West』でも UE3 テクノロジーを採用していました。
「私たちは長い間アンリアル・エンジン を使い続けてきました。『DmC』においても、ゲーム制作にすぐ着手できる俊敏さを維持しながら、私たちが実現したかったことを可能にしてくれたと思います。新しいエンジンを採用していたら、おそらくは実際の開発に着手する前にエンジンに慣れる期間が 6 ヶ月以上必要だったでしょう」と Ninja Theory の Dominic Matthews 氏は語ります。
「私たちは、このエンジンで何ができるのか、私たちのニーズに合わせるためにどこを修正すればいいかをもう理解しています。『Enslaved』の開発を通じて学んだことすべてを、『DmC』に投入することができたんです」 (Matthews 氏)
またカプコンのプロデューサー Alex Jones 氏は、UE3 を採用したことでシリーズ全作よりも広いエリアを作ることが可能となり、結果として通路が不要になり、そこから得られた自由さがゲームプレイを押し広げてくれたと述べています。
「アンリアル・エンジン のスクリプトは柔軟性が高いので、 過去作に比べてかなり複雑なことをしたゲーム内イベントもあります」とは Jones 氏の弁です。
Matthews 氏はまた、Ninja Theory では開発中にエンジンのほぼ全機能を使っていた時期もあったと述べています。
「極めて便利だったのが、アンリアル・マチネの存在でした。マチネを使うことで複雑なカットシーンを手軽に組み上げられたので、私たちが目標としていた映画的な映像表現を実現するため、細部に注力できたのです。また UE3 の素材関連システムが、ゲームに登場するオブジェクトの表面の見た目と質感を制御できる点にも助けられました。プロジェクトの早い段階で社内アーティストに担当部分の素材を作成してもらう、という判断ができたことで、本作を本作たらしめている雰囲気を作り出せたのです」 (Matthews 氏)
Ninja Theory はまた、パフォーマンス キャプチャー分野でも第一線で活動してきた実績があります。『Heavenly Sword 〜ヘブンリーソード〜』と『Enslaved』の開発に際しては、キャプチャー俳優兼ディレクターの Andy Serkis 氏と協力してきました。『DmC』においては、ダンテを含むキャラクターたちのアニメーションに同社の最新鋭パフォーマンス キャプチャー テクノロジーが使われています。このテクノロジーは、従来のストーリー主体のアクション ゲームよりも、表現力を格段に高めるものです。
「Ninja Theory では、『DmC Devil May Cry』中の凝ったカットシーンすべてでフェイシャル モーション キャプチャー用の内製ソルバー (最適な変数の値を求める機能) を使っています。このソルバーを使うことで、極めて高い品質を達成できただけでなく、作成したコンテンツを繰り返し調整する仕事を外部会社に発注する必要もなくなったのです」と Matthews 氏は語ります。
ハリウッド クラスの映像表現をゲームで実現する上で、パフォーマンス キャプチャーは重要な役割を果たします。プロジェクト立ち上げ後、カプコンは Ninja Theory に対し、今回のダンテと『DmC』はコンテンポラリー映画のようなものと考えてみてほしい、と伝えました。これは『Devil May Cry』を新たに解釈しなおし、より広いユーザー層にとって魅力的なイメージを打ち出すと同時に、シリーズの DNA を壊さず肉付けしていくことを目標としてほしい、という意味を込めた発言でした。
「今、映画館で上映されているような映画にダンテが出演しているような感じ、というアイデアは私たちが開発を続けていく上での道標となりました。今作の着陸地点について、私たちはとても満足しています。『Devil May Cry』を遊んでくれる新しいファンと過去作からのファンの両方に楽しんでもらえれば幸いです」と、Matthews 氏は述べました。
Ninja Theory ではゲーム体験を総合的に底上げするため、UE3 と連携して動作するライティング/シャドウのカスタマイズ機能、高速高精度なクロス シミュレーション機能、高速なパーティクル システムといった新しいテクノロジーを制作、導入しました。また同社は、プロジェクトを通して アンリアル・デベロッパー・ネットワーク (UDN) 上で Epic Games および UE3 を利用している外部チームのメンバーと協力関係を保っていました。
「UDN はサッとドキュメントを検索するときにとても便利です。でも本当に重要だったのは、コミュニティ フォーラムの存在でした。フォーラムには、UE3 のライセンシーなら誰もがアクセスできます。なので自分たちが抱える厄介な問題も、多くの場合すでに誰かが通った道だったりするわけです。これには随分助けてもらいました」と Matthews 氏は振り返ります。
問題といえば、本作のストーリーにおいてダンテは、世界を救うために大きな問題に立ち向かいます。『DmC』において、ダンテは雰囲気が大きく違う 2 つの世界を駆け抜けます。片方の ”悪魔が棲む世界” では、ダンテの目はしっかり世界を見通せるのでデビル ハントもできますが、もう一方の ”一般世界” では、常に危険に囲まれているにもかかわらず、何が危険であるのかを見通すことはできません。
「本作は現代の世界を舞台としていますが、ダンテは更にもうひとつの世界を行き来することになります。それは我々の住む世界の上に重なる ”リンボ” と呼ばれる世界です。現代に住む人々はリンボの存在を知りません。リンボでの出来事が一般市民の無意識にどのような影響を及ぼすのかについては、ゲーム世界にヒントを残してあります」と Ninja Theory のゲーム ディレクター、Tameem Antoniades 氏は語ります。
また Matthews 氏は本作を、基本的には現実なのにファンタジー要素もあるというサジ加減にしたかった、と語っています。作中でダンテは悪魔の手によりリンボに引きずり込まれ、そこから脱出する以外に生き残るすべがない、という状況に追い込まれます。
「リンボの雰囲気は、生きものっぽくて、邪悪で、とにかくダンテを捕まえたがっている感じにしよう、とみんなで言っていたんです。リンボのイメージはたくさんのものから着想を得ています。シュルレアリスム絵画、不気味な植物のコマ撮り成長動画、さまざまな内破/崩壊を記録した動画などは、命を宿したクリーチャーという雰囲気を作り出す上でとても役立ちました」 (Matthew 氏)
『DmC』の戦闘はとても速く滑らかです。そして開発チームは ”戦闘のためのツールを用意し、それらをどう使うかはゲーマーに決めてもらう” という理念を貫きました。プレイヤーには戦闘中にいろいろ試してもらい、自己を表現する遊び方を探して欲しいと考えたのです。この自由度を提供する上で重要だったのが、本作で実装した、瞬時に武器をスイッチする機能です。
ダンテには 3 種類のフォームが用意してあり、ゲームパッドのトリガーを引くと切り替えることができます。フォームはヒューマン、エンジェル、デビルの 3 種類で、プレイヤーはさらにたくさんの武器からお気に入りの物を選べます。ヒューマン フォームのダンテには剣 (レベリオン) と、何種類かの飛び道具が用意されています。右トリガーを引きっぱなしにするとダンテはデビル フォームに姿を変え、アービター (斧) などの高攻撃力/低速の武器を選べるようになります。 左トリガーを引きっぱなしにするとエンジェル フォームに変化し、低攻撃力/高速の武器が選べるようになります。武器は瞬時に選べ、しかも闘いながら交換できるので、プレイヤーは自分のプレイ スタイルに合った戦術を選ぶことができます。これは自分が一番楽しい方法で遊べる、という最重要ポイントです。それに加えて、本作はプラットフォームを選ぶこともできます。
「着手直後からクロスプラットフォーム開発を開始できるエンジン、というのは本当に大きなメリットでした。複数プラットフォーム対応についてはアンリアル・エンジン がサポートしてくれる、という信頼があったので、私たちはゲームの内容に注力できたのです。メイン プラットフォームをひとつ選ぶのではなく、すべてのプラットフォームを平等に扱うことができました。当然プラットフォームごとに動作の異なるシステムもあるにはありましたが、特殊な例外という感じでした。エンジンのおかげでしたね」(Matthews 氏)
Ninja Theory では、煩雑な処理を UE3 に任せることで、大人気シリーズの主人公に新たな命を吹き込むという創造的な仕事に注力することができたのです。新生『DmC』はプレイヤーに多彩な選択肢を提供しながら、より広い層を惹きつける映像体験も提供することでゲームプレイを総合的に高めています。