2012年10月19日

アンリアル・エンジン3で奏でられる「悪魔の楽譜」、デモンズ・スコア登場

作成 Unreal Engine

モバイルプラットフォーム向けのリズムゲームはそれほど珍しいものではないかもしれません。しかし、アンリアル・エンジン3(UE3)を使い、エキサイティングなバトルシーンと日本の有名作曲家による名曲の数々がひとつになった、モバイルプラットフォーム向けリズムゲームとなるとどうでしょう?イニスが開発し、スクウェア・エニックスからリリースされた「デモンズ・スコア」は、正にそんなゲームなのです。

スクウェア・エニックス モバイル事業部のシニア・マネージャー 時田貴司氏は、「デモンズ・スコアは、スマートフォン向けのアプリでありながらコンシューマに負けないインパクトのあるクオリティの作品を制作したいと考え、開発を始めました」と語ります。最初のステップは開発を担当する開発会社を見つけることでしたが、これまでに「ギタルマン」や「押忍!闘え!応援団!」、「Lips(日本未発売)」といった、非常に特徴的でインパクトのあるリズムゲームを制作していたイニスに開発を依頼することが決まりました。

Demons Score

次のステップはゲームエンジンの選定でした。時田氏によれば、Infinity Bladeがリリースされた際、「大きな衝撃を受けた」と言います。また、イニスがそれまでにアンリアル・エンジンを使った開発を行なっており、習熟していたことも、エンジン選択を容易にした一因だそうです。

イニスのコア・ミドルウェア・テクノロジー・チーム 赤松智氏は、デモンズ・スコアの開発が進行するにつれて、フローの視覚的な管理や敵の生成タイミングの調整等に、アンリアル・キズメットアンリアル・マチネが非常に役立ったと語ります。UE3のモバイルプレビュー機能も、確認処理の単純化を可能にすることで、デザイナーにとって非常に便利だったそうです。

Demons Score

「Infinity Blade並みの画面を実現するという、とても高いゴールを設定して開発が始まりましたが、非常に高いレベルのクオリティを実現出来たと思います」と赤松氏は語ります。プレビューツールによって、目標としていたゲームプレイやビジュアルのレベルを実現することが容易になったそうです。

さらに、3Dに関する機能の豊富さ、コマンドを使ったデバッギング機能に関しては、想像以上に幅広い用途での利用が可能で、開発チームの期待を上回るものでした。また、エンジンのソースコードが見られるため、必要な時にカスタマイズを行い、ファンタジーや戦闘要素のあるリズムゲームという特徴に合わせた改良を施せる点も役に立ったと言います。

実際の開発では苦労した点もあったそうですが、ハイエンドなリアル系グラフィックのゲームをモバイル向けに制作するのであれば、「アンリアル・エンジンはとても有益だと思う」と時田氏は述べています。「カットシーンなどシーケンスのデータ群で構成することが多いモバイルゲームでは、アンリアル・エンジンのツールセットを活用することで、データの作成・管理や量産なども効率よく行えると思います」

イニスと、開発に協力したヘキサドライブのスタッフは、iOS版の制作に際してEpic本社や日本法人から十分なサポートを受けられたと語っています。UDN (Unreal Developer Network)上のフォーラムでのやりとりも活発で、エンジンのアップデートも頻繁に行われ、非常に役に立ったといいます。

時田氏によれば、アンリアル・エンジンとそのツールセットのパワーを十分に発揮するための唯一のボトルネックは、モバイルプラットフォームのハードウェア的なパフォーマンスだといいます。「今後も現在のようなモバイルプラットフォームの進化のスピードが継続すれば、近い将来にはさらにインパクトのある画面作りが出来るようになると思います」。