カリフォルニア州サンディエゴ発 - Sony Online Entertainment LLC (SOE) は、「Comic-Con International: San Diego 2008」にて最新の MMO (Massively Multiplayer Online) ゲーム「DC Universe Online」を発表しました。本作品は、コミックの版権を使用した初の MMO であると同時に、PC と PlayStation 3 の両方でリリースされる初のコミック ブック MMO となります。オースティンに拠点を置く SOE の開発チームは、DC Universe を世に送り出すために Epic Games の Unreal Engine 3 を採用しました。
「初期段階では、このゲームの開発に最適なエンジンを決定するため、各種のエンジンをテストしました。その中でも Unreal Engine 3 は、このゲームのワールドを構築するためのツールが揃っていて、まさにぴったりの選択肢でした」と、DC Universe Online で主任クリエイティブ ディレクターを、DC Comics ではアーティストを務める著名なアメリカン コミック作家 Jim Lee 氏は語ります。「Unreal は、MMO 開発用として特別に設計されているわけではなかったので、初期段階では多くの調節が必要でしたが、その結果はすばらしいものでした」
Lee 氏は、70 名のスタッフで構成される SOE オースティンのチームは、光源処理、スペキュラ エフェクト、DC Universe の 3 人の代表的キャラクタの作成において、非常にすばらしい仕事をした、と指摘します。
「Unreal Engine では、気に入らない部分などはとても簡単に変更でき、シャドウを暗くするなどの編集も簡単なので、非常に満足しています」と Lee 氏は述べています。
SOE オースティンの製品開発担当副社長、John Blakely 氏もこれに同意して次のように語ります。
「Unreal Engine 3 では、開発当初からゲームをプレイすることができました。グラフィックをゲームに適用するツールの基盤が用意されており、デザイナーは、目指すプレイ環境についてテストを実施したり、プロトタイプを作成したりすることができました。このゲームでは、アクション ゲームの要素とオンライン ゲームの要素がブレンドされているため、これがとても便利でした。最初からこれをプロトタイプ化し、何が重要になるかを把握して、結果を熟知した上でゲームの基礎構造を作成できるということは、非常に有益でした」
Blakely 氏は、Unreal Engine のツールセットのおかげで、グラフィック担当者は開発開始当初から必要なすべての機能を利用できたため、このプロジェクトのスタッフはすぐに決定した、と語ります。
「一般的に MMO ゲームでは、コンテンツ (環境、キャラクタ、その他各種) の作成に長い時間がかかります」と Blakely 氏は続けます。「当チームはあまり混乱もなく開発を開始できたため、このゲームで必要な基本要素に集中することができ、グラフィック担当者も、邪魔されることなく自分たちの作業に集中できました」
コミック ファンの多くは、Lee 氏の独特なスタイルのグラフィックに慣れ親しんでいます。DC Universe Online でスタジオ クリエイティブ ディレクターを担当した Chris Cao 氏は、Unreal Engine 3 を採用したことにより、多くのグラフィックとキャラクタのレンダリングの効率が、コストを抑えたまま飛躍的に向上した、と語ります。
「Jim のキャラクタは、独特の雰囲気を持っています」と Cao 氏は続けます。「このような DC のキャラクタは外見も個性的なため、これをソフトでアニメ的なものにしたくなかったのですが、Unreal Engine のおかげでそれが可能になりました」
San Diego Convention Center で開催された Comic-Con では、「Brainiac のエイリアン侵略」シナリオを 6 人のカスタム スーパーヒーローでプレイすることが可能でした。Metropolis の住民がゾンビに変えられてしまったこのシナリオでは、スーパーマンは、特に Lex Luthor と Bizarro がこの戦いに関与してからは、あらゆる助けを借りなければなりません。
「これは、プレイヤーがスーパーヒーローの気分を味わうことができる初めての MMO ゲームです」と Cao 氏は語ります。「ゲーム専用機のゲームにはスーパーヒーローのゲームがありましたが、このような規模の大きいゲーム環境で友達とプレイできるのは初めてでしょう。ほかのプレイヤーを凍らせて武器として使ったり、それをボールにしてボーリングで遊んだりすることもできます」
DC Universe Online では、バットマンやフラッシュなどの有名なキャラクタからホークマンなどのマイナーなキャラクタまで、DC Comics シリーズの約 150 ものキャラクタが登場します。しかしこのゲームでは、ユーザーが作成したオリジナルのキャラクタや悪役と、DC キャラクタとのインタラクションを中心にプレイが展開されます。
「ユーザーは、攻撃方法、パワー、武器をカスタマイズして、自分のお気に入りキャラクタを作成することができます。たとえばバットマンのように、いろいろなアイテムを使ってアクロバットのような動きをするキャラクタを作成することなどが可能です」と Cao 氏は説明します。「キャラクタは自由にカスタマイズできます。パワー タイプには、Green Lantern が使うような光のパワーをはじめ、大地のパワー、炎のパワー、氷のパワー、電気のパワーなどがあり、その数は十数種類にも及びますが、これを自由に組み合わせることによって、すごいキャラクタを作成できるのです」
SOE オースティンでは、物理ベースの戦闘を可能にするために、カスタム サーバー ソリューションを開発、 Unreal Engine 3 と合わせて、Blakely 氏が「常に直感的なゲーム環境」と呼ぶ環境の実現に使用しました。
「戦闘の裏側で適当な処理をしているわけではありません」と Blakely 氏は語ります。「プレイヤーが、敵に炎の弓矢を放ったときに、その間をほかのキャラクタが通過すれば、弓矢はそのキャラクタに当たり、敵には届きません。また敵の攻撃を避けることもできますが、これは、今までの MMO ゲームには見られなかった仕組みです。『EverQuest』や『World of Warcraft』をプレイしたことのあるユーザーなら見慣れた機能も多いでしょうが、その点を除いては、このゲームでは、スーパーヒーローやスーパー悪役を演じるプレイヤーが主役です」
このゲームには、DC Universe の全世界が詰め込まれており、プレイヤーは時間をかけて冒険することができます。巨大にうごめく Metropolis に加え、Gotham City では、バットマンの世界が活き活きと描かれています。
「DC Universe Online のキーポイントのひとつは、これらの環境自体がキャラクタのようなものだ、ということです」と Lee 氏は説明します。「ただ単に街に出かけてミッションを遂行するだけではなく、さまざまな場所でさまざまなイベントが発生し、プレイヤーはそれを楽しむことになります」
何百万人というユーザーを持つ DC Universe Online は、いろいろな方法で楽しむことができます。
「友達やグループと一緒にプレイに参加して、Arkham Asylum や Star Labs を探検して楽しむのもひとつの方法です」と Cao 氏は述べます。「また、16 ~ 24 人、またはそれ以上のグループで参加して、コミック内で展開するような戦いを楽しむこともできます。DC Universe では、プレイヤー全員が単に正義の味方ということはなく、自分の敵の敵は友達、というように、ヒーローと悪役に別れて、数百ものヒーローや悪役たちが繰り広げる大規模な戦いが展開します」
このように、壮大な規模の DC Universe とそのスーパーヒーローたちの活躍は、Epic Games の Unreal Engine 3 技術によって、コンピューター上と PS3 上に 3D で実現しました。