Zombie Studios にとってアンリアルエンジンの技術は勝手知ったるものです。アンリアルエンジン 3 を使って「Blacklight: Tango Down」と「Blacklight: Retribution」を開発し、Zombie Studios はアンリアルエンジン 4 を導入した最初のスタジオのひとつであり、この少人数チームはそのおかげで、新たなホラーゲームという野心的なアイデアを現実のものにできました。
「Daylight」では、プレイヤーたちは迷路のような病院の廃墟の中で目覚めます。無力でスマートフォンの弱い明かりだけが頼りの彼らの目標は、単純かつただ一つ――この場所を脱出すること。手順的に生成された環境によって短めかつ多様なゲームプレイを可能としており、「Daylight」はプレイするたびに異なった体験ができます。そして新しいレイアウトを探索し、新たな秘密を発見し、ミッド アイランドの恐ろしい住民たちと嫌な出会いをすることが可能となっています。
Zombie Studios はアンリアルエンジン 4 によって、とてつもない速さで開発プロセスに飛び込める能力が与えられたと言います。クリエイティブ スタジオ責任者 Jared Gerritzen 氏はその時のことをこう振り返ります。「『Daylight』のアイデアが出された時は、すごい事のなりました。私はその場でアイデアを出して、その足で韓国 2 週間行ってたんです。それで戻ってきてみたら、みんなそのアイデアを元にそのまま作業に直行していたんです。エンジニア 1 名とその他アーティストの 6 人のチームだったんですけどね」
Gerritzen 氏はこう付け加えます。「全てをブループリントで作成して、大勢のエンジニアがいなくても素早くプロトタイプ作成と実行をやれるというのは、他では中々ありません。アンリアルエンジン 4 のすごい所は、そんな大勢のプログラマーは要りませんし柔軟なモジュールも使えますので、前の開発サイクルではできなかったことを今回はできるという点です。最高ですよ」
「ブループリント」とはアンリアルエンジン 4 の新たな視覚スクリプト ツールであり、これによって Zombie Studios のような小規模チームでも、新たなアイデアを試してコンテンツを作成するなど、それまでは規模の大きなチームが必要だったり、貴重な時間の無駄になったかもしれない作業可能となりました。
複数の分野間でアイデアをやり取りしたり、複数の開発職にプロトタイプ作成を要請したり、その結果が出来上がるまで待つなどに比べ、ブループリントがあれば誰でもアイデアから完全に動作するプロトタイプを作り上げることができます。そしてそのため Zombie Studios のチーム メンバーらは創作プロセスに独自の影響を与えながらも、以前の開発方法に比べて時間を節約することができました。
テクニカル アーティスト David Sursely 氏はその体験についてこう伝えてくれました。「以前は、何かをデザインしても、それが実装されたかどうかが分かるのは一日、二日後でした。今では、デザイン、作成、プロトタイプを 30 分以内に完了させて、それが使えるかどうか見ることができるんです。そして使えると分かったら、そこから直ぐにその要素の拡張に取り掛かれます」
ブループリントのメリットは、アーティストやデザイナーだけのものではありません。たとえば技術ディレクター Russell Nelson 氏は、楽しそうに、「もしデザイナーが何か欲しければ、彼らがそれをやって、私はそのまま立ち去れます。ブループリントのおかげでデザイナーはエンジニアを引っ張ってくることなく上手く作業を完了し、エンジニアはその時間をレンダリングの最適化やロード時間削減のためのファイル システムの高速化などの仕事に時間を費やせるんです。こういった小さなことが積み重なって、エンドユーザーがゲームを好きになってくれるのだと思います」
アンリアルエンジン 4 はパーティクル エフェクト用ツール「カスケード」、アニメーション用ツール「ペルソナ」、カスタム UI用ツール「スレート」などが搭載された何でも屋的エンジンですが、デベロッパーの求めるニーズは作成されるゲームと同じくらい多岐に渡ります。アンリアルエンジン 4 のモジュール式デザインにより、デベロッパーの方々は必要に応じて要素を追加したり取り除いたりすることができる、とてつもない柔軟性を得ることができます。
「エンジンに追加したものもあれば、外したものもあります。『これは要らないな』と思うだけであっという間です。統合箇所が多いほかのエンジンだと、少し難しくなりますね」として、Nelson 氏は「スレート」がアンリアルエンジン 4 のカスタマイズ性の一例であると指摘します。「二次的な UI ソリューションに頼ることなく使用できる物として力を発揮してくれています。それに何かがちゃんと動作していないのはなぜかを調べるために、サードパーティーのライブラリを探し回る必要もありませんしね」
「ホラー」は、見える物と見えない物、そして暗がりに潜む言葉にもできない物が織りなす繊細なバランスです。このジャンルのファンならば誰でも知っていますが、ライティングは雰囲気を作り出すことも壊すこともできる重要な要素です。ですが「Daylight」の手順的に生成される環境のため、アンリアルエンジン 4 のダイナミック ライティング システムがなければプロジェクトはそこで終わっていたかもしれません。
「アンリアルエンジン 3 で『Daylight』を開発するには、多くの手助けがなければ無理でしたね」と Sursely 氏は説明します。「そのダイナミック ライティング用ソリューションを作成するためには多くのエンジニアが必要なったはずです。手順的要素はプレイされている時に実行されて組みあがるわけですから、事前に何かを作ってライティングを作成できるようなものでもありません。それを実現するには、ダイナミック ライティングしか手は無かったでしょう」
Zombie Studios が今もアンリアルエンジンを使っている理由について尋ねられると、Gerritzen 氏はこう答えました。「私も独自のエンジンを持っているスタジオでも勤務していましたが、アンリアルのように成長し、進化するようなエンジンを作るには、巨大なチームが必要になります。そして新しいビルドが公開される度に、新しいオモチャが手に入るんです。そこが一番良いところなんです」
「Daylight」は現在 PC、PlayStation 4 版がリリースされています。Zombie Studios の最新情報については http://www.zombie.com/ およびツイッターアカウント (@ZombieStudios) よりフォローできます。