サンフランシスコ発 - Electronic Arts の 新しい Montreal Studio によるはじめてのゲーム Army of Two では、現代の民間軍事会社 (PMC:Private Military Contractors) の極秘作戦が舞台となっています。Ubisoft Montreal で Tom Clancy’s Splinter Cell の制作に携わった主要メンバーを含む 80 名の開発スタッフが、PMC の Woodie Mister 氏と緊密に協力し、Xbox 360 と PlayStation 3 で現代の戦闘をリアルに描き出します。そしてこの協力型シューティング ゲームの開発に採用されたのが、Unreal Engine 3 でした。
Army of Two のプロデューサー Reid Schneider 氏は、「当社では、数年間にわたって Epic と良好なパートナー関係を維持しています。Ubisoft でのオリジナルの Splinter Cell の開発では、アニメーション ディレクター、グラフィック ディレクター、主任レベル デザイナー、主任プログラマー、そして私自身を含め、多くのスタッフが Unreal の技術を利用していました。Unreal には実績があり、開発における優秀な基盤になる、というところが気に入っていました。これは技術的な観点ではなく、 コンテンツ開発の観点からの意見です。技術的な面は Epic にお任せして、私達はそのコンテンツと創造力を駆使して、ユーザーのためにクールで楽しいゲームの開発に集中できます」と語ります。
開発チームの主な焦点は、ほかに類を見ないような協力型ゲームプレイ環境をゼロから構築することでした。開発チームは、「Contra」や「Double Dragon」などの古典的な協力型ゲームをヒントにしました。
「当社では、協力型ゲームを、誰もプレイしたこのないような最高のゲームとして次世代コンソールで実現しました」と Schneider 氏は語ります。「このようなクラシックな協力型ゲームが次世代コンソールで制作された例はありませんでした。Army of Two では、この楽しさを感じてほしいのです。今では多くのユーザーが Xbox Live や PlayStation Network を利用していますが、これによって 2 人で協力しながらプレイする楽しさを、自宅にいながらエンジョイすることができます」
このゲームには、キャンペーン モードと対戦モードが用意されており、プレイヤー同士がしっかりコミュニケーションを取りながら、団結してミッションに挑みます。このゲームは、現在でも紛争が耐えないアフガニスタンやイラクを舞台としていますが、航空母艦を舞台にしたミッションもあります。
「エンジンとしての Unreal では、常にグラフィックに焦点が当てられていて、その機能も非常に優れたものになっています」と Schneider 氏は語ります。「グラフィック担当者が独自のシェーダーを作成して、いろいろとすごいことができるという環境は、可能性を大きく広げてくれました。実際に当社でも、グラフィック担当者が UE3 を使って格好いい物をいくつか作っています。シェーダー パイプラインも人気のあるツールです。Army of Two のグラフィックを見れば、誰もがその完成度に驚くでしょう。もちろんゲームで重要なのはプレイですが、グラフィックが見事であればそれに越したことはありません」
Schneider 氏は、Army of Two は Xbox 360 と PS3 の両方に対応しているが、Unreal の新技術によって両方のプラットフォームでしっかりとしたゲーム環境が実現した、と述べています。
さらに Schneider 氏は、「Unreal では、マルチプレイヤー方面の技術が充実していますが、これは良い方向性だと思います。大手パブリッシャーはプラットフォームにこだわらないため、ゲーム開発会社は各種プラットフォーム対応のゲームを開発できるという望ましい傾向になります。PS3 で実現したかったレベルのゲーム開発にはかなりの労力を必要としましたが、Gears のソース コードは大変役に立ちました」と述べています。
多くの開発会社と同様に、EA Montreal でも、Unreal のコアとなるツールセットに独自の変更を加えて Army of Two の開発に使用しました。このゲームがヒットした理由のひとつは、エンジニアやグラフィック担当者を含む開発チーム自体が、このゲームを何度もプレイして楽しんだということだ、と Schneider 氏は語ります。
Schneider 氏は、「この技術によってチームが達成できたことについて、心から満足しています。トーン マッピング、ダイナミック レンジが広い光源処理、ポストプロセスの各種エフェクトなどを追加することができました。レンダリングとグラフィックに関しては、UE3 を使用してこの上にレイヤーを追加することによって、Army of Two 独自のグラフィックが完成しました。また、当社独自の AI とビヘイビアのレイヤーも追加しました。UT や Gears で見られるようなタイプのビヘイビアは当社の AI にはありませんが、これは、当社がゼロからすべてを構築したためです。当社の AI はとても強力で、スクリプト化されていないため、ゲームをプレイするたびに毎回異なる体験を楽しめます。逆にプレイには細心の注意が必要で、銃撃戦になれば、そう簡単に生き延びることはできないでしょう」と述べています。
このゲームでは、ミッションに参加するたびに、いろいろな意味で毎回異なるプレイが楽しめます。AI のビヘイビアが毎回変化することに加え、協力するプレイヤーによってもゲームの内容が変化します。Schneider 氏は、「このゲームでは、同じキャラクタを継続してプレイし、取得したお金と、購入した武器や防具は、すべて自分のものになります。パートナーには、一歩下がってすべての戦闘をプレイヤーに任せるキャラクタを選んだり、その後に、一緒に戦ってくれる別のキャラクタに切り替えたりできます」と説明します。
ブロードバンド接続で Xbox Live や PlayStation Network を利用するユーザーが増え続けている現状を踏まえて、Schneider 氏は、現時点では斬新な Army of Two のような協力型ゲームも、今後は一般的になると考えています。また、標準のキャンペーン モードに協力プレイ スタイルが追加された Gears of War や Halo 3 などのゲームについても次のように指摘します。
「ゲーマーたちは長年ずっと命をかけた戦いを繰り広げてきましたが、今やこれまで長い間プレイしていなかった方法でプレイできる、本当に魅力的な協力型ゲームを開発する時がきていると思います」と Schneider 氏は語ります。「Army of Two では、分割画面で上下に別れて戦う必要もありません。当社では、EA Singapore と EA Vancouver で同時にプレイしてみましたが、遅れはまったくありませんでした。このため、世界中の多くのユーザーが協力プレイを楽しむことができます。協力プレイでは、たとえば何かを発見した喜びを分かち合うことなどができ、独りでプレイするよりもずっと楽しく遊べます」
EA Montreal では、マルチプレイヤー モード用に 4 つの対戦マップを追加しました。このモードでは、パートナーと協力し、対戦相手 2 人と競ってお金を集めます。
Schneider 氏は、Army of Two のオリジナル ストーリーを制作する際、開発チームはハリウッド映画を参考にして Tyson Rios と Elliot Salem との関係を考えた、と述べています。
Schneider 氏は、「Bad Boys や 1 作目の Lethal Weapon、そして最近では映画版 Miami Vice のような、男同士の友情を描いた作品から深く影響を受けました。また雰囲気に関しては、Bad Boys のようなものをぜひゲームに取り込みたいと感じていました。これまでそんな雰囲気のゲームはありませんでしたが、プレイヤーには Bad Boys 的な感覚でこのインタラクティブ空間を楽しんでほしいと思います」と話します。
ゲームのキャラクタたちによって交わされる独特な大人の会話は、ゲームをプレイしている時の会話だけでなく、実際のゲーマー同士のコミュニケーションにも広まることでしょう。