UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、キツネのシェフ Panko がヤクを撫でるシーン。

インタビュー

2026年4月13日

Timberline の Beastro、UE5 で多彩なジャンルに新たなひねりを加える

Beastro

Lumen

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UE5

インディーズ

ゲーム

コントロールリグ

ブループリント

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Timberline Studio は、ロサンゼルス (CA) とリモートを拠点とするインディー ゲーム スタジオです。私たちは、個性的なキャラクターとストーリーが織りなす、活気あふれる世界を探求するゲームを制作しています。「crunchy cozy (心地よさと戦略性を併せ持つ)」エクスペリエンスを重視し、ジャンルを融合させることで、独自のゲーム エクスペリエンスを提供しています。
世界を救いたいと思っても、一人では成し遂げられない。これは Beastro が掲げる根幹のテーマのひとつです。本作は「crunchy cozy (心地よさと戦略性を併せ持つ)」エクスペリエンスをコンセプトに掲げ、デッキ構築など多様なジャンルの要素を取り入れながら、鮮やかなビジュアルや個性的なキャラクター、そして料理やクラフトといった魅力的なシステムを前面に押し出しています。

プレイヤーは若き料理人 Panko となり、壁に囲まれた村 Palo Pori を舞台に、神である Flambe の助けを借りながら、訪問者である Caretaker たちに創意工夫を凝らした料理を振る舞います。目的は、彼らが村の外れで敵と戦い続けられるよう、心から満足できる食事を提供し続けることです。 

その設定は独創的で野心的ですが、Timberline の少人数チームは、本作に対する明確なビジョンのもと、まるで一皿の料理のように要素を絶妙に組み合わせ、誰もが楽しめる「味わい深いエクスペリエンス」へと仕上げることを目指しました。

Unreal Engine 5 のアートおよびアニメーション ツールに魅了された 13 名のチームは、その表現の限界に挑み、圧巻のビジュアルで描かれる人形劇のようなバトルを実現しました。これが本作における「戦略性」を担っています。また、Epic のコミュニティ リソースによるソース コードへのアクセスやサポートも、彼らの目標達成を後押ししました。
  
さらに詳しく知るために、私たちは Timberline のゲーム ディレクターである Lindsey Rostal 氏、テクニカル ディレクターの Bryan Pawlowski 氏、そしてテクニカル アートおよびアニメーション ディレクターの Nathan Fulton 氏に話を伺いました。Beastro に込められた魅力的な試みの裏側に迫ります。

ご参加ありがとうございます。ファンタジーやアドベンチャー、そして「剣よりスプーン」を重視したデッキ構築要素が融合した、心地よい作品と評される Beastro ですが、多彩なジャンルに独自のアレンジを加えたタイトルのように感じられます。Beastro について、どのようなゲームなのか、またその着想の背景について教えてください。


Lindsey Rostal 氏 (ゲーム ディレクター):Beastro は、私たちが「crunchy cozy」と呼んでいるタイプのゲームです。「世界は一人では救えない」という考えを軸に制作しており、誰かの支えがあってこそ成り立つ。そんな関係性を描いています。Beastro ではプレイヤー自身が英雄になるのではなく、彼らを支える側に回り、その力を引き出していきます。

そのコンセプトはゲームプレイにも落とし込まれており、主人公は農業や釣り、素材集め、住民との交流、料理といった穏やかな日常を送ります。しかし、そうした「cozy (心地よい)」な営みこそが、後に展開される人形劇風のバトルという「手応え感」のある要素を支える力になっています。 

プレイヤーは、日々の冒険を通じた英雄たちの活躍を知るとともに、自分のレストランでの食事によって得られる力がどのように活かされているのかを見守ります。彼らはモンスターとの戦いで素材を持ち帰り、それを使って料理を作ることで、さらに強力な力を英雄たちに与えていきます。
 
最終的には、世界を救うために村を訪れた英雄たちに料理を提供する「地産地消型レストラン」を運営する、心地よいデッキ構築ゲームとなっています。使用する食材や提供する料理がそのまま英雄たちのデッキを形づくり、そのデッキを使って彼らは夜ごとにモンスターとの戦いに挑みます。
UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、シェフ Panko が会話をしているシーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

穏やかな村 Palo Pori について、そして主人公 Panko がその魅力的な町で果たす役割について教えてください。


Rostal 氏:Palo Pori は、小さな城壁に囲まれた村です。世界に存在するいずれの「フレーバー勢力」にも属さない、さまざまな種族が暮らしています。彼らは戦う者ではなく、職人やものづくりを生業とする、ごく普通の人々です。武器を手に取る代わりに、自分たちの手で壁を築き、安全に暮らしてきました。
  
そんな穏やかな日常は、世界の神である Flambe が、壁の外の戦いで傷を負い、村に墜落してきたことで一変します。ある日、若き料理人である Panko は彼女を見つけ、保護し、回復の手助けをします。

やがて Panko の師匠が行方不明となり、彼は店を引き継がざるを得なくなります。そして、火を扱うために Flambe の力を借りることになります。ほどなくして、彼らの店は村人だけでなく、Caretaker (外の「フレーバー地域」から訪れる英雄たち) にも食事を提供するようになります。彼らは食事を求めて村にやって来るのです。幸いにも、Panko と Flambe が作る料理は、Caretaker たちの「フレーバー魔法」を解放し、これまでにない力を与えます。その結果、彼らはより激しい戦いに挑めるようになっていきます。
 


異なる「フレーバー地域」から来る Caretaker たちに好まれる食材やレシピについて、どのようなリサーチや試行錯誤が行われたのでしょうか。


Rostal 氏:私たちは幸運なことに、美食の街ロサンゼルスを拠点にしています。Beastro は、そうした多様で個性的な食文化から大きな影響を受けています。実際にさまざまなレストランを訪れましたし、料理に関するドキュメンタリーやリアリティ番組も、少し恥ずかしくなるくらい大量に観ました (Chef’s Table や Top Chef は特に参考になりました)。その結果、私自身の料理本や雑誌のコレクションもかなり増えましたね。

このゲームを作る過程で、私自身も料理人として成長しました。新しいレシピに挑戦し、味のバランスについて理解を深め、これまでなら避けていたようなことにも積極的に取り組むようになりました。そうした経験を通して、味が人にどのような印象や感情を与えるのか、その理解と味わいへの理解や愛着をより深めていきたかったのです。 
UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、シェフ Panko が食材を刻んでいるシーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

このプロジェクトに Unreal Engine 5 を使おうと思ったのはなぜですか。また、開発中に特に印象に残った UE5 の機能は何でしたか?その理由もお教えください。


Rostal 氏:アートとアニメーションのツール群が、私たちを UE5 に強く引きつけました。自分たちの表現をより魅力的に引き上げ、さらにその限界に挑戦できると確信していたんです。中でもシーケンサーやコントロール リグの可能性は非常に大きく、制作パイプラインの中でより柔軟に試行錯誤できるようになり、コンテキスト上で素早く確認や調整が行える点が大きな魅力でした。

また、UE は多くの優れたサードパーティ タイトルだけでなく、Epic 自身のプロジェクトでも活用されているため、その実例からエンジンの可能性を具体的にイメージしやすかったのも大きいです。チーム全体への導入もスムーズで、すぐに手を動かしながら習得できる環境が整っていました。いわば「自由に試せるサンドボックス」のような存在で、その即時性がイテレーションのスピードを大きく高めてくれました。自分の作ったものがすぐゲーム内で確認できるのは、やはり大きな魅力です。
 
 

料理をテーマにしたミニゲーム群のプロトタイプ制作やイテレーション、最終的なブラッシュアップにおいて、Unreal Engine 5 はどのように役立ちましたか。


Bryan Pawlowski 氏 (テクニカル ディレクター):シンプルで理解しやすいプラグイン構造のおかげで、ゲーム全体のさまざまなシステムやアクターに対応したデバッグ ツールを容易に導入できました。たとえば、ImGui を用いた簡易的なデバッグ オーバーライド ウィンドウを素早く構築でき、開発中のミニゲームにおけるその場での調整や検証に大いに役立ちました。Unreal Motion Graphics の実装を待ったり、ログを逐一確認したりすることなく、デバッグ UI を即座に立ち上げられる点は非常に大きな利点です。

また、既存のアクタ構造を活用して各ミニゲーム用のアセットを作成し、それらをソフト オブジェクト経由で読み込みおよび実行する仕組みによって、複数のミニゲームを連続して評価できるようになりました。これにより、多様なミニゲームやそのバリエーションを効率的にテストし、調整することが可能になりました。

さらに、各要素のモジュール化も容易だったため、アーティストとの連携もしやすく、さまざまなアセットを動的に組み合わせることで、ゲーム内に異なる「食材」を柔軟に取り込むことができました。
UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、ニンジンを刻んでいるシーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

Unreal Engine のビルトイン ツールを使い、キャラクターやオブジェクトのアニメーションをエンジン上で直接制作した点について教えてください。特にコントロール リグやシーケンサーの使用感、そして少人数チームとしてそれらの活用がどのように制作パイプラインの効率化につながったのかをお聞かせください。


Nathan Fulton 氏 (テクニカル アートおよびアニメーション ディレクター):プロジェクト初期に UE5 を評価していた段階から、コントロール リグには非常に大きな可能性を感じていました。従来のように煩雑なインポートやエクスポートの工程を挟まず、ゲーム内で直接アニメートできるというのは、ここ 10 年以上追い求めてきた理想だったんです。

開発当初はモジュラー コントロール リグがまだ存在していなかったため、以前 Maya で行っていたような手動作業の代わりに、Python を使ってコントロール リグの各パーツを自動生成および接続する仕組みを構築しました。初期段階であってもコントロール リグとシーケンサーの柔軟性は非常に高く、それが後押しとなって、従来の Maya ベースのパイプラインではなく Unreal Editor 上でキャラクターのアニメーション制作を完結させるという判断に踏み切りました。

その後、Beastro の開発が進む中でモジュラー コントロール リグが登場し、率直に言って、それまで取り組んでいた Python ベースの自動リギングよりもはるかに優れていました。そこで開発途中で移行することにしたのですが、Unreal Editor には IK リターゲットやバックワードソルブ コントロール リグ モジュールといったような移行に必要な全ツールがあったため、既存のアニメーションも比較的スムーズに移行することができました。

当初は、Maya でアニメーターが慣れ親しんできた各種ツールや手法が使えなくなるのではないかと懸念していましたが、結果的には大きな問題にはなりませんでした。現時点では、ゲーム アニメーションに関しては Unreal Editor は一部の点で Maya を上回っていると感じています。

Pawlowski 氏:私の役割では、シーケンスの編集や機能追加に多くの時間を費やしていました。中でもシーン条件は大きな転機となりました。より動的で柔軟なレベル シーケンス アセットの構築が可能になり、さまざまなケースに対応できるようになりました。カスタムのシーン条件を追加する作業自体も非常にシンプルでした。

サブシーケンスによって、論理的に関連する要素をひとまとめにし、他のレベル シーケンスでも再利用できるようになりました。人形劇パートでは、シーン条件とサブシーケンスの両方を活用することで、その表現を実現しています。

Rostal 氏:シーケンサーによって、人形劇のシステムをよりモジュール化された柔軟な形で構築することができました。これは完全な 3D モデルの劇場であり、レベル シーケンスのバインディング ツールや条件分岐を活用しています。これにより、人形劇の各要素をモジュール単位でアニメートし、全体を動的に制御するための基盤を整えることができました。その上で、各モンスターや Caretaker ごとの個性や雰囲気づくりに注力することができたのです。
UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、人形劇による戦闘シーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

アニメーション制作をすべて Unreal Engine 上で行うことで、従来の手法と比べてどの程度スピードは向上したと感じていますか。また、それによって得られた他のメリットについても教えてください。


Fulton 氏:正確に何倍速くなったかを数字で示すのは難しいですが、とにかく大きな変化でした。初期には Maya から UE への移行にある程度の学習コストはありましたが、決して乗り越えられないものではありませんでした。エディタの設定を調整して UI を Maya に近づけることで、かなりスムーズに馴染むことができました。
  
具体例をひとつ挙げると、キャラクターが周囲の環境とインタラクトするシーンですね。たとえば歩いてテーブルに近づき、物を手に取るような場面です。

従来のワークフローでは、まずレベル上のジオメトリを収集して FBX として書き出し、それを Maya に読み込んで参照します。その上で Maya のキャラクター用のリグを用いてアニメーションを作成し、エクスポート用スケルトンにベイクして再び FBX として書き出します (スクリプトである程度効率化はできますが、それでも必要な工程ではありますし、そもそもリグの準備自体にも手間がかかります)。

その後、再びエディタに戻ってアニメーションをインポートし、シーケンス上でキャラクターを配置し、位置や回転のずれを調整して整合性を取る必要があります。さらにアニメーションを修正するたびに、このエクスポートとインポートの工程を何度も繰り返さなければなりませんし、ファイルの整理も必要です。しかも、後からレベル ジオメトリに変更が入ると、最初からやり直しです。

一方で新しいワークフローでは、コントロール リグのキャラクターをシーンに配置し、シーケンサー上でそのままアニメートします。そして変更を保存すれば、リンクされたアニメーション シーケンスに即座に反映されます。

アニメーションのエクスポートやインポートも不要で、レベル ジオメトリを書き出す必要もありません。さらに、ライティングやシェーディングを含め、実際にゲーム内でどう見えるかを確認しながら作業できます。仮に後からレベル ジオメトリに変更があっても、シーケンサー上でアニメーションを更新して保存するだけで完了です。こうした違いによって、イテレーションにかかる時間は劇的に短縮されました。
UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、シェフ Panko が作物に水をあげているシーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

Unreal Engine に用意されているツールをそのまま使って得られた、ビジュアル面で最大のメリットは何でしたか。


Rostal 氏:カートゥーン調のビジュアルにしたいという方向性は当初から決まっていましたが、同時に既存の作品とは少し違った雰囲気も目指していました。そこで Lumen やカラー グレーディングを活用し、ライティングやレンダリングの面ではほとんど手を加えなくても十分に美しい画を実現できました。

そのおかげで、キャラクターのアウトライン表現や、シャドウやコントラストの微調整といった、より繊細な部分の作り込みに時間を割くことができました。

Unreal Engine はライティングやレンダリングにおいて非常に優れたベースを提供してくれるので、「まず成立させる」ことに労力を割くのではなく、「自分たちらしさをどう出すか」に集中できるのが大きな利点です。
 
 

Unreal Engine 5 のライティングやマテリアル、環境ツールは、本作のカラフルで創造的なビジュアル表現にどのように貢献しましたか。


Rostal 氏:まず、個性的でどこか不思議なキャラクターたちが生きる、鮮やかな世界を描くというアート ディレクションからスタートしました。新しいレンダリング スタイルを採用しているカートゥーンやアニメ、そして現代のアニメーション作品から強く影響を受けつつ、初期の段階でビジュアルの方向性を定め、それを軸に制作を進めていきました。

マテリアル システムによって、全アセットに一貫性を持たせるためのライブラリを構築できたのも大きなポイントです。アート チーム全体で簡単に調整できるため、それぞれが納得いくまで細かくチューニングできる環境が整いました。

また、ゲーム全体に柔らかいシャドウを入れたかったため、早い段階から Lumen を採用しました。アニメーション的なものに影響を受けつつも、単調になりすぎない「絵画的で質感のある表現」を目指しています。現代作品に見られるトレンドも意識しながら、全体的に柔らかな印象に仕上げ、テクスチャやブラシ感、色のバリエーションをハイライトすることによって奥行きを演出しました。

さらに、フォリッジやランドスケープ ツールを活用することで、アート表現にかかるコストを抑えつつも豊かな海辺の街を構築することができました。すべてのプレイヤーが高性能な環境を持っているわけではないため、パフォーマンスを維持しながら雰囲気を実現できる手法を重視しています。フォリッジ ツールによって草木や花々を配置し、生き生きとした世界を作ることができました。
 
 

Timberline Studio の拠点と、Beastro の開発チームの規模について教えてください。

 
Rostal 氏:Timberline Studio はロサンゼルスを拠点としていますが、チームはアメリカ西海岸を中心に、ブラジルやスペインにも分散しています。現在の開発チームは 13 名です。
UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、Caretaker の Oyshi がゲームをプレイするシーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

Timberline のチーム規模を踏まえると、UE5 の機能の中で、分野横断的なワークフローに最も大きな影響を及ぼしたのはどの機能ですか。そういった機能は、開発プロセス全体を通して、イテレーション時間の短縮、チームのコラボレーションの向上、制作コストの削減にどのように役立ったのでしょうか。


Fulton 氏:私にとって特に大きかったのは、Unreal Game Sync とエディタ内蔵の Perforce によるバージョン管理機能です。また、グラフベースの参照を検索するツールも非常に優秀で、他のメンバーが作業した内容を、いちいち本人に確認しなくても把握できるのが助かりました。

人形劇パートのすべての演出はシーケンサーとシンプルなコントロール リグによって構築されています。カードやパペットの動きも同様で、キャラクター アニメーションと同じように、シーン上で直接アニメートし、そのまま実行時の見た目を確認できます。さらに、表情の切り替えなどを行うためのカスタム拡張も用意しており、そうした仕組みとシーケンサーの組み合わせが大きな効果を発揮しました。このあたりは Bryan の方が詳しいですね。

Pawlowski 氏:スレートを用いた Unreal Engine の UI カスタマイズによって、よりデータ ドリブンなゲーム設計を実現できました。従来のようにリクエストごとに個別機能の実装を重ねるのではなく、カスタム スレート UI を用いて、デザイナーが組み合わせて使えるようなシンプルな構成要素を用意することで、目的の挙動を柔軟に構築できるようにしたんです。特に、社内のナラティブ システムである Flume や、Beastro のカード バトル部分ではこの仕組みを大いに活用しています。

Rostal 氏:Bryan は Flume 上でナラティブ ツールを構築し、他のあらゆるシステムと連携できる仕組みを整えてくれました。私は「カード」と呼んでいるストーリー単位で作業しているのですが、セリフや話者、シーケンス、ロジックなどを設定できるだけでなく、ゲーム全体の進行も制御できます。チーム全体が他のシステムと連携できるようにするためのツールとして、スレートを活用しています。
 
 

C++ とブループリントを併用し、チーム全体で開発を効率化することができましたか。


Pawlowski 氏:はい。共通的な挙動は C++ で実装しつつ、個別対応が必要な部分はブループリントで柔軟に構築することで、効率的に開発を進めることができました。
UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、シェフ Panko が雄鹿と会話を交わすシーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

開発全体を通じて UE のソース コードにアクセスできたことは、どの程度重要でしたか。


Pawlowski 氏:非常に重要でした。実際、直面していた問題を迅速に解決できる大きな助けになっています。たとえば、サブシーケンスに関する処理時間の問題があったのですが、ソース コードにアクセスできたこと、そして Epic 側の積極的なサポートがあったことで、迅速かつ的確に解決することができました。この場をお借りして、改めて感謝したいと思います。
 
 

デバッグとパフォーマンスの最適化に際して、Unreal Engine のプロファイリング ツールはどのように役立ちましたか。


Pawlowski 氏:開発の全期間を通じて、常にパフォーマンスを注視できるようになった点が大きいです。そのおかげで、スケールした際に問題になりそうな箇所を早期に発見し、深刻化する前に対処することができました。

Rostal 氏:その通りです。開発のあらゆる段階でパフォーマンスを確認し続けることで、プレイヤーの環境を制限することなく、可能な限り表現を追求できるようにしてきました。常にそれを把握できる状態にあることは、本当に大きな価値があります。
 
 

チームは開発を通して、UE のドキュメント、Epic Developer Community、Epic Pro Support、Fab などのエコシステムを活用されたのでしょうか。

 
Pawlowski 氏:ええ、すべて活用しました。すでに誰かが解決している問題に時間を使うのではなく、自分たち固有の課題に集中したいと考えていたんです。そのため、開発を加速できるものがあれば、積極的に取り入れてきました。
UE5 で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、料理を作るシーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

Beastro は The Red Lantern に続く Timberline の 2 作目となります。Unreal Engine を使って初めてゲームを制作する小規模チームに向けて、どのようなアドバイスがありますか。


Rostal 氏:Unreal Engine に不慣れであれば、まずはサンプル プロジェクトにすぐ触れてみることをおすすめします。Lyra は優れたリソースです。シーケンサーのチュートリアルも複数用意されています。そうした環境を「遊び場」として活用し、ツールに慣れていくのが良いでしょう。実際に触って、壊して、そして組み直す。そうした試行錯誤の中で理解が深まると思います。

Pawlowski 氏:どのエンジンから移行してくる場合でも、まずは Unreal が提供しているさまざまな利便機能に慣れることが大切です。すでに用意されているプラグインで解決できる問題であれば、自前で一から作る前にそれを活用するべきです。もちろん、自分で構築したい部分はしっかり作りつつも、Unreal が備えている機能は最大限活用してください。そして、エンジンに合わせて自分の開発スキルもアップデートしていくことが重要です。
UE5で開発された心温まるゲーム「Beastro」で、Thea との会話シーン。
Courtesy of Timberline Studio, Inc.

規模の小さなチームにおいて、「必ず習得しておくべき」Unreal Engine の機能はどれだと思われますか。


Rostal 氏:まず基本として、ブループリントは間違いなく重要です。そのうえで私たちはスレートを活用し、独自ツールを拡張してきました。デザイナーやライターが、それぞれにとって扱いやすい形でブループリントと連携できる仕組みを整えています。

Fulton 氏:もしひとつだけ挙げるとしたら、まだ導入していないチームにはぜひバージョン管理をおすすめします。

また、アニメーターはアニメーション ブループリントをしっかり習得すべきです。ビデオ ゲームにおけるアニメーションには、ループやブレンド、レイヤー処理、ポーズの整合、さらにはプロシージャル、物理、クロス シミュレーションの処理など、一般的なキーフレーム キャラクター アニメーション以上の要素が求められます。アニメーション ブループリントは、そうした要素が実際に機能する「要の部分」です。ここでアニメーターとデザイナーが連携することで、ゲームとしての手触りや演出が大きく向上します。

Pawlowski 氏:Unreal のローカライゼーションの概要や Unreal Game Sync、そして継続的インテグレーションにもぜひ慣れておくと良いでしょう。これらを活用することで、チームの大半が「ゲームを作る本質的な部分」に集中できるようになります。
 
 

本日はお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。Beastro についてさらに詳しく知るには、どこをチェックすればよいでしょうか。


Rostal 氏:各種 SNS で情報を発信していますので、ぜひチェックしてください。

Tiktok:https://www.tiktok.com/@beastrothegame 
Instagram:https://www.instagram.com/beastrothegame/ 
Bluesky:https://bsky.app/profile/timberlinestudio.bsky.social 
Discord:https://discord.com/invite/uuvpn98nar 
YouTube:https://www.youtube.com/@timberlinestudio 
ウェブサイト:https://www.beastro.game/

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