「めっちゃカメレオン」の廊下でカモフラージュして隠れているプレイヤー。

インタビュー

2026年10月26日

めっちゃカメレオン:2 人のデベロッパーが夏の大ヒット作となったインディー ゲームを作り上げた方法

リリースしてすぐにソーシャル メディアを席巻した、楽しく、カオスな動画をきっかけに、『めっちゃカメレオン』は今年初めに爆発的な人気を博し、この夏のインディー ゲームにおける大ヒット作となり、発売からわずか 4 日間で 100 万本を売り上げるという驚異的な記録を打ち立てました。

本作は、日本のデベロッパーである Lemorion_1224 氏と Haganeiro 氏の 2 人のチームによって、Unreal Engine を使用して 2 か月間で制作されました。彼らは元々、Unreal Editor for Fortnite (UEFN) を使ってフォートナイトのコンテンツ制作を行っていたクリエイターです。

驚くべきことに、この 2 人のチームは、UE5 を活用してわずか 2 か月で本作の開発を完了させました。さらに、ネットワークやバックエンドのインフラストラクチャ処理に Epic Online Services を活用することで、同時接続プレイヤー数を最大 34 万人まで増やすことができました。

彼らの急激な成功は、ゲーム業界における大きなトレンドを反映しています。つまり、すぐに利用できる実用的な制作ツールを活用することで、インディー デベロッパーがプレイヤーにきわめて革新的なゲーム体験を届けることが可能になっているのです。

本作が 2026 年の数々の大作タイトルを凌駕し、累計販売本数が 2,000 万本を超え、今なお記録を伸ばし続けている理由をご確認ください。
「めっちゃカメレオン」の隠れ場所が豊富なダイニング エリアと階段。
©LEMORION

定番ジャンルに斬新なひねりを加えた作品

最もシンプルなアイデアこそが最高の結果を生むことがあります。『めっちゃカメレオン』は、MOD や UGC で人気に火がついた小道具かくれんぼというジャンルに、巧みなひねりを加えた作品です。

プレイヤーが日常的な物に扮装する従来の小道具かくれんぼとは異なり、『めっちゃカメレオン』では、隠れる側のプレイヤーがシンプルなペイント ツールを使ってキャラクターをカモフラージュし、周囲の風景に溶け込ませる仕組みになっています。その後、鬼が隠れているプレイヤーを探し出し、見つかったことを確実に知らせるために、彼らを撃ちます。

デベロッパーの Lemorion 氏が説明するように、本作を同ジャンルの他の作品と一線を画すものにしているのは、手作業によるアート的な要素です。「単に隠れる場所やポーズだけでなく、どれだけうまくペイントできるか、つまり描くスキルが勝敗を左右するのです」と、Lemorion 氏は語ります。

この定番ジャンルに対するユニークなアプローチは、Lemorion 氏がテレビ番組でアーティストが周囲の風景に溶け込むように自分の体にペイントを施しているのを見た記憶をきっかけに生まれました。このアイデアを巧みなゲーム メカニクスへと落とし込むことで、開発チームは、コミカルでおかしな、かつ独創性あふれる素晴らしいアイデアにたどり着いたのです。
「めっちゃカメレオン」の隠れ場所が豊富なダイニング エリアと階段。
©LEMORION

UEFN で学ぶハイパーアジャイルなゲーム開発

Lemorion 氏と Haganeiro 氏は、フォートナイトなどのエコシステムでゲームを開発してきた新世代のインディー デベロッパーです。彼らのゲーム制作のアプローチはおそらくハイパーアジャイル (超迅速な開発手法) と表現するのが最も適切でしょう。その特徴は、迅速なプロトタイピング、即時のデプロイ、そして継続的なイテレーションにあります。

既存のデジタル プレイグラウンドを基盤としているため、彼らが作り出す体験は、本質的にコミュニティ主導型であり、ソーシャルな要素が最優先されています。

こうしたデベロッパー グループが持つ、ペースが速く実験的なマインドセットを考慮すると、Lemorion 氏と Haganeiro 氏が自ら積極的に UEFN の迅速なイテレーションを可能にするツールセットを使いこなし、実績を積み上げていったことは驚くことではありません。Lemorion 氏は次のように述べています。「UEFN を使って約 1 年半で、ホラーや PvP などさまざまなジャンルで 30 本ほどのゲームを制作しました。その後、主にホラー ゲームで Steam 向けの開発を始めたのです。『めっちゃカメレオン』は私にとって 2 作目のマルチプレイヤー ゲームです」

その多作ぶりには驚くばかりですが、Lemorion 氏が話すように、彼らが開発経験を積んでいたその期間に、2 人は幅広いジャンルにわたる数多くのゲームを開発していたのです。UEFN は迅速なビルドとデプロイに適しており、同時にフォートナイトの既存のプレイヤー層へ直接リーチできる手段も提供しているため、Lemorion 氏と Haganeiro 氏は幅広い試行錯誤を行うことができました。この過程で、彼らは後に『めっちゃカメレオン』へと発展することになる「かくれんぼ」のメカニクスを模索し始めたのです。
「めっちゃカメレオン」で市松模様のキッチン フロアに身を潜めるプレイヤー。
©LEMORION

UE5 への自然な移行

『めっちゃカメレオン』のエンジンを選択する際、Lemorion 氏と Haganeiro 氏は UE5 を採用することにしました。両方のツールセットのエディタ構造がほぼ同じであるため、直感的に作業でき、すぐに開発に着手できる点が魅力だったのです。

彼らは、Unreal Engine の使い方を習得するにあたり、UEFN で学んだ迅速かつアジャイルな開発スタイルを応用しました。

Lemorion 氏は次のように述べています。「制作からリリースまでのプロセスを学ぶために、ゲーム ルールや複雑なメカニクスをほとんど含まないシンプルなホラー ゲームを作りました。その後、同じプロジェクトを再利用し続け、新たに得た知識で以前作ったものを改良したり、試行錯誤しながら GameMode や GameState といった機能の使い方を学んだりしていきました」

UEFN のマインドセットを活かしたアジャイルな手法で、小規模なミニゲームを制作することが狙いでした。Lemorion 氏が説明するように、それは、構築、プレイテスト、フィードバックの実装、イテレーションを途切れることなく迅速なサイクルで行っていくことを意味していました。
「めっちゃカメレオン」で、ペンキを飛ばすライフルが複数の箱を狙っている様子。
©LEMORION
Lemorion 氏は次のように述べています。「まずは、最低限動作するシステム全体を構築します。その後、グラフィックを追加し、並行してプレイテストを行います。ゲームとして最低限プレイ可能な状態にしつつ、同時に機能を追加し、フィードバックを収集し、デバッグすることで、迅速に開発することができました」

チームが本作を完成させるまでにかかった期間は 2 か月でした。

開発を振り返り、Lemorion 氏は、決定的な違いを生み出した際立った機能として Lumen を挙げています。Lemorion 氏は次のように話します。「ゲームのグラフィックにはかなりリアルなビジュアルを求めていましたが、ライト ベイクではダイナミックなキャラクターが環境から浮いて見えてしまうことがありました。Lumen を使用することで、キャラクターがシーンに自然に馴染み、思い描いていた通りのビジュアルを実現できました」

本作はプレイヤーがいかに背景に溶け込めるかが鍵となるため、リアルなライティングの実現が不可欠でした。Lumen のダイナミックなライティングとシャドウのおかげで、すべての要素がシーンに対して一貫して反応するようになり、プレイヤーが暗い場所や周囲のオブジェクトの中に自然に姿を隠すことができるようになりました。
「めっちゃカメレオン」の屋外シーンにある緑色のピックアップ トラック。
©LEMORION

Epic Online Services を活用し CCU を 34 万まで拡張

リリース後、本作は瞬く間にヒットし、同時接続プレイヤー数は 34 万人以上に急増しました。これほどの急速な拡大は、他のデベロッパーにとっては予想外であったかもしれません。

プレイヤーがホストするロビーを中心にゲームが構築されている場合、そのパフォーマンスは個々のホストの CPU やネットワーク環境に大きく依存します。そのため、プレイヤー数が数十万人規模に拡大すると、ロビーの深刻な不安定化、クラッシュ、サーバー タイムアウトといった問題が発生しやすくなります。

ただし、Lemorion 氏と Haganeiro 氏は当初から Epic Online Services を導入していました。Epic Online Services は、マルチプレイヤー ビデオ ゲームの構築、リリース、スケーリングを支援するために Epic Games が開発した、クロスプラットフォーム対応の無料開発ツール スイートです。

彼らは EOS の実証済みのクラウド バックエンドを活用することで、マルチプレイヤー アーキテクチャにおける負荷の高い処理を、ローカルのゲーム ホストから Epic の巨大なグローバル ネットワークへと移行させることができました。

Lemorion 氏は次のように述べています。「同時接続プレイヤーが増えても、特別な対応をする必要はありませんでした。EOS は完全に無料で利用できたため、高額な請求のリスクを心配することなく開発に専念できました」

わずか 2 人のチームにとって、バックエンドのルーティング、マッチメイキング インフラストラクチャ、サーバー リレーといった処理を EOS が自動的に処理してくれることは、複雑なオンライン インフラストラクチャを自分たちで維持する必要がなく、ゲームそのものの開発に集中できることを意味していました。
「めっちゃカメレオン」で隠れていたプレイヤーが見つかり、ライフルで撃たれる様子。
©LEMORION

優れたものを作れば、人は集まる

『めっちゃカメレオン』は、成功を収めるために、必ずしも巨額の予算、何百人ものデベロッパー、長年の経験が必要ではないことを証明しています。素晴らしいアイデアがあれば、大きな成果を上げることができるのです。 

ただし、素晴らしいアイデアが開花するには、それを育むための肥沃な土壌が必要です。

UEFN 時代から培ったハイパーアジャイル開発のマインドセットを取り入れ、UE5 の強力なツールセットを駆使し、さらにバックエンドのサポートに EOS を活用することで、Lemorion 氏と Haganeiro 氏は、自分たちのクリエイティブなビジョンを成功へと導くための最良の環境を整えることができました。

おそらく、この 2 人の革新的なデベロッパーが成し遂げたことの最大の証と言えるのは、『めっちゃカメレオン』がプレイヤーを獲得した方法でしょう。それは、マーケティングにおける最も古くからある手法、口コミによるものでした。

最終的には、本当に素晴らしいものを作り上げれば、プレイヤーがあなたの代わりにその魅力を広げてくれるのです。