A creepy spaceship in ‘Cronos: The New Dawn’.

インタビュー

2025年9月2日

UE5 で開発されたスリリングなサバイバル ホラー Cronos: The New Dawn が間もなくリリース

ポーランドのクラクフに拠点を置く Bloober Team は、不安をかき立て、緊迫感に満ちた、斬新な体験ができるホラー作品を作り出す手腕で有名になりました。過去の制作作品には、ObserverLayers of FearThe Medium などの刺激的なオリジナル作品の他に、高い評価を得たリメイク版 SILENT HILL 2 があります。Bloober Team は現在その人材を活かして、Cronos: The New Dawn でまったく新しいサバイバル ホラー体験を届けようとしています。

このゲームで Bloober Team が目指すのはスリリングな三人称視点サバイバル ホラーです。プレイヤーは圧倒的な敵に対する命がけの戦いのど真ん中に放り込まれ、入り組んだタイムトラベル ストーリーの謎を解き明かします。スタジオは以前のプロジェクトでも Unreal Engine を使用した経験があり、今回も UE を選択し、Lumen、Nanite、Niagara などの主要な UE5 機能を活用して不気味な雰囲気と激しいアクションを表現することにしました。

このプロジェクトについて詳しく教えていただくため、先日、Bloober Team のゲーム ディレクターの Jacek Zięba 氏と Wojciech Piejko 氏、およびテクニカル ディレクターの Mariusz Szaflik 氏に Cronos: The New Dawn の独特なサバイバル ホラー メカニクスや Unreal Engine を使ったクロスチーム コラボレーションなどについて話をお聞きしました。

お時間をいただきありがとうございます!まず Cronos: The New Dawn の概要を教えてください


Jacek Zięba 氏 (ゲーム ディレクター):Cronos: The New Dawn は当社初のオリジナル IP のサバイバル ホラー ゲームです。2 つの時代 (重苦しい 1980年代と荒廃した未来) のポーランドが舞台になっており、どちらもクラクフのノバ フタ地区で話が展開します。三人称視点サバイバル ホラーとして、プレイヤーの使命は「過去を救出して未来のために戦う」と単純なものです。プレイヤーは「変化」(人類の形を完全に変えてしまう大惨事) の直前の世界を体験します。その後、「オーファン」と呼ばれる恐ろしいモンスターが蔓延る荒廃した未来をサバイバルします。そこでは、プレイヤーの反射神経と戦略が試されます。SF、レトロの美学、カセット フューチャリズムの贅沢な融合にご期待ください。雰囲気たっぷりのストーリー展開、ダークな SF、ややこしいタイムラインが大好きなら、この体験をきっと気に入ります。
 


ゲームの主役はどのようなキャラクターで、動機は何ですか? 


Wojciech Piejko 氏 (ゲーム ディレクター)Cronos でプレイヤーは「トラベラー」(「コレクティブ」という名前の正体不明の組織により世界滅亡後の未来から送り込まれた謎の重武装エージェント) となります。プレイヤーの任務は、荒廃した土地のあちこちにあるタイム リフトを見つけ出し、それを使って時間を遡り 1980年代のポーランドに行くことです。プレイヤーは魂を抽出することのできる「ハーベスター」という機器を装備しており、未来を生き延びるうえで重要な人物を発見して救助する必要があります。プレイヤーが探索する世界は過酷で、「オーファン」と呼ばれるグロテスクで変異したモンスターであふれています。オーファンは融合して、さらに危険な存在に変貌することができます。この恐怖を生き延びなければなりません。
Spacesuited character The Traveler in ‘Cronos: The New Dawn’.
Image courtesy of © 2025 Bloober Team S.A.

プレイヤーが過去の重要人物を抽出することについて、そのリスクとリターンを教えてください

 
WP:プレイヤーは魂を抽出する相手を選択できる場合があります。判断を下さなければならない場面がいたるところにあり、それぞれの選択がストーリーに影響を与えます。誰かの魂の抽出が、ゲーム内のさまざまなイベントのトリガーになる可能性があります。また、その魂を持ち運ぶ時間が長くなるほど、プレイヤーに悪い影響が及びます。プレイヤーの操作対象は時々、スーツの中に捕らわれた魂が宿った、憑依された着衣となることもあります。
 
 

このプロジェクトに Unreal Engine 5 を選んだ理由は何ですか?


Mariusz Szaflik 氏 (テクニカル ディレクター):以前のプロジェクトで Unreal Engine を使った経験が豊富にあったので、UE を選ぶのは自然な判断でした。また、何年もかけて、Unreal 関連のツールやカスタム パイプラインの充実したスイートを開発していたので、UE が今回の制作にぴったりの選択肢になりました。
 


開発中に最も印象に残った Unreal Engine の機能は何ですか?


MSCronos の開発中に初めて World Partition を使いました (過去の作品ではどれもワールド コンポジションをベースにしていました)。この機能のおかげで、メモリ バジェットを抑えながら、リッチなワールドを作成することができました。また、過去に発生していたバックグラウンド レベル ストリーミングの処理落ちも大幅に減りました。Lumen にも言及するべきでしょう。Lumen を使ったことで、過去作よりもパフォーマンスが著しく改善しました (前作では UE5.1 を使用しました)。これらの進歩により、ライティング アーティストはより洗練された没入感の高いホラーの雰囲気を生み出すことができました。
The Traveler takes aim at a mutant in ‘Cronos: The New Dawn’.
Image courtesy of © 2025 Bloober Team S.A.

このゲームでは非常に直感的な戦術戦闘を行います。その実現に Unreal Engine 5 はどのような点で役立ちましたか?


MSCronos の戦闘は、エンジンの柔軟性を示すすばらしい例です。カスタム AI システムを使用しました。そのカスタム AI システムと、エンジンと既存の AI システムとの統合はシームレスでした。エンジンのソース コードに完全にアクセスできるので、デベロッパーは簡単にコア システムに細かな変更を加えることができます。
 
 

Bloober Team からのお話から、Cronos: The New Dawn のエクスペリエンスでは没入感と雰囲気が大きな役割を果たしていることがわかります。この独特なサバイバル ホラー エクスペリエンスの没入感や雰囲気を生み出すために、UE5 のどのような機能を利用しましたか?


MS:雰囲気に関してはライティングが鍵です。Lumen が中心的な役割を果たし、レベル アーティストが息が詰まりそうで動的な環境を作り出すことができました。Lumen にはリアルタイム性と柔軟性があるため、レベル デザイン中にすばやくイテレートできます。また、パフォーマンスが高いため、コンソールで 60 FPS モードだとしても、忠実性の高いライティングを可能にします。
Monsters swarm an eerie environment in ‘Cronos: The New Dawn’.
Image courtesy of © 2025 Bloober Team S.A.

Epic Developer Community、Unreal Engine のドキュメント、Fab マーケットプレイス、その他 Epic のエコシステムのコンポーネントは、開発中に役立ちましたか?


MS:はい。コミュニティEpic Pro Support のどちらも、技術的な問題に遭遇したり、エンジンに複雑な変更を加える際に課題に直面したりした場合に大きな力になりました。たとえば、キャラクター デザインでは、ヒューマン NPC すべてに MetaHuman を使用しました。カスタムの頭部をスカルプティングし、それをフルリグ付きの MetaHuman に変換しました。それにより、キャラクターのアートとアニメーションの両方のワークフローが大幅に合理化され、キャラクター セットアップにかかる時間が相当節約できました。
 


UE のソース コードへのアクセスを活用しましたか?


MS:はい。エンジンに具体的なニーズに合わせた詳細なカスタマイズを施すことができました。デバッグや、バックグラウンドの動作を理解するうえでも計り知れない価値がありました。
 


Cronos: The New Dawn の制作に SILENT HILL 2 のリメイク経験が活きた点はありますか?


MS:はい。SILENT HILL 2 リメイク版の開発からたくさんのことを学びました。過去に UE5 を使った経験から、オブジェクト、マテリアル、レベル作成のパイプラインをより成熟した形で確立できました。また、開発の早い段階で潜在的な問題を特定して対処できたので、プロジェクトの後半の、大きな変更が困難になる時期に問題が山積するのを防げました。
 


Cronos: The New Dawn の制作経験を基に UE5 を一言で表さなければならないとしたら、それは何ですか?理由も併せて教えてください。


MS:ありきたりな言葉ではありますが、「アンリアル」です。UE5 での開発は正に現実とは思えないものだからです。
An unsettling blood-soaked corridor in ‘Cronos: The New Dawn’.
Image courtesy of © 2025 Bloober Team S.A.

リソース管理はサバイバル ホラー ジャンルに欠かせないものですが、敵との交戦前、交戦中、交戦後のリソース管理を際立たせるために、このメカニズムをどのように工夫しましたか?

 
WPCronos では、交戦前、交戦中、交戦後の各段階で常に展開する、動的で没入感のある体験になるようにリソース管理を作りました。緊張感を持ち続けることが重要です。プレイヤーはリソースを賢く管理するだけでなく、戦いの最中に融合する敵という変わった課題にも適応しなければならないからです。融合は戦いの流れを劇的に変化させます。敵が融合すると難易度が跳ね上がるため、プレイヤーはリアルタイムで戦略の練り直しを迫られます。
 
 

プレイヤーに毎回異なる遭遇戦をさせようという考えから、すばやく伸びてくる蔓や重戦車のような恐怖までさまざまに敵がデザインされていますが、そのアプローチについて教えてください

 
JZCronos: The New Dawn では、プレイヤーが戦略を適応させたり、融合した敵と戦ったりと、敵のタイプによってプレイヤーに与えられる課題も異なるようにしようと考えました。融合は独特のメカニクスで、プレイヤーの戦闘方法とリソース管理方法に大きく影響するゲームプレイのコア要素となっています。私たちの目標は、すべての戦いを唯一無二の魅力的なものにして、ゲームの没入感と迫力を高めることでした。
A monster clinging to the ceiling in ‘Cronos: The New Dawn’.
Image courtesy of © 2025 Bloober Team S.A.

ゲームの融合メカニクスは、敵に対する恐怖を増大させ、プレイヤーをハラハラさせることを意図しています。このメカニクスの設計と実行に役立った UE5 の具体的な機能はありますか?

 
MS:融合メカニクスでは Niagara の高度な機能を利用して、視覚的説得力のある不気味で魅力的なエフェクトを作り出しています。Niagara の並外れた柔軟性、パフォーマンス、(特に、VFX リボンとスケルタルメッシュ サンプリングを扱う際の) メモリ効率は本当にすばらしいもので、VFX アーティストはクリエイティビティを存分に発揮する自由を得られました。
 

ゲーム内でプレイヤーが体験する環境や敵とのインタラクションを手作業で作成、イテレートする際に役立った UE5 の機能はありますか?

 
MS:はい。作成とイテレートに Unreal Engine の多くの機能を使用しました。たとえば、敵に命中したときのアニメーション フィードバックの提供には、コントロール リグを使っています。また、触手やよだれなどのホラー要素を足して、敵の体をリアルなものにするには 各種 Niagara システムを使っています。詳細に描写された環境を作るために Nanite ジオメトリもたくさん使用しました。さらに、環境のリアルさと活気を表現するうえで Lumen が大きな役割を担っています。
Debris flying off a spaceship in ‘Cronos: The New Dawn’.
Image courtesy of © 2025 Bloober Team S.A.

ゲームの環境と敵に命を吹き込むために Niagara ビジュアル エフェクトを活用しましたか?

 
MS:はい。Niagara をフル活用しました。この VFX システムは非常に柔軟です。経験豊富な VFX アーティストたちが大変自由にクリエイティビティを発揮できます。触手、異常、重力プラットフォームはいずれも、作成に高度な Niagara システムが使われており、リッチなインタラクティビティが組み込まれ、世界がリアルに表現されています。
 


Unreal Engine を使うことで、エンジニアリング部門とアート、デザイン、オーディオなどの部門間とのコラボレーションや一体感のあるワークフローがどのように推進されるのでしょうか?

 
MS:Unreal Engine がリビジョン コントロールをサポートしており、Perforce とうまく連携することが、大規模なチームのコラボレーションに役立っていると感じます。それにより、全員の歩調が合い、部門をまたいだ対立が減りました。さらに、特筆すべきは UE によってリアルタイム コラボレーションが可能になった点です。アーティスト、デザイナー、プログラマーの全員が同じ環境で作業して、変更をすぐに確認できるようになりました。このような即時のリアルタイム フィードバック ループによって、部門をまたいだコミュニケーションが非常に円滑になり、一体感が強化されました。
 


Resident EvilDead Space などのゲームからインスピレーションを得たとお聞きしました。Cronos: The New Dawn の戦闘とサバイバル要素に対するアプローチにどのような影響を受けましたか?

 
JZ:これらのゲームからの影響で、難しい選択、限られたリソースのやりくり、ずっと続く緊張感をサバイバルに取り入れ、サバイバルが戦闘に終始しないゲームを目指すことにしました。Cronos の体験にプレイヤーが完全に没頭するのを期待してのことです。Cronos はリソース管理や、弾薬数の制限で生まれる緊張感、モンスターがひしめく雰囲気たっぷりの空間などが特徴で、ゲームプレイの点で Resident Evil に非常に似ています。一方、ゲームの雰囲気、主人公、緊迫感、怪物との容赦ない遭遇、独特の武器リストと環境を使用している点は明らかに Dead Space の影響です。
An atmospheric misty scene in ‘Cronos: The New Dawn’.
Image courtesy of © 2025 Bloober Team S.A.

Cronos: The New Dawn の環境の一部は、Bloober のオフィスの近所をモデルにしています。身近な場所に着想を得てゲームを開発することで、感じ方に変化はありましたか?

 
JZ:私たちの地元、クラクフの一地区であるノバ フタに根ざしたものにしたことで、Cronos の世界に深いつながりを感じています。SF のレンズを通して変化したお馴染みの場所やランドマークの様子は、現実離れした感じがすると同時に非常にやりがいを覚えます。
 


本日はありがとうございました。Cronos: The New Dawn の詳細はどこで確認できますか?


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