A beach-side basketball court at sunset in ‘NBA THE RUN’.

インタビュー

2026年5月28日

UE5で開発された NBA THE RUN が、バスケットボール ビデオ ゲームの全盛期の再現を目指す

90 年代後半から 2000 年代初頭にかけては、当時を知る世代の多くの人が懐かしく思い出すバスケットボール ゲームの全盛期でした。当時は、NBA Jam や NBA Street といった名作タイトルが世界中のアーケード、学生寮、バーチャル プレイグラウンドを熱狂させました。ストリート バスケットボールのピックアップアンドプレイ スタイルは、楽しくきわめていくことができるメカニクスと、過激な演出が融合し、初心者からバーチャル ストリート ボールのスキルで対戦相手を圧倒したいプレイヤーまで、あらゆる層を魅了し、伝説的なゲーム体験となったのです。

そして今、Play by Play Studios が NBA THE RUN で新たな挑戦者をコートに送り出しました。業界ベテランで構成される少人数チームが Unreal Engine 5 を駆使して開発した本作は、往年のバスケットボール全盛期のスピリットを再現しつつ、現代のプレイヤーが競い合い、交流するスタイルにも適応するよう工夫されています。

では、開発チームは本作でどのような目標を掲げ、Nanite、Lumen、ブループリントといった UE5 の主要機能を活用し、開発者の往年のバスケットボール ゲームへの情熱を、現代のプレイヤーにとって唯一無二の特別な作品へと昇華させたのでしょうか?

その答えを知るため、Play by Play Studios チームのメンバーにお話しを伺いました。

今日はお時間を頂戴し、ありがとうございます!早速ですが、NBA THE RUN の概要を教えていただけますか? 


Play by Play Studios、CEO、Scott Probst 氏:NBA THE RUN は、スピード感あふれるオンライン 3on3 ストリート バスケットボール ゲームです。これは、世界中のすべてのバスケットボール ファンのために長年のバスケットボール ファンが開発したゲームで、バスケットボールへの愛があふれる作品です。 

NBA THE RUN は、誰でも簡単に始められ、楽しくきわめていく体験に重点を置いており、バスケットボールの醍醐味を余すところなく表現したゲームプレイを特徴としています。オフェンスと同じくらい楽しいディフェンス、あらゆる状況に対応できるカウンター、アンクルブレイク トリック、ロゴ 3 ポイントシュート、豪快なダンク、フェイント、ウープスなど、多彩なテクニックが満載されています。 

プレイヤーは世界中を巡るノックアウト トーナメントに参加し、競い合います。このトーナメントで頂点に立つことができるのはたった 1 チームだけです。リリース作品で、NBA THE RUN と同じようなルック & フィールやプレイスタイルを備えるバスケットボール ゲームは他にはありません。
 
 

NBA THE RUN は、バスケットボール ビデオ ゲームの全盛期を再現することを目指した作品だとされていますね。初めてプレイする方のために、全盛期がいつ頃だったのか、どのような時代であったのか、そして現代のオーディエンス向けにどのように体験を調整したのか、説明していただけますか?

 
Play by Play Studios、クリエイティブ ディレクター、Michael Young 氏:バスケットボール ビデオ ゲームの全盛期は 90 年代後半から 2000 年代初頭にかけてでした。NBA Jam や NBA Street シリーズ、特に NBA Street Vol. 2 などの作品が人気を博した時代です。こういった作品は、多くのスポーツ ゲームが失ってしまったスピリットを見事に体現していました。また、操作がきわめて簡単でありながら、楽しく極めていくことができる奥深さがありました。コントローラーを友人に渡せば、すぐにプレイできますが、プレイすればするほど戦略性と個性が際立っていくのです。 

また、これらの作品はソーシャル ゲームでもありました。NBA Jam と NBA Street は、同じ部屋で友達とプレイすることを前提に作られていました。ディフェンスがオフェンスと同じくらい重要だったため、ボールを持つたびに緊張感が生まれました。完璧なタイミングでのスティール、プッシュ、またはブロックで、瞬時に試合の流れが変わる可能性があります。選手の個性も非常に際立っていました。スター選手には圧倒的な強みだけでなく、明確な弱みもあったため、チーム編成は戦略的に行なう必要がありました。常に、マッチアップ、スペースの確保、そして重要な局面で誰が主導権を握るべきかなど、常にリアルタイムで判断を下す必要がありました。
 
もう 1 つの重要な要素はメタゲームであるということです。NBA Street では、プレイヤーは華麗で、リスクを恐れないプレイを奨励されました。高度なトリック、豪快なダンク、スタイリッシュなプレイを繰り出すことで、ゲームブレイカーへの勢いが生まれます。このシステムではクリエイティブなプレイが成功につながる一方で、リスクも伴いました。攻めすぎて失敗すると、ボールを奪われ、相手チームにチャンスを与えてしまう可能性があったのです。
A top-down view of a player hanging on a basketball hoop in ‘NBA THE RUN’.
Image courtesy of Play by Play Studios
往年の名作ゲームは、長々と続くアニメーションや慣性システムよりも、瞬時の反応を重視していました。入力操作には即座に反応しました。Shaqのような選手にダンクを仕掛けようとして、空中でブロックされそうになったとしても、最後の瞬間にノー マークのシュートを打てるポジションにいる選手にパスを出すことができます。ゲームはプレイヤーの入力に瞬時に反応し、即興的なプレイを可能にし、努力が報われたと感じる瞬間を際立たせていました。 

NBA THE RUN では、その理念を独自に解釈して構築しました。メタゲームは In The Zone という名称です。プレイヤーは、高度なトリック、アリウープ、豪快なダンクを決めるとゾーン ポイントを獲得できます。リスクが高いほど、得られる見返りも大きくなります。失敗すれば、ボールを奪われる可能性があります。成功すれば、プレイヤーはゾーンに入り、能力が増幅され、試合を有利に進めることができます。 

技術的な面では、本作は、入力への即時の反応によりスムーズな 60 fps を維持するために、ゼロから構築されています。その高度な応答性により、プレイヤーは往年の名作ゲームと同じようにリアルタイムで即興的なプレイを繰り広げることができます。 

本作は、かつて学生寮で人気を博した時代から大きく進化しています。And 1 スタイルのトリックを多用するのではなく、現代の NBA のプレイ スタイルにヒントを得た動きが取り入れられています。ステップバック スリー、プッシュオフ (SGA、いつも見てます!)、そしてスペースをとるドリブルが、このゲーム体験の中心となっています。もちろん、オフ ザ ヒージーやオフ ザ バックボード パスも健在です。 

最後に、現代のプレイヤーのゲームプレイ スタイルに合わせてゲーム体験を調整しました。プレイヤーは、クロスプレイ機能を使用して、自分の友人のグループ全員と対戦できます。試合時間が短く、友人同士で気軽に競い合えるように設計されています。モードは Fall Guys のようなゲームからヒントを得ており、ノックアウト方式のトーナメント、素早い敗退、そして試合ごとに変わる多様なルールを特徴としています。その結果、全盛期のスピリットを再現しながら、現代のプレイヤーが競い合い、交流するスタイルに合ったバスケットボール ゲームが誕生しました。
 


このプロジェクトに Unreal Engine 5 を選択した理由を教えてください。


Play by Play Studios、CTO、Simon Golding 氏:チームが Unreal Engine 5 を選択したのは、Unreal Engine 5 がビジュアル品質、パフォーマンス、ツール、拡張性、長期的な安定性をすべてバランスよく備えているからです。エンジニアリングのオーバーヘッドを削減し、開発期間を短縮し、プロジェクトを最新かつ十分にサポートされた基盤の上に構築し、ニーズに合わせて拡張していくことができます。さらに、UE5 は、成熟した統合型のクロスプラットフォーム アーキテクチャを提供しており、単一のコードベースでPC、コンソール、および将来のプラットフォームをターゲットにすることができます。そのため、移植コストが大幅に削減されるだけでなく、プラットフォーム固有の技術的負債が最小限に抑えながら、ハードウェア全体で一貫した動作を実現できます。
A player lines up the basket for a dunk in ‘NBA THE RUN’.
Image courtesy of Play by Play Studios

Nanite や Lumen といった Unreal Engine 5 の主要機能は、比較的小規模なチームでの開発にどのように役立ったのでしょうか?


Play by Play Studios、環境アーティスト、Cullen Lemieux 氏:主要機能の Nanite と Lumen は、何度もイテレーションを重ねるアート プロセスを採用した当チームにとって不可欠でした。ベイクとライトマップの必要がないため、その場でライティングを調整し、リアルタイムで結果を確認することができました。そのため、イテレーションをきわめて短時間で行えるようになり、環境の雰囲気を迅速かつ効率的に決定するうえで本当に役立ちました。Nanite はチームにとって大きな時間節約にもなりました。非 Nanite アセットに伴う標準的な制約なしに、より忠実度の高いアセットを作成できるようになったからです。Nanite は、忠実度の高いプラットフォームと現世代コンソールでのドロー コール数の削減にも役立ちました。

Play by Play Studios、リード環境アーティスト、Hunter Hazen 氏:Lumen と Nanite は革新的な機能です。Lumen を使用すると、ライトマップの作成とライティングのベイクという時間のかかるプロセスから解放されます。これは、以前のダイナミック ライティング ソリューションからの大きな進歩です。Nanite は、三角ポリゴン数や LOD からドロー コールまで、はるかに多くのジオメトリを処理および操作することができます。Nanite は高忠実度アセットのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。ただし、ローエンドのハードウェアで 60 fps を目指す場合は、従来の最適化方法を検討した方がよいかもしれません。幸いにも、Unreal Engine の機能を駆使すれば、これらすべてが可能になります。
 
 

開発時に最も印象に残った Unreal Engine 5 の機能はどれですか?また、その理由も教えてください。


Hazen 氏:Unreal Engine はこれまでも常にアクセスしやすいゲーム開発プラットフォームでした。シェーダーとブループリント ビジュアルス クリプティングにより、プロトタイプを簡単かつ迅速に作成できるようになりました。そのため、新しいビジュアル コンセプト、ワークフロー、ゲームプレイのアイデアをすばやくテストし、検証できます。迅速なイテレーションは、Unreal Engine の最も強力な機能の 1 つであり、ツール群の拡張に伴い、さらに向上し続けています。特に、プロシージャル コンテンツ生成 (PCG) フレームワークなどの新しいプロシージャル配置ツールのおかげで、実現可能な範囲がさらに広がりました。
A basketball player on a street court in ‘NBA THE RUN’.
Image courtesy of Play by Play Studios

NBA THE RUN の選手を忠実に再現したスタイライズされたビジュアルは、実にユニークですね。このビジュアルを Unreal Engine 5 を活用してどのように作成されたのか教えていただけますか?

 
Play by Play Studios、リード キャラクター アーティスト、Bryan Johnston 氏:独自の私たちならではのビジュアル スタイルを確立したいという思いはありましたが、当初は具体的にどのようなスタイルにすべきか確信が持てませんでした。UE5 のノードベースのマテリアル システムにより、リアルタイムのフィードバックを得ながら、柔軟に試行錯誤を重ねることができ、容易にイテレーションを行うことができました。リアリズムとスタライズの適切なバランスを追求し、グラフィティのレタリングからヒントを得て、太いアウトラインやエッジ ライティングなどを取り入れ、カラフルなスケッチ マークを追加して手作り感を出しました。最終的に、ゲームの雰囲気とトーンを体現するビジュアルにたどり着くことができました。
 
サブサーフェス シェーディング プロファイルなどのビルトイン機能を使用することで、肌に生命感あふれるリアルな質感がもたらされ、オーバーレイ マテリアルによってアウトラインの厚みなどの要素を正確にコントロールすることができました。マテリアル エディタを使用すると、あらゆるディテールを簡単に調整し、思い描いてたとおりのビジュアルに仕上げることができました。
 
 

アンクルブレイク トリックから、特徴的な動きまで、NBA THE RUN のキャラクター アニメーションについて、また、UE5 がそれらの実現にどのように役立ったか教えてください。

 
Play by Play Studios、アニメーション ディレクター、Mike Laygo 氏:キャラクターがスタイライズされているため、それに合わせて、スタイライズされているものの、コミックぽくない、きわめてレスポンスの良い手描きのアニメーションを採用したいと考えました。また、手描きのアニメーションとダイナミックなタイミングの組み合わせは斬新だと感じました。ほとんどのスポーツ ゲームでは、モーション キャプチャを使用して、よりゆっくりとしたリアルな動きに焦点を当てた「疑似生配信」を実現しているからです。次の目標は、バスケットボールの本質を忠実に再現しつつ、ダイナミックで実際以上の迫力を出すことでした。たとえば、実際の「NBA の試合」の動きを分析し、ポーズとタイミングを調整し、高さや滞空時間を誇張して「アーケード ゲーム」のような感覚を出そうとしました。ですが、4 回転宙返りしてダンクするような動きは避けたいと考えました。そのため、チームが納得できるものを見つけるのに、何度もイテレーションを重ねました。

NBA で行われた彼らの実際の動きに基づいたカスタマイズされたアニメーションをそれぞれに与えることで、キャラクターをそれぞれの個性が光るヒーローにしたいとも思いました。ただし、アニメーター チームが少人数であるため、すべてのキャラクターに対して完全に独自のアニメーション セットを作成することは不可能でした。そこで、キャラクターごとに拡張可能な、ベースとなるアニメーション セットを共有する方法を見つける必要がありました。幸いにも、Unreal の アニメーション リターゲティング テクノロジーを活用することができたため、ありふれたアニメーションを何度も作り直す必要がなくなり、ユニークで興味深いアニメーションの制作に集中することができました。
A player mid-air during a reverse dunk in ‘NBA THE RUN’.
Image courtesy of Play by Play Studios

プレイグラウンドも選手と同じくらい個性的ですね。Unreal Engine 5 のライティング、マテリアル、環境ツールは、これらの壮大な空間を作り上げるうえでどのように役立ちましたか?


Lemieux 氏:ゲーム内のマップで私たちが目指したのは、現実を忠実に再現しつつ、独自のひねりを加えることです。つまり、見慣れたものでありながら、独特な雰囲気のあるルック&フィールを目指しました。Unreal のライティングおよびシェーダー ツールは、そういったスタイルを確立し、徹底的に追求するうえで非常に役立ちました。リアルタイム ライティングは、実在のロケーションを忠実に再現するうえで不可欠な要素であり、ライティング シナリオを迅速かつ効率的にイテレーションし、テストすることができました。大きな目標を掲げる少人数のチームとして、私たちは迅速にイテレーションを重ねながら、求める品質を維持できる信頼性とスピードを備えたエンジンを必要としていました。これらの環境に、持てる力のすべてを注ぎ込み、リアリティと没入感を高め、プレイヤーをこういった象徴的な場所に本当に連れていきたいと考えていました。Unreal Engine 5 はこの目標を実現するうえで非常に役立ちました。
 

UE5 は、ゲームがリリースされる各種プラットフォームでの最適化において、どのように役立ちましたか?

 
Hazen 氏:Unreal Engine には、パフォーマンス追跡機能が多数搭載されています。これは、パフォーマンスを低下させ、リソースを大量に消費する要因を特定し、修正する際に非常に役立ちます。Stat GPU、Stat Unit、トレースは、複数のプラットフォームにわたるパフォーマンス問題の特定と解決に大いに役立ちました。
A player offers his hand in ‘NBA THE RUN’
Image courtesy of Play by Play Studios

Unreal Engineのソース コードにアクセスできることは、開発中チームにとって役立ちましたか?役立った場合は、どのように役立ったのでしょうか? 


Golding 氏:Unreal Engine のソース コードにアクセスできることは、戦略的なメリットがありました。ソース コードにアクセスできたことで、チーム内での問題の修正、ニーズに合わせたシステムの最適化、パイプラインと緊密な統合、クロスプラットフォームの一貫した動作の実現を柔軟に行なうことができました。このレベルの制御により、リスクが軽減され、迅速に開発できるようになり、より安定した高性能な製品を提供できるようになりました。
 
 

Play by Play は大きな目標を掲げる少人数のチームと表現されていますね。これを踏まえて、どの UE5 機能が分野を越えたワークフローに最も大きく、明確な影響をもたらしたのでしょうか?これらの機能は、開発プロセス全体を通して、イテレーション時間の短縮、チームのコラボレーションの向上、制作コストの削減にどのように役立ちましたか?

 
Hazen 氏:Unreal には非常に強力で生産性を向上させる機能がたくさんあるので、特定の機能を挙げるのは難しいですね。ブループリント ビジュアル スクリプティングによって、ゲームプレイのアイデアの迅速なイテレーションと検証が可能になり、Nanite と Lumen により、現世代のコンソールとハイエンド PC での忠実度をすばやく向上させ、使いやすさにより、分野を越えたコラボレーションが実現しました。
 
 

チームは開発を通して、UE のドキュメント、Epic Developer Community、Epic Pro Support、Fab などのエコシステムを活用されたのでしょうか?

 
Hazen 氏:はい、Unreal Engine を使用するもう 1 つの大きなメリットは、大量のドキュメント、チュートリアル、リソース、コミュニティがあることです。Unreal Engine のドキュメントは、これまで何度も私たちの目標達成を後押ししてくれました。コミュニティのディスカッションとチュートリアルは、新たなアイデアの源となり、Fab は、アイデアやシナリオを素早く形にするうえで役立つコンテンツの宝庫です。
A gleaming golden trophy from UE5-powered game ‘NBA THE RUN’.
Image courtesy of Play by Play Studios

Easy Anti-Cheat はどのように活用されましたか?


Golding 氏:Easy Anti-Cheat は、ゲームのセキュリティにおいて重要な役割を果たしています。不正なツール、メモリ操作、不正改ざんなど、フェアプレイを損なう可能性のある行為からリアルタイムで保護してくれます。

貴重なお話をありがとうございました!NBA THE RUN の詳細情報は、どこで確認できますか?
 
Golding 氏:当社のウェブサイト NBATHERUN.com にアクセスしてください。また、Instagram、X、TiK ToK、YouTube をフォローしていただくか、Discord の拡大中のコミュニティにご参加ください。

また、今週の土曜日、5 月 30 日に PS5、XB、Steam でオープン ベータを実施します。ぜひ、本作を実際にプレイしてみてください。